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関の彌太ッぺ

情に厚い渡世人の生き様には痺れさせられる。
関の彌太ッぺ [DVD]関の彌太ッぺ [DVD]
(2008/12/05)
中村錦之助、十朱幸代 他

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「関の彌太ッぺ」(1963日)star4.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 人情に厚い渡世人、関の彌太郎は、川に落ちた少女お小夜を助ける。実は、彼女の父親はワケありの盗人だった。彼に全財産の50両を取られた彌太郎は後を追いかけていく。すると、そこにバクチ打ちの森介が現れて父親は切り捨てられた。森介は彼に盗まれた金銭を奪って去って行った。後に残された彌太郎は、瀕死の父親からお小夜のことを頼まれる。仕方なく彌太郎はお小夜を連れて彼女の亡き母の実家・旅籠の沢井屋へ向かうのだが‥。
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(レビュー)
 何度も映画化されている有名戯曲を中村錦之助主演で描いた時代劇。尚、今回が4度目の映画化である。この後には、同じ中村錦之助(のちに萬屋錦之介)主演で原作者の名前を冠にした「長谷川伸シリーズ」の中でテレビドラマ化もされた。

 何と言っても、中村錦之助が演じる彌太郎の人情味あふれるキャラクター。これに惚れ惚れさせられてしまう。見ず知らずの男の、しかも自分の全財産を盗んだ男の娘を預かり、あまつさえその子のために取り戻した財産をはたいてしまうのだから、どこまで人が良いのか‥。更には、森介に騙されていると知らずに謝礼を差し出す始末である。正直ここまでくるとお人よしにも程があるという感じがする。ただ、この純粋さ、優しさは彼の短所であると同時に、やはり普通の人には無い長所でもあるのだ。そこが見ている我々の琴線に触れてくる。

 尚、彌太郎には生き別れた妹がいて、彼は小夜に度々彼女を重ねて見る。だから小夜にあそこまで親身になれるのだろう。この設定はドラマに説得力を持たせるという点では、上手く効いているように思った。

 粋な所も彌太郎の魅力の一つである。花を添えて45両を置いて人知れず去っていく場面のなんと格好良いことか‥。普通ならキザ、ナルシストの極み‥となってしまう所を、錦之助の演技が上手く中和している。

 映画は中盤から10年後に舞台を移して展開されていく。ここで錦之助の風貌はガラリと変わり、ひたすら荒んだ表情を貫いていく。多少メイクが過剰という気もしたが、これも中々様になっていた。妹の悲劇を知った彼が、この10年いかに無為な時間を過ごしてきたか。それがこの表情・演技からよく伝わってきた。後半は熱演と言っていいだろう。

 森介を演じた木村功も適確な演技を見せている。時に彌太郎の信頼する相棒となり、時に受けた恩を仇で返す裏切り者となり、腹に一物持った俗物として描かれている。彌太郎とのコントラストも図られていて、この関係は面白く見ることが出来た。

 終盤では、この森介の"ある行動″によって大きなクライマックスを迎える。ここでは"ある別れ″が描かれるのだが、この場面は日本映画史に残る名シーンとして誉れ高い。
 別れの言葉を交わす画面の中央に配された花の垣根。この垣根は渡世人・彌太郎にとっての現実と理想の壁を意味するものだろう。抗えない宿命をことさら残酷に、そして物悲しく見せている。
 また、ラストシーンも余韻を残した幕引きになっていて味わい深かった。彌太郎の孤高性、そして過酷な宿命を背負った渡世人としての生き様が見事に印象づけられている。

 本作で難は、成人した小夜を演じた十朱幸代だろうか‥。感情の起伏が今一つ甘く見えた。対する錦之助がどちらかというと熱演派なので、それとの相性もあろう。もう少しヒロインとしての主張が欲しい。
[ 2012/12/14 01:26 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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