1丁の銃を巡って展開される群像西部劇。
「ウィンチェスター銃'73」(1950米)
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ) 1876年、荒野を放浪するガンマン、リンとハイ・スペードは、独立記念日で湧く小さな町に流れ着いた。二人はそこでかつての宿敵ヘンリーと再会する。銃の腕に自信があるリンとヘンリーは射撃コンテストに出場する。結果はリンが優勝し、千丁に1丁と言われるウィンチェスターのライフル銃を獲得した。ところが、それを悪辣なヘンリーに奪われてしまう。リンたちはヘンリーから銃を取り返そうと追いかけるのだが‥。
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(レビュー) 1丁の名銃を巡って様々な人物が交錯する異色の西部劇。
西部劇の名匠A・マンの出世作として知られる本作は、いわゆる通俗的な西部劇とは趣を異にした作品である。
ウィンチェスター銃は武器商人、先住民、騎兵隊、新婚夫婦等、様々な人物の手から手へと渡る。物語はそこで繰り広げられるサスペンス、人間ドラマが中心となっている。なので、派手な銃撃戦の連続で見せるアクション性の強い作品ではない。
確かに地味ではあるが、ウィンチェスター銃という小道具を巧みに使いながらドラマは絶妙に盛り上げられていて中々面白く作られていると思った。
ただし、一つ苦言を呈するなら、このウィンチェスター銃が一体どれほど凄い銃なのか?そこが明確に示されてなかったのは残念である。皆が血眼になって奪い合うのだからさぞかし凄い銃であることは確かなのだろうが、他の銃との差別化を示すような場面が1か所でいいからあって欲しかった。そうでないと根本の部分で説得力が生まれてこない。
物語の非常に軽快に進む。多彩な人物を難なく見せきったA・マンの演出は見事と言えよう。また、クライマックスの銃撃戦の演出にも見応えが感じられた。着弾のギミックに対するこだわり等、細かな部分の演出も実に決まっている。
主演を張ったJ・スチュアートは今作を機に西部劇への出演が増えていった。A・マンとのコンビで西部劇を数本撮っているが、その最初の作品が本作となる。マン&スチュアートコンビにとっては記念碑的作品と言うことが出来よう。
他にも、意外なキャストが顔を見せている。先住民のヤング・ブル役をロック・ハドソンが演じていた。おそらく、今作が彼の映画初出演作となるのではないだろうか?また、デビュー間もないT・カーティスもクレジットされていた。しかし、自分はどこに登場していたのかは気が付かなかった。
尚、製作は
「暴力脱獄」(1967米)や
「さすらいの航海」(1976米)等で知られる名匠S・ローゼンバーグである。彼は今作をきっかけにTVから映画へと活動の場を広げて行った。そういう意味では、彼にとっても記念碑的作品と言う事が出来よう。