いよいよリスベットの過去が明らかに‥。
「ミレニアム2 炎と戯れる女」(2009スウェーデン独デンマーク)
ジャンルサスペンス
(あらすじ) 月刊誌「ミレニアム」に復帰したミカエルは、次の号の特集で東欧の少女売春組織を調査することになった。ところが、取材中の新人編集者と恋人が何者かによって殺される。現場にはリスベットの指紋が残されていた。更にその後、彼女の後見人も死体で発見された。一方、リスベットは過去の清算を果たすべく着実に準備を整えいていた。ところが、一連の事件のせいで思うような行動をとれなくなってしまう。ミカエルはリスベットの無実を信じて真犯人を追求していく。
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(レビュー) 衝撃的な内容でヒットを飛ばした
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009スウェーデン独デンマーク)」の続編。
前作の1年後を舞台に、殺人犯の濡れ衣を着せられたリスベットと少女売春組織の戦いがスリリングに描かれている。
前作とはスタッフが大きく変わり幾分トーンが変わってしまったが、ストーリー自体は中々面白く見ることが出来た。ベストセラーにもなった原作の面白さが十分に活かされた証拠だろう。
物語は、前作に少しだけ回想として登場した父との関係に焦点を当てながら展開されていく。リスベットの生い立ちが振り返られながら、何故このような荒んだ青春を送るようになってしまったのか?それが少しずつ解き明かされていく。今回はサスペンスもさることながら、幾分人間ドラマ的な趣向が凝らされているのが特徴的だ。
個人的には序盤の社長の一言が、彼女の人生のすべてを物語っているようで切なくさせられた。
「お前は平気で友人を裏切る」
他人を信じられない人生ほど悲しいものはないと思う。しかし、リスベットはこれまで歩んできた壮絶な人生から、そうしなければ生きていけない人間になってしまったのだろう。
そして、この言葉は、終盤のミカエルに送ったメール
「友達でいてくれてありがとう」
このメッセージに繋がってくる。これにはしみじみとさせられた。
正直、終盤に行くにつれてかなり強引な個所が目立ち、前作よりもサスペンスとしての完成度は幾分落ちてしまっている。息詰まるような緊張感、不穏なトーンといった映画的なケレンミも後退してしまった。これは先述の通り、監督・脚本、撮影等、主要スタッフが変わってしまったことに関係しているのかもしれない。
しかし、この終盤のメッセージに見られるように、それを補って余りあるリスベットとミカエルの恋慕。そこには前作以上の見応えが感じられた。
尚、今回はリスベットの造形にもかなり変化が見られる。前作のパンクロックな風貌を改め、様々な表情と様々なコスチュームを着こなしながら、これまでにない魅力を披露している。田舎の暴走族に復讐してバイカー気取りで颯爽と走る姿などは珍しくコミカルである。その一方で、元からあった凶暴性も健在で、買春男に対する容赦のない尋問などには迫力が感じられた。もっとも、この時のマリリン・マンソン風なフェイスペイントは少し笑えてしまったが‥。
一方、今作には彼女の宿敵として新たにニーダーマンという金髪の大男が登場してくる。痛覚が無い殺人マシーンで、
「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(1999米)のR・カーライル扮する悪役に共通する特徴を持っている。ただし、少々オツムが弱いのが玉に瑕で、状況判断を見誤って人質を取り逃したり、証拠を残したり、ここぞという所で間が抜けているのが残念だった。これではせっかくの緊迫感を台無しにしてしまう。
尚、ラストは次を期待させるような終わり方になっている。ここまで引っ張られてしまうと続きが気になってしまう。ぜひ続編も見てみたい。