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アルタード・ステーツ/未知への挑戦

色々と複雑な事情が絡んで作られた作品。今一つ精彩に欠く。
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(2000/04/21)
ウィリアム・ハート、ブレア・ブラウン 他

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「アルタード・ステーツ/未知への挑戦」(1979米)hoshi2.gif
ジャンルSF・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 精神心理学者エドワードは、人間の細胞に宿る種の起源を求めて自ら危険な人体実験を繰り返していた。過剰なドラッグを摂取して密閉されたタンクに入り、地球の起源を目撃しようとしていたのだ。妻のエミリーはそんな彼について行けず子供を連れて去っていってしまった。それでもエドワードは実験を止めなかった。そして、彼の体には"ある異変”が生じるようになる。
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(レビュー)
 生命の起源を追求しようとするマッド・サイエンティストの物語。

 実は、今作の主人公にはモデルになった科学者がいるそうである。アメリカの脳科学者ジョン・C・リリーという人物で、彼は幻覚剤を用いたままアイソレーション・タンク(間隔遮断タンク)に入り、精神を肉体から切り離して超自然のイメージに自分を飛ばすという実験を繰り返していたらしい。タンクの中には高濃度の硝酸マグネシウムの溶液が入っており浮いているような感覚になるという。密閉されているので、視覚も聴覚も遮断される。一体どんな感じなのだろうか?尚、アイソレーション・タンク自体はその後スポーツの世界では意識を安定させストレスを取り払うという目的で使用されている。

 もっとも、こうした元となる人物はいたが、今作は多分にフィクションが入った作品である。設定だけ借りてそこにSF的なギミック盛り込んで作られた、いわゆるジャンル・ムービーとなっている。

 主人公エドワードはタンクに入って人類や宇宙の起源など様々なイメージを目撃していく。監督がK・ラッセルということもあり、このあたりの映像は奇怪でゴージャスで中々面白かった。
 そして、この実験を繰り返したことでエドワードの身体には"ある異変″が生じるようになる。D・クローネンヴァーグの作品よろしく、幻覚が肉体を変容させていくという倒錯的は恐怖は、サイエンス・フィクションとしてはいささか大胆過ぎる発想だが、エンタテインメントとして割り切った上で見れば中々面白い。科学が神の領域を侵すことの罪深さ、恐ろしさといった骨太なメッセージも感じられた。

 とはいえ、K・ラッセルらしい演出はこうしたイマジネーションの世界観には本領を発揮しているが、それ以外の日常のサスペンス・シーンでは今一つ精彩に欠く。後半、いよいよ絶体絶命の立場に追い詰められていくエドワードの焦燥感、切迫感といったものが余り感じられず、サスペンスとしての切れ味は物足りなかった。第一に、実験の副作用は時間が経つとまるで何事も無かったかのように消えてしまう。これではせっかく高まったサスペンスのテンションも萎えてしまう。ラストも興味深いテーマを扱っている割に随分とお気楽にまとめられてしまった感じがした。

 今作の原作・脚本は「マーティ」(1955米)、「ホスピタル」(1971米)、「ネットワーク」(1976米)で3度のオスカー受賞という快挙を成し遂げたバディ・チャイエフスキーが担当している。しかし、wikiによれば彼はK・ラッセルの演出に不満を示したらしく偽名でのクレジットを要請したそうである。更には、元々今作はA・ペンが監督を務めるはずだったらしく、製作にあたっては紆余曲折あったようだ。そう考えると、監督を代行したK・ラッセルも複雑な心境だったに違いない。もしかしたら作品のパワーが今一つだったのは、そのあたりに原因があるかもしれない。

 尚、どこに登場したのか分からなかったがD・バリモアが今作で映画初出演を果たしている。
[ 2012/11/11 13:33 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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