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インセプション

設定・映像のアイディアが秀逸。

「インセプション」(2010米)star4.gif
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ)
 コブは他人の夢の中に入り込んでアイディアを盗み出す産業スパイ。今回のターゲットは日本の実業家サイトーである。しかし、あと一歩というところでその仕事は失敗に終わる。逆に、サイトーに弱みを握られたコブは、彼に雇われることになる。サイトーは敵対する会社を潰すためにある計画をしていた。その計画とは、敵会社の御曹司の夢に入り込み潜在意識下にアイディアを植え込むというものだった。早速、コブは相棒アーサーとチームの編成に取り掛かる。まず、コブは大学教授をしている義父の元を訪ね、優秀な生徒を紹介してもらう。女子大生アリアドネは膨大な夢の世界を構築する設計士としての素質を持っていた。また、夢の中では何にでも変装できる偽造のプロ、イームス、睡眠薬を調合する闇の薬剤師ユスフといったメンバーを集める。計画の発案者であるサイトーを含め、いよいよ計画は実行に移される。
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(レビュー)
 他人の夢の中に入り込む企業スパイの戦いを描いたSFアクション作品。

 夢から覚めたらまた夢だった‥というオチはよく映画の中でも見かけるが、本作はそれを逆手に取ったような作品である。夢の中の夢、またその中の夢へと、コブ達はどんどん深く潜り込んでいく。本来不条理でビジュアル化するには不向きな夢の世界であるが、逆に言えば映像で表現する上でこれほど自由度の高いネタはない。大変魅力的な素材と言えよう。現にこれまでも夢を素材にした映画はたくさんあった。しかし、本作は今までには無い挑戦的な野望の元、極めて独創的な夢の世界を作り上げている。ターゲットに夢と気付かせないためのリアリティと、夢では何でもありというファンタジーの同居。この二つが微妙なバランスの元にコントロールされ魅力的な世界が形成されているのだ。また、夢を多層構造世界にしたのもサスペンスを盛り上げるためのアイディアとしてはかなり面白い。

 夢は潜在意識の顕現であり、そこに手を加えればまったく別の意識に変化していく可能性がある。この考え方もSF的な発想としては大変面白いと思った。シュワちゃん主演の「トータル・リコール」(1990米)の夢の売り買いに通じるような、ちょっとゾッとするようなSF設定である。ユングの心理学にもあるとおり夢と潜在意識は深い関係性にある。その研究成果が、遠い未来こんな犯罪を生むかも‥なんて考えると、まんざら絵空事に思えなくも無い。事実、催眠療法などはそれを利用したカウンセリングの一種であろう。

 物語は、基本的にはシンプルである。ただ、それは現実世界の話であって、夢の世界は全部で3層構造になっている。こちらは複雑だ。しかも、平行展開されるので見ている最中混乱することもある。逆に言えば、一瞬の気も許されない。そんな緊張感を持ったドラマである。

 監督・脚本はCノーラン。そもそも、この監督は映像派作家であると同時にシナリオ作家でもあると思う。一部の作品については、特異なドラマ構成が特徴として挙げられる。デビュー作である「フォロウィング」(1998米)では、ストーカー男の回想の中に二つの時間軸を設けたドラマが展開され、回想が二重構造になっている。本作の多層夢世界にかなり近いかもしれない。続く「メメント」(2000米)では、記憶障害の男の回想が細切れに遡っていく作品だった。これもかなりトリッキーな構成である。これらの作品から、ノーランは夢と現実、過去と現在という相反する世界の平行性に大変興味があることが分かる。その後、バットマン好きが乗じて「バットマン ビギンズ」(2005米)等を撮ったが、基本的に彼の作家性は「フォロウィング」や「メメント」といった初期作品にあるのではないかと想像出来る。その2本を経て本作辿り着いた‥ということ考えてみると、この「インセプション」は集大成的な作品という見方も出来よう。

 映像も斬新なものが出てきて楽しめた。特に、ホテルでの格闘シーンは大変ユニークだった。ただ、それに比べると、雪山のアクション・シーンは今ひとつアイディアとしての売りに欠ける気がした。夢の世界は個々に相関する関係にある。演出的な面白さを利用して、ここはもっとスリリングに出来たのではないか‥と残念に思う。

 キャストでは、T・ベレンジャーの出演が個人的には意外だった。映画を見る前はまったく分からずクレジットを見て初めて知ったくらいで、余りの変わりようにちょっとショックを受けてしまった‥。

 尚、複雑、複雑と言われる本作であるが、自分も分からなかった点が2つある。一つはとても重要なことんだけど‥‥。う~ン‥もう1回確かめるために見に行く気力も無いので、分かった人がいたら教えて!
(以下、ねたバレがあるので未見の方は注意)





1)ホテルのシーンで登場した社長の片腕は夢の中の人物であって、イームスの成りすましでは無かったような?画面には確かイームスが映っていたと思うのだけど、だとしたら夢の中の人物にどうやって吐かせたの?

2)最後のほうの海辺のシーンは、いわゆる「虚無」の世界と解釈していいのか?その後に飛行機で目を覚ますシーンが出てくるのだが、どうやってコブとサイトーは現実の世界に戻れたのか?

特に2)が重要なんだけど、現実に戻るための”キック”があったかどうか?見落としたのかなぁ‥。
[ 2010/07/30 02:50 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(2)

今晩はありのさん。今、僕は6月10日(日曜日)に放送45周年を迎えた日曜洋画劇場で放送されたものを、今見ています。実はこの作品を劇場で見たかったんですよね…。最新作の「ダークナイトライジング」が今年の7月に公開されるんですよね。それにタイミングをあわせるかのように、「ダークナイト」が日曜洋画劇場で6月24日(日曜日)に放送されるなんてびっくりです。それから、「視聴者参加企画」の「思い出の日曜洋画劇場」に参加しましたか?僕はもう参加しました。
[ 2012/06/12 19:55 ] [ 編集 ]

こんばんは、にょろ~ん。さん。
「思い出の日曜洋画劇場」恥ずかしながら知りませんでした。ぜひ参加してみたいと思います。
[ 2012/06/14 02:17 ] [ 編集 ]

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