S・ヨハンソンの美しさが見所か?
「イン・グッド・カンパニー」(2004米)
ジャンルコメディ・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ) スポーツ雑誌社に勤めるダンは妻と2人の娘と暮らす中年男。会社が買収され解雇の危機に迫られる。妻から3人目の子供が出来たことを告白され、戦々恐々とするダン。そこに親会社から新しい上司がやって来た。それは息子ほども年が離れた青年カーターだった。ところが、このカーターが思いのほかのやり手で業績は一転上昇していった。当然ライバル会社も黙っていない。様々な画策で潰しにかかってくる。その一方で、カーターはダンの長女アレックスと隠れて付き合うようになる。それを知ったダンは‥。
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(レビュー) 中年サラリーマンの悲哀をハートフルに描いたヒューマンドラマ。
ダンはある日を境に見ず知らずの若造カーターに使われる身となる。年齢も立場も違う二人は当然衝突していくが、公私にわたって付き合う内に次第に信頼関係で結ばれていく‥というのがこのドラマの本文になる。旧態然とした頑固親父ダンと今時の青年カーター、この対比が上手くドラマを転がしていると思った。
ただ、どこにでもありそうな話で、だからどうした?と言われれば確かにそうである。どちらかというと淡々と見れてしまう作品で、取り立てて面白いというわけではない。ダンの娘アレックスを絡めることで、せっかく築いた友情に皹が入るというのも常套手段。それを乗り越えていく‥という展開も実にオーソドックスだ。もっとも、オチは少し捻った感じで面白く見れたが‥。
本作の見所は何と言ってもアレックスを演じたS・ヨハンソンの魅力だろう。冴えない田舎娘が都会に出たことでこうも変わるのか?というほど美しくなっていく。ファンなら必見かもしれない。
エミリーの顔が怖い‥!
「エミリー・ローズ」(2005米)
ジャンルサスペンス・ジャンルホラー
(あらすじ) ムーア神父は悪魔祓いの失敗で少女エミリーを死なせてしまう。事件を表ざたにしたくない教会は司法取引を薦めたが、彼は身の潔白を晴らすべく法廷に出た。野心的な女性弁護士エリンが彼の弁護を担当することになった。検察側は科学的な治療ではなく悪魔祓いに頼ったことが直接の死因だと主張する。エリンとムーアは悪魔が現実に存在すること、悪魔祓いの正当性を訴え出るのだが‥。
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(レビュー) 本作は実話を元に作られたという。多少の脚色はあると思うが、悪魔祓いを法廷で争った事実はかなり興味深い。元となった事件は古いドイツで起こったそうだが、今では信じられないような話である。やはりカトリックの国では悪魔の存在がかなり真面目に考えられているのだろうか?
見所は、とにかくエミリーが悪魔に憑依された姿。これに尽きる。床の上に硬直したまま転がった姿が実に怖い。夢に出てきそう‥。
また、「エクソシスト」(1973米)、「サスペリア」(1977伊)、「ジェイコブス・ラダー」(1990米)といった所のパロディが登場するのも、その手のマニアとしては中々楽しめた。エミリーが存命だった頃の話は全て回想で描かれ、この部分はホラーテイストが貫かれている。
ただ、基本的に本作は法廷ドラマのジャンルに入る作品だと思う。現在パートは裁判シーンで展開される。問題はこの法廷パートが弱い点だ。
