ひたすら疾走するバカ映画!
「アドレナリン」(2006米英)
ジャンルアクション
(あらすじ) 暗殺者として生きるチェリオスは、寝ている間に宿敵リッキーに毒薬をうたれて1時間以内に死ぬと宣告される。解毒剤を手に入れるために彼はリッキーを追いかけ始める。そして、知り合いの医師から、アドレナリンを出し続けることで毒の作用を止められると言われ、ひたすら走り続けることになる。
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(レビュー) 毒を盛った敵を追いかける主人公の一日をスタイリッシュに描いたアクション作品。
いきなりで申し訳ないが、どこからどう切ってもバカ映画である。ただ、ここまでバカを突き詰めた所には溜飲が下がる。
ラリッた状態で街中で車を走らせるわ、白バイを奪って逃走するわ、病院で電気ショックを受けるわetc.いくらアドレナリンを出させなければならないと言っても、ヤリ過ぎ、アホ過ぎ、迷惑過ぎである。
監督・脚本はこれが長編デビュー作となるCM出身の新人監督らしい。遊び心に溢れたスタイリッシュな映像演出が次々と繰り出されるので見ていて飽きない。例えるなら、ラーメン二郎のラーメンといったところか‥。コッテリ&てんこ盛りである。
その一方でクールな演出もあって、車のサイドミラーに電話するカイロがチラッと映る所などは小技が効いていて上手いと思った。このあたりを見ると、中々手練れた監督のようにも思う。
ただ、ブラックな演出が時々登場するので好き嫌いがハッキリ分かれる映画だと思う。アルカイダのネタやインコの顛末、銃撃戦における人壁の扱いの酷さなどは、笑っていいのかどうか躊躇してしまう。マンガチックに表現されているのでそれほどドギツクはないが、見る人が見れば目をそむけたくなるかもしれない。個人的には手首がくっついた拳銃のアイディアは秀逸だと思った。
エロネタも堂々としている。特に、チャイナタウンでの青姦には笑わされた。確かに下品極まりないのだが、割とあっけらかんと描いているので決して不快というほどではない。良くも悪くもアメリカナイズされている。
ハードロック、パンク、カントリーといったBGM選曲も、この手のバカ映画には適していて◎。チェリオスが白バイを奪って逃走する所にハリー・ニルソンの「うわさの男」がかかる。アメリカン・ニューシネマの代表作「真夜中のカーボーイ」(1969米)の主題歌でも有名な曲だが、アナーキーなアウトロー、チェリオスの暴走シーンにはよくハマっていた。
尚、本作の後に続編が作られたが、映画のオチから考えてどういう話になっているのか全く想像がつかない‥。というか、おそらく製作サイドも続編は最初から考えていなかったのではないだろうか?同じスタッフ・キャストなので少し見てみたい気もするが‥。