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少年

大島渚が他界した。日本映画界の異端児にして世界に通じる偉大な作家だったように思う。彼の作品を「少年」を見てみた。
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(2011/07/30)
渡辺文雄、小山明子 他

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「少年」(1969日)star4.gif
ジャンル社会派・ジャンル青春ドラマ
(あらすじ)
 当たり屋をしながら全国を旅する詐欺一家がいた。少年は走っている車にわざとぶつかって慰謝料を奪って家族を養っていた。前科者の父は仕事もせず、その金で自堕落な暮らしを送っていた。継母もそんな父にベッタリで少年につらく当たった。ある時、たまらなくなった少年は家族から逃げ出そうとする。
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(レビュー)
 当たり屋をしながら家族を養う少年の荒んだ青春をシリアスに綴った社会派ドラマ。終盤で実話がベースになっていることが明かされ驚いた。いかにも昭和的な事件であるが、陰鬱なモノクロ画面も相まってゾッとさせられる。

 物語は実際の事件を意識するかのようにドキュメンタリータッチで進行する。展開のバイブレーションには乏しいものの、後半にかけてドラマチックな事件が用意されていて面白く見ることが出来た。そして、その最大の功労は継母の存在にあるように思う。

 彼女は、家族とは名ばかりのバラバラな関係の中で常に中心に存在している。冒頭、彼女は妊娠をきっかけに、それまで自分がやっていた当たり屋を少年に強要する。また、彼女には幼い連れ子(少年にとっては義理の弟)がいて、二人の接し方がまるで違う。自分がお腹を痛めて生んだ子供の方に当然愛情を注ぐのだ。少年にとって、この継母は正に鬼母以外の何者でもないだろう。
 ところが、彼女は夫に堕胎を命じられたのをきっかけにして、それまで犬猿の仲だった少年と共闘して夫に反乱を起こしていくようになるのだ。
 家族間の愛憎が刻一刻と変化する所が面白い。全ては、この継母の立ち回りがあるからで、一体この歪な家族はどうなってしまうのか‥という興味で最後まで飽きなく見ることが出来た。

 もっとも、ここで描かれている家族の愛憎ドラマは、現代の家族にそのまま当てはめて考えることは難しいと思う。第一に、当たり屋の存在自体、昨今では見られなくなってしまった。親のエゴに束縛される現代の子供たちの苦悩は、また違った形で表現されるだろう。
 例えば、親が子供に保険金をかけて殺害する‥なんていう事件が実際に起こっている。また、これが少年ではなく少女だったら、親が売春を強要するという惨たらしい事件にも置き換えられよう。現代では昔よりも親子関係がドライになってきた分、児童虐待、ネグレクト等の問題が多い。怪我くらいで済む当たり屋は、殺したり、性の道具にしたりしない分、まだマシな方ではないだろうか。

 監督は大島渚。脚本は田村孟。両作家に共通する鋭い社会風刺は今回も健在である。
 ただ、これはもう大島渚の性癖であろう。自身の政治的発言が今回も所々に出てきて、若干ドラマの邪魔に写った。彼の監督デビュー作「愛と希望の街」(1951日)でも感じられたことだが、彼は社会に対する痛烈な批判を浴びせる一方で、それを作ってしまう政治に対する不信、不満を物語の本筋を超えた所で声高らかに発言してしまうような所がある。

 例えば、今作で言えば、黒の日の丸が堂々と映し出されるオープニング、日本の国旗が意味なくバックに掲げられる終盤、父の戦争体験の熱弁等、これらは余り本筋には関係ない。こうした強烈な思想的発言は過激な作家・大島監督の特徴の一つであるが、個人的にはそれが作品の"雑味″に映ってしまう。

 一方、大島が作り出す映像については、今回も面白く見れた。モノクロをフィルターで着色した独特のトーン、夜行列車から捉えた深い闇のトーン、家出した少年が行きつく海岸における幻想的なトーン、いずれも面白い。彼の美的感性には毎度のことながら惚れ惚れさせられる。

 また、少年が自分で作った雪だるまを宇宙人に見立てて、義弟の前で粉々に破壊するシーンも印象深かった。ここは超スローモーションで表現されている。親や社会に対する少年の怒りと悲しみが鮮烈に感じられた。名シーンだろう。

 逆に、雑と感じる演出もあり、後半の雪道の事故はどう見ても死亡事故には見えない。もっとリアリティのある演出を心掛けてほしかった。また、当たり屋にあった加害者のリアクションも一部で愚鈍な演出がある。これも手を抜かないで演出して欲しかった。
[ 2013/01/23 01:25 ] ジャンル青春ドラマ | TB(0) | CM(0)

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