エリンやムーア神父の造形が薄みなのは、敢えてドキュメンタリータッチを意識してのことだろう。しかし、法廷闘争のパワーゲームという観点から見てみると、決してドキュメンタリータッチが奏功しているようには見えなかった。余りにも弁護士サイドに事が有利に運んでしまうせいで、サスペンス的な緊迫感、面白みが感じられないのだ。
エミリーの憑依される姿がかなり恐ろしいかっただけに、純粋にホラーとして作れば良かったのでは?そんな風に思えてしまう作品だった。
いかにも押井守らしい作品。個人的には中々面白く見れたが、一見さんにはやや厳しい内容。
「立喰師列伝」(2006日)
ジャンルアニメ・ジャンルSF
(あらすじ) 戦後間もない日本、闇市に月見の銀二という立喰師がいた。言葉巧みに店主を煙に巻いて無銭飲食を繰り返す所業は、いつしか伝説化していった。数年後、立喰師達は巷に次々と現れる。美貌で店主を虜にするケツネコロッケのお銀、ほら吹き話を得意とする哭きの犬丸等々。そんな折、立喰師の冷やしタヌキの政が殴殺されるという事件が起こる。立食い市場の様変わりで、彼等立喰師達も変化を余儀なくされていくのだった。
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(レビュー) 架空の立喰師達の姿を綴ったフェイクドキュメンタリー。とはいっても、所々に戦後日本が辿った歴史をシニカルに織り込んでいくあたりは微妙にリアルだったりする。
原作・脚本・監督は押井守。彼の立ち食いへのこだわりは過去の作品を見ているのでよく分かるが、本作は良くも悪くもその思いが結実したような作品だ。これは壮大な洒落なのかもしれない。
本作では立喰師達をアウトローとして哀愁たっぷりに描いてみせる。
この”哀愁”という言葉は、押井作品に欠かせぬキーワードだと思う。「うる星やつら2」(1984日)における永遠に終わらない学園祭、「イノセンス」(2004日)における永遠に生き続ける草薙素子、これらは去り行くもの、消え行くものへの”哀愁”が生んだ偶像化に他ならない。そして、本作の立喰師達もそんな”哀愁”から生まれ出てきたようなキャラクターだ。もちろん、押井作品を見たことがない人にとっては、押井の立喰師達へのこだわり、愛情などさっぱり分からない、という事になるだろうが‥。そういう意味では一見さんには少し辛い映画かもしれない。
ただ、高度成長を辿った戦後日本の飽食をあげつらい、痛烈に批判していくところは一見さんにも面白く見れるのではないだろうか。正に現代の日本が抱える食料問題に直結するからだ。
尚、この作品で最も特筆すべきは作品スタイルである。一応アニメーションに分類されるが、実写の写真を3Dアニメ化するというもので中々ユニークだと思った。余り動かないので物足りない感じもするが、それを膨大なナレーションがカバーする。映像を見せるよりも言葉を聞かせる方に重点が置かれている。相変わらず理詰めのクドい言い回しが延々と続くが、押井フリークとしてはそれもまた良し。
オーソドックスな青春ドラマだが、ラストにはしみじみとさせられる。
「祭りの準備」(1975日)
ジャンル青春ドラマ
(あらすじ) 高知県の小村。盾男は脚本家になる夢を持ちながら銀行に勤める青年。父が愛人宅に移り住んだため、今は母と祖父と暮らしている。彼にはずっと想いを寄せている幼馴染涼子がいた。しかし、彼女は政治活動にのめり込み、盾男よりも強くて頼りがいのある運動指導者の方へ気持ちが傾いていた。悶々とした欲望は向かいに住む知的障害の娘タマミへ向かう。タマミは大阪でクスリ漬けにされた挙句、性の道具にされて帰ってきた可愛そうな娘だった。暫くするとタマミは妊娠した。誰の子供か分からなかったが、盾男の祖父が父親だと名乗り出る。強い嫌悪感を抱く盾男。そんな彼を悪友でタマミの兄利弘が歓楽街へ連れ出す。少しは気晴らしになった。ところが、その利弘が取り返しのつかない事件をおこしてしまい‥。
