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007/スカイフォール

これまでにない大胆なアプローチでボンドを見せた異色作。
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「007/スカイフォール」(2012英米)star4.gif
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 NATOが世界中に送り込んでいるスパイのリストが盗まれた。MI6の諜報部員ジェームズ・ボンドはその奪還作戦を決行中、味方の銃弾に当たって死亡する。その後、MI6の本部が爆破される。失態続きのMは審問会にかけられ進退を迫られることになった。そこに死んだはずのボンドが現れて‥。
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(レビュー)
 シリーズ誕生50周年記念作として製作された通算23作目の作品。

 今回はMI6の存在意義、諜報部員の存在意義を問うた、ある意味で作品のコンセプトに真っ向から反問するような異色作になっている。ユーモアとお色気、派手なアクションを売りにしたこれまでのシリーズとは真っ向から対立するようなシリアスさで、かなり驚かされた。

 主演はこれが007シリーズ3作目となるD・クレイグ。彼のボンドは前々作「007/カジノロワイヤル」(2006米)しか見てないが、どちらかと言うとトラッドでスタイリッシュな印象を受ける。それまでは華やかなイメージがあったが、彼のボンドは非常に渋い。そして、アクションも身体を使った物が多くストイックである。地味と言えば地味だが、リアリティ重視な人には好まれるボンドだろう。

 そして、秘密兵器も余り派手なものは登場してこない。例えば、今回はQが世代交代しており、眼鏡をかけたコンピューター・ヲタクな青年が新Qとして登場してくる。彼がボンドに渡すのはマイクロ発信機と指紋認証付きの銃だけである。また、第3作「007/ゴールドフィンガー」(1964英)のオマージュで登場する愛車のアストンマーチン。こいつの武器も決して派手ではない。このように今回は徹底したリアリティ重視、地味且つストイックに抑制されている。

 時流に逆らったこの作風は、ダメな人にはとことんダメだろう。ウィットに富んだ会話もほとんどないし、生真面目すぎてつまらないという人の意見も分かる。しかし、ここまでシリーズのお約束を大胆に外してきた所に俺は新味を覚えた。もしかしたら今後シリーズを語る上で外すことのできない異色作になるのではないか‥。そんな気すらする。

 監督はS・メンデス。これまではどちらかと言うと人間ドラマを撮ってきた監督である。そんな彼が何故メガホンを任されたのかは謎だが、そのおかげで今回は一味違った007になったことは間違いない。ただ、純粋にスパイ映画として見た場合、彼が監督を務めたことで良い面と悪い面が出たような気はした。

 まず、成功しているのは映像演出である。上海の追跡劇は光と闇が織りなすノワール・タッチに痺れてしまった。ここまで渋くケレンミのある映像は、ここ最近見たことが無い。実に素晴らしい。その後のマカオのカジノ風景もため息が出るほど美しく、本作はこうした夜間映像の美しさが際立っていた。

 逆に、アクション演出は今一つ切れが足りなく物足りなかった。元来、アクション畑の出身ではないのでこちらの演出は敷居が高かったか‥。冒頭の追跡劇こそスピード感のある演出で引きつけられたが、後半の地下鉄の追跡劇、クライマックスの銃撃戦はいただけなかった。特に、クライマックスはかなり派手な戦いをやっている割に絶望感、切迫感が余り感じられない。大体によって敵の段取りの悪さが致命的である。何の戦略もなしにいきなり正面から乗り込んでいくなど、普通に考えたらありえない。脱出路というアイディアも、それ自体は良いのだが、これは絶体絶命の状況でこそ活きてくる"奥の手”だと思う。それを安易に出してしまったことに不満を感じた。
 こうした賛否の全ては監督の資質にあるように思う。

 一方、シナリオは致命的な欠陥は余り見られない。今回はボンドの出自を巡るドラマになっており、全体の構成はよく考えられていると思った。ただ、人物の行動に理が伴ってなかったり、説得力に乏しい場面が幾つか目についた。「キャラクターの行動が場面を作る」のではなくて、「場面展開のためにキャラクターが行動している」。そんな箇所が幾つか見つかる。

