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ピノキオ√964

公開時の逸話が今でも語り草になっている伝説のカルトムービー。
ピノキオ√964 [DVD]ピノキオ√964 [DVD]
(2008/12/22)
鈴木はぢ、ONN-CHAN 他

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「ピノキオ√964」(1991日)star4.gif
ジャンルSF・ジャンルホラー・ジャンルアクション
(あらすじ)
  ロボトミー手術を受けたダッチハズバンド、ピノキオ√964は、購入したユーザーの気まぐれによって捨てられた。その後、ルンペンの女ヒミコに拾われ彼は言葉を教わり愛し合う。すると、突然ピノキオの体に異変が生じた。ヒミコはそれを見て発狂する。
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(レビュー)
 ダッチハズバンドとして改造手術を受けた男と彼を愛した女の壮絶な戦いと復讐の物語。
 インディーズ界の鬼才・福居ショウジンが監督・脚本・編集を兼ねた長編デビュー作で、その内容、上映方式等で数々の伝説を作ったことでも知られるカルト作である。

 かつて中野武蔵野ホールの爆音レイトショーを見たが、その時の記憶は今でもはっきりと覚えている。巨大スピーカーから出る大音量で耳が潰されるんじゃないかという恐怖の体験をしたのだが、本作の醍醐味は正に劇場でしか味うことが出来ないこの迫力にあると思う。作品の原体験としてはこれ以上ないくらいの幸運 (?)に恵まれたわけであるが、しかしその迫力をを抜きにしてしまうと、作品自体の出来はいささか稚拙な感じは否めない。

 その最たる原因は、ピノキオを作り出した組織の面々のコメディライクな演技にある。笑うに笑えない寒さを覚えてしまう。ピノキオとヒミコ、主要二人の狂気的演技との落差も激しく、明らかに作品のトーンの不統一に繋がってしまっている。
 もっとも、福居ショウジンは常に過剰な演出をする作家なので、見る側の突っ込みは甘んじて受けとめる‥というスタンスなのだろう。要は作品のトーンをどっちよりに持ってい くのか、トータルのバランスを余り考えてないのである。

 しかし、勢いに任せた破天荒なストーリー展開、スピード感溢れる編集、日常を非日常的な光景に見せてしまうシュールな映像等、様々な魅力も認められる。

 シナリオは支離滅裂な部分が目につき決して褒められた出来ではないが、かえってこの歪さが奇妙な魅力をもたらしているとも言える。
 本作にはストーリーを休止させるような寄り道のエピソードが複数登場してくる。例えばヒミコが地下鉄で延々と大量のゲロを吐くシーンや、組織の追跡者が幼女を付け回して誘拐するシーン等、メインのドラマに何の関係もない意味不明なシーンが挿入される。これらは見ようによってはただのキチガイ地味だシーンに思えるかもしれないが、通常の商業映画では到底表現不可能な、ある種マニアックで実験精神にあふれたエンターテインメントと評することも可能だ。おそらくストーリーだけを語るなら、本作は1時間に満たない短編にまとめることが可能であろう。しかし、福居ショウジンは敢えてこうしたよく分からない"寄り道"を描くことで見る者に対して大胆な挑発を仕掛けてくる。そこに奇妙な面白さが感じられる。

 監督自ら編集をしていることもあり、スピード感あふれる編集にもこだわりが感じられた。たとえば、ピノキオが変態を起こすシーン、クライマックスシーンにおける超高速編集は「鉄男 TETSUO」(1989日)を凌駕するほどの疾走感が見られ、お化け屋敷、ジェットコースターといったアトラクション的興奮に溢れている。それは公開当時、巨大スピーカーを持ち込んだ上映方式とて同じであろう。<映画>=<ライブ>という監督の考え方ありきなのだと思う。今でこそアトラクション・ムービーという言葉が当たり前のように浸透しているが、今から20年前に作られた本作は紛れもなくアトラクション・ムービーだったと言えよう。

 ライブと言えば、今となってはありえないような過激な撮影をしていることも特筆すべきである。池袋、新宿の人通りの多い場所でゲリラ撮影を行っているのだが、これには驚かされる。鎖を繋げられたピノキオが大通りを疾走するシーンは特に強烈な印象を残す。

 キャストは劇団俳優やバンドマンといった面々で馴染のない人たちばかりだった。ピノキオがちょっとウド鈴木に似ているとか、組長が遠藤憲一にちょっと似ているとか、何だか見ていて少し笑ってしまいそうになる。ただ、ヒミコの狂演だけは本気でオシッコをちびりそうになるくらい怖くて、ここだけはギャグとして見れなかった。生ごみを被ってピノキオを睨みつける目がすでに人としての目をしていない‥。
[ 2012/01/07 01:20 ] ジャンルホラー | TB(0) | CM(1)

北公次の出ている画像出して
[ 2012/01/31 15:00 ] [ 編集 ]

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