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(レビュー) 閉塞的な小村を舞台に、東京に出る夢を持った青年の悶々とした日常を、時にコミカルに時に叙情的に綴った青春映画。
何と言っても、盾男の立志を描いたラストにしみじみとさせられた。この時の悪友利弘のリアクションが実に良い。かなり屈折した青春ドラマだが、意外にもラストは常道でそこがこの映画の良い所だと思った。
物語は盾男と周縁の人々のエピソードで構成されている。盾男の悶々とした日常を綴るのがメインエピソードで、そのほかに利弘が辿る悲劇的な末路、タマミを巡る騒動、女関係のトラブルが絶えない父と盾男の関係、実家に縛りたがる母と盾男の関係等が綴られている。ロマンス、友情、独立といった青春映画ではおなじみのテーマがまんべんなく散りばめられている。タイトルの「祭りの準備」とは何も本当に祭りの準備をするわけではなく、青年が独り立ちする前の通過儀礼のことを言っている。
各エピソードはいずれも悲劇的なものであるが、描写自体の陰惨さは薄い。むしろ喜劇的な演出が多々あり面白く見ることが出来た。よく悲劇と喜劇は表裏一体と言われるが、この映画を見るとその言葉の意味が良く分かる。
例えば、タマミのエピソードは障害者を食い物にした非道なエピソードであるが、ある時を境に彼女が別人のような変身を遂げることで、盾男の祖父にとっては悲劇となり、彼女の家族にとっては喜劇となる。このような悲喜劇はこの映画の中では他にも幾つか見られる。明確な線引きで一つの事象を捉えない。そこがこの映画で面白いと感じるところだ。
もう一つこの映画で面白いと思ったところは、地方特有の空気感が画面から感じ取れる点である。地方の農村は近隣との付き合いは緊密で、鍵いらずの近所付き合いが平気で成されている。現代ではちょっと考えにくいライフスタイルであるが、それが映画全体を覆う独特の空気感によってリアルなものとして受け止められる。
タマミが野放しにされていることも、盾男の父が平然と愛人宅を転々とすることも、店先で母子が近親相姦にふけることも、世間体や醜聞を気にしないアバウトなライフスタイルの昭和の農村では”ありえる”ものとして見ることができるのだ。
本作を見て、今村昌平監督の「神々の深き欲望」(1968日)や「楢山節考」(1983日)といった作品が思い出された。今村監督も地方の農村を舞台にした作品を撮る事が多かった。本作にもそれに共通するような泥臭い農村体臭が感じられる。おそらく今となっては再現不可能な空気感だろう。この独特な空気感に魅了された。
爽やかな所が良い。4人の生き生きとした演技も好印象。
「旅するジーンズと16歳の夏」(2005米)
ジャンル青春ドラマ
(あらすじ) 幼馴染の4人組、リーナ、ブリジッド、テイビー、カルメンは16歳の夏休みにある約束をした。4人全員が履けたジーンズを幸運をもたらすジーンズとして回し着することにしたのだ。リーナはギリシャの祖父母の家へ遊びに行く。そこで魚市場で働く青年と出会い恋に落ちる。ブリジッドはメキシコのサッカー合宿へ行き、コーチに猛アタックする。テイビーは地元のスーパーでアルバイトしながらドキュメンタリー映画を撮る。不思議な縁で生意気な少女に付きまとわれる。カルメンは別居中の父が子持ちのバツイチ女と同棲していることを知りショックを受ける。
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(レビュー) 4人の少女の恋と友情と成長を爽やかに綴ったティーンズ・ムービー。
愛とは、幸せとは何か?