 それを一番強く感じたのはMI6の貧弱さである。何も完璧を求めているわけではないが、これだけ失態を繰り返していればMに対する追求が厳しくなるのも当然だろう。冒頭から強引な命令で墓穴を掘るわ、ハッキングされてオフィスを爆破されるわ、挙句の果てにいとも簡単にシルヴァに脱走されてしまう始末‥。一つ二つの細かな失態ならまだ許せるが、これだけ続くと"話を転がすために失態をしている‥”という風にしか見えなくなってしまう。さすがにこれはないだろう。

 色々と不満が出てしまったが、これは作風にもよりけりだと思う。おそらくR・ムーア版007のような何でもありなバカ映画だったら、これらは笑って済ませられるだろう。しかし、今作は作りがシリアスになっているので余計に粗が目立ってしまう。

 しかし、こうした雑な部分もあるにはあるが、自分は今回の作品を評価したい。シリーズのコンセプトを打破しようとした製作サイドの意気込み。ジェームズ・ボンドというヒーローを正面から問いただすような作品は、これまで誰もしてこなかった問題作とも言える。これは斬新な試みではないだろうか。

 特に、タイトルにもなっている「スカイフォール」の意味。これを解明していくクライマックス以降の展開は、ドラマがボンドの内面にグイグイと食い込んでいき見応えが感じられた。昨今、ハリウッドではリブートという言葉が流行っているが、今回の物語もある意味ではそれに近い"007再生″のドラマと言っていいと思う。そして、Mとボンドの関係。シルヴァとボンドの関係。これらを読み解いていけば、そこにはまるでシェイクスピア悲劇のような物語が広がっている。まさか007でここまで重厚なドラマを見せつけられるとは思いもよらなかった。

 キャストではシルヴァを演じたJ・バルデムの悦に入った演技、Q役のB・ウィショーの優男振りが印象に残った。この両者に関してはヤリ過ぎとも言える演技で、本来リアリティを重視する今回のコンセプトから完全に外れてしまっているのだが、数少ないユーモア要員として楽しめた。また、マロリー役のR・ファインズの曲者振りも中々良かったと思う。
 一方、ボンドガールは今回は強いて言えばMになろうか‥。ロマンチックなボンドガールは今回は登場してこない。これも常道を外していて面白い。
[ 2013/02/06 01:40 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(2)

おはようございますありのさんへ、僕もこの作品を見てきたのですが、その時、今回の敵のシルヴァ役を演じたハビエル・バルデムさんが、「ビューティフル」という作品に出てた方では?それにシルヴァのアジトのロケ地に長崎県にある軍艦島が使われていたのでびっくりしましたエンドクレジットに日本語と英語で表示されてました。ジュディ・デンチさん演じるMさんについてですが、榊英雄さん(俳優・映画監督)演じる特命戦隊ゴーバスターズに登場する、黒リンことエネルギー管理局特命部司令官黒木タケシと並ぶ優秀な組織のリーダーであることは、間違いないと思います。それから、この作品で印象に残ったがボンドをアジトで拉致したシルヴァが「最後の2匹のネズミだ」という場面と最後の対決の場面でシルヴァがヘリに乗ってやってくるのですが爆音レベルの大音量で音楽を垂れ流しながらやってくる場面は、見に来た映画館の音の威力が凄かったのでうるさく感じたので耳を塞ぎそうになったです。ボンドらに捕らえられて拘束されたときに自分の秘密を話す場面で入れ歯を外す場面はおそろしかったです。今回のアデルさんの主題歌もとても良かったです。
[ 2013/02/07 07:50 ] [ 編集 ]

ハビエル・バルデムはノーカントリーの怪演も印象的でした。映画館によっては音の質が大分違うようですね。自分は新宿で滑り込みで見てきました。音はそれほど煩くは感じませんでしたが。
アデルの主題歌はアカデミー賞の有力候補ですよ。
期待しましょう!
[ 2013/02/09 17:43 ] [ 編集 ]

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