彼女達は多感な思春期にこの問題にぶつかる。それを乗り越えたときに、大人として一回り成長することになるのだが、果たして‥?といった所が本作のテーマだ。
人生経験の積み重ねが人間を大きく成長させる‥という当たり前と言えば当たり前のことを言っているだけなののだが、それを等身大に語った所に好感が持てる。
この手の作品は得てして大人を登場させて上から目線で語りたがるケースがあるが、本作にはそういった所が一切無い。元来ティーンズ・ムービーとはこういうものだろう。それを再認識させてくれるような作品だ。
しかし、夫々のエピソードを考えた場合、やはり小粒といった印象は拭えない。ロマンス物、難病物、親子の葛藤劇。個々に魅力的なものを持っているが、盛り上がりを考えるといささかパンチに欠ける。頻繁なカットバックも気になり、まるで別々の作品をオムニバス形式で見せられているかのようである。1本のドラマとしての求心力が不在で心に染みるほどの感動は得られなかった。
別々の場所にいる彼女等を結ぶ”奇跡を呼ぶジーンズ”。ここに重要な”何か”があれば、まとまりと感動も出てきたろうが‥。惜しまれる。
4人のキャラクターは夫々に良かった。内気なリーナ、活発なブリジッド、インドア派の異才テイビー、やさぐれデブのカルメン。皆個性的で魅力的である。
また、ギリシャの風景が美しく撮られているのも◎
色々な意味で不満が残るが、戦争の不条理は澱みなく描けている。
「男たちの大和」と見紛うシーンが、ちらほら‥。
「戦艦大和」(1953日)
ジャンル戦争・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ) 昭和20年、太平洋戦争末期。沖縄まで侵攻した米軍に、日本軍は戦艦大和で最後の攻撃に出る。愛する人を故郷に残してきた者、アメリカの市民権を持つ者、年端の行かない学徒達、夫々の思いを乗せて大和は出撃した。これは誰が見ても無謀な作戦だった。中には不満をもらす兵達もいた。しかし、戦いを前にして彼等は一丸となっていく。
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(レビュー) 戦艦大和の戦いを、搭乗員達のドラマを交えて描いた戦争映画。
恋人との別れのシーンやクライマックスの戦闘シーンで、「男たちの大和/YAMATO」(2005日)と見紛うものが幾つか見られたが、本作の原作は別にある。吉田満の「戦艦大和ノ最期」だ。もしかしたら「男たちの大和/YAMATO」はこの原作を意識して作られたものなのかもしれない。
作品からは反戦メッセージがダイレクトに伝わってきた。
すでに戦争の大勢が決していたことは、誰の目から見ても明らかなことだった。この作戦にどんな価値があるのか?と批判する者がいれば、お国ために!と言って命令に追随する者もいる。兵士達の間で意見の対立が交わされるシーンは興味深く見れた。全体主義における個人的人権の埋没。それがこの口論から見えてくる。
そして、この後に死屍累々と化していく戦場シーンが描かれる。戦争の虚しさ、愚かさといったものが改めて実感させられる。
ただ、映画全体の作りはかなり甘い。
兵士達の個々のエピソードはバックストーリーが希薄で、中にはやや後追い的な物もある。借金と写真にまつわるエピソードは想定外のもので良かったが、それ以外は定石どおりといった感じで心に響くほどの感動は得られなかった。
また、肝心の特撮シーンが今ひとつなのも興ざめしてしまう。時代を考えれば仕方が無いことかもしれないが、せめてミニチュアの作りはしっかりとして欲しかったという気がする。こういうのは日本映画のお家芸だと思う。翌年には「ゴジラ」(1954日)が製作されており、それとの比較から言っても、このチープさはどうにも話にならない。
また、戦闘シーンで緩慢な動きをする者がいるのも気にかかった。死に直面する恐怖感。そこが描けていたらミニチュアの戦闘シーンでもそれなりに入り込むことが出来たろうに‥。作りの甘さが色々と見えてしまい残念である。
さすがに古臭く感じてしまうが、発想の豊かさについては文句なし。
「夢のチョコレート工場」(1971米)
ジャンルファンタジー・ジャンルコメディ
(あらすじ) 世界中で大人気のワンカのチョコレート。そこにたった5枚の金のチケットが入っている。それを手にした幸運な者は誰も入ったことがない”開かずのチョコレート工場”に招待されるという。祖父思いの貧しい少年チャーリーがチケットを引き当てた。チャーリーと祖父は、当たりを引いた他の4人の子供達と一緒にワンカの工場へと入っていく。そこはまるでおとぎの国のようだった。
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(レビュー) カラフルな世界観で描かれるファンタジー映画。2005年にはT・バートン監督&J・デップ主演で再映画化されている。中々凝った作りで面白かったのでオリジナル版の方も興味があり見てみた。
ストーリーはほぼ一緒だが、本作の方が工場に入るまでの前振りが若干長い。そのため少し退屈に感じた。ただ、この前振りは決して意味がないというわけではない。そもそも御伽話というものには必ずと言っていいほど教訓が込められているものだ。それがこの前振りに隠されている。チョコレートに熱狂する世界中の老若男女の姿は実に愚かしい。欲に駆られて冒険から脱落していく子供達も然り。この辺りのシニシズム溢れる描写はバートン版を凌いでると言えよう。
さすがにCG全盛の時代に作られたリメイク版に比べると、映像スペクタクル面では劣ってしまう。ただ、実際の人間が扮したウンパルンパはインパクトがあった。
ワンカ役はG・ワイルダー。ちょっと意地悪な感じがうまく出ているのは、この人ならではの風貌という気がした。J・デップとはまた違ったワンカ像があってこれはこれで中々良かった。
ハンデを持った者同士の恋愛ドラマ。ややお涙頂戴かなぁ‥。
「カーラの結婚宣言」(1999米)
ジャンルロマンス・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ) カーラは全寮制の学校を卒業して家に戻ってきた。先天性の知的障害を持つ彼女に母は神経を使う。ところが、これがかえってカーラを窮屈な思いにさせた。彼女は家を飛び出して元いた学校に戻ってしまう。これを機に両親は彼女の希望通りに専門学校へ通うことを許した。そこでカーラは同じ障害を持つダニエルという青年と出会い恋に落ちる。
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(レビュー) 障害を抱えた女性の愛を貫く姿をハートウォーミングに描いた作品。
いかにもディズニー傘下のタッチストーン製作、楽天的思考なG・マーシャル監督の作品といった感じで、ポジティヴ・テイストを貫く作りになっている。安心して見ることができるが、少し物足りない作品でもあった。
例えば、カーラの家は割と裕福な家庭で、それだけでも彼女のハンディキャップはかなり相殺されることになる。恋に落ちるダニエルが貧しい家庭の育ちで、このロマンスに障害を与えんとする設定であることは分かるが、どうしてもこの格差が見え透いたものに写ってしまう。彼女はある種シンデレラのようなものであり、その葛藤には庶民である俺などには中々感情移入しづらかった。
それと、この映画の難は時間が長いことだ。
何しろドラマは実にシンプルである。それに2時間を越える時間は少々きつい。カーラとダニエルが付き合い始めるまでの過程がくどく感じた。本作のテーマは、カーラが母親との確執をどう解消していくか?どう自立していくか?にある。言わば、ダニエルとのロマンスはそれを語る上での前振りに過ぎない。ここの部分はテンポ良く見せ、母親との確執解消のドラマにじっくりと時間を割いて見せるのが筋ではないだろうか。
カーラ役のJ・ルイスは、初めは役作りが過剰に思えたが、教室で靴下を下げたり、鏡の前でシャツを上げてみたり、茶目っ気タップリなしぐさが中々に良い。それからは自然と彼女に親しみを持つことが出来た。中でも、ハロウィーンパーティーのコスプレが色々な意味で良い味を出していた。
ところで、学校の塀に臆面もなくでかでかと描かれたバックスバニー。ドラマと何の関係もないのに何故‥と唐突に思えてしまった。洒落なのだろうが少し辟易してしまった。
突っ込みするには事欠かない作品。
「緯度0大作戦」(1969日)
ジャンル特撮
(あらすじ) 田代博士はじめ3人のクルーは、太平洋の海底油田の調査中に海底火山に巻き込まれる。そこを潜水艦アルファー号に助けられた。マッケンジー艦長の案内で3人は緯度0にある海底都市に連れて行かれる。そこはまさに人類にとっての理想郷だった。
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(レビュー) 冷戦時代の緊迫した世界情勢を背景に、世界制服を企む悪の組織との戦いを特撮を交えて描いた海洋冒険作品。
前半の潜水艦の戦いなど円谷英二の特撮は見応えがある。反面、クリーチャーの出来が今ひとつ。このチープさがたまらないというのであれば、それはまた別の話だが‥。
ストーリーは最後のどんでん返し以外は、正直言って余り面白くない。なんともご都合主義な秘密兵器の登場などで緊迫感のない戦いが描かれる。
というか、ラストが余りにもスッキリとしない終わり方で、これはこれで不思議な余韻を残すのだが‥。
キャストは意外に豪華で、「第三の男」(1949英)などで知られるJ・コットンが出演している。日本側からは宝田明や岡田真澄が出演。全て英語でセリフを喋っている。
こういうのは何人かで見るに限る。突っ込み所満載のバカ映画としては好編と言える。
M・ディートリッヒの魅力が画面から溢れ出ている。彼女の魅力に尽きる作品。
 | モロッコ (2006/12/14) ジュリエット・コンプトン/ウルリッヒ・ハウプト/ゲイリー・クーパー/アドルフ・マンジュー/マレーネ・ディ
商品詳細を見る |
「モロッコ」(1930米)
ジャンルロマンス・ジャンル古典
(あらすじ) 歌手のアミーはモロッコへ向かう船で大富豪ベシュールに出会う。べシュールは一目で彼女の虜になった。翌晩、二人はモロッコの高級クラブで再会する。しかし、アミーはべシュールを無視して、アメリカ人兵士トムに色目を使い彼を部屋に誘った。トムはかなりの伊達男だったが、幾多の男を虜にしてきた彼女の方が何枚も上手だった。軽くあしらわれ尻尾を巻いて帰途に着こうとする。‥とその時、何者かに襲われる。この一件によってトムは罪に問われることになる。一方、アミーはべシュールからプロポーズを受け‥。
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(レビュー) 日本初の字幕スーパー洋画としても有名な古典的作品である。
とりとめもないメロドラマだが、この作品の魅力はアミー役を演じたM・ディートリッヒの美しさとラストシーンのインパクトにあると思う。
ディートリッヒの魅力に関して言うと、まずは彼女が登場する船上のシーンが挙げられる。色気というよりも何か怪しい雰囲気すら漂わせた出で立ちでべシュールを一瞬のうちに虜にしてしまう。この魅力には彼ならずとも参ってしまうだろう。
続くクラブのシーンでは歌とダンスが披露され、これまた彼女の魅力が存分に味わえる名シーンとなっている。観客は新顔への洗礼として恒例になっているブーイングを浴びせるのだが、それを物ともせず男装の麗人という出で立ちで軽くあしらう。次第にブーイングは収まり、彼女は場内を”自分の世界”に変えてしまうのだ。しかも、客席にいた金持ちマダムにキスをする大胆なサービスまで披露する。
男装の麗人の次は奔放なりんご売りの娘に変身する。これまた”いけ好かない”伊達男トムを面白いように翻弄し、正にやりたい放題で場内を大いに沸かす。これだけのギャップを演じ分けられるのだから、やはりディートリッヒという女優は大したものである。
このように前半から彼女の魅力は全開であり、彼女のファンなら間違いなく垂涎の映画であろう。
そして、この映画のもう一つの魅力はラストシーンである。
灼熱砂漠の中に消えて行くディートリッヒの後ろ姿は忘れがたい。ドラマの大団円として見事であるし、美意識の高い映像にも陶酔させられる。彼女の行く先には幸せがあるのか?それとも不幸があるのか?深い余韻と共に締めくくられている。