かなり捻ったタイプのコメディ。
「板尾創路の脱獄王」(2009日)
ジャンルコメディ・ジャンルサスペンス
(あらすじ) 昭和9年、脱獄の常習犯・鈴木が山奥の刑務所にやって来る。看守長の金村は彼の経歴を見て不審に思った。無銭飲食という微罪で捕まっておきながら、何故か鈴木は脱獄を繰り返していたからだ。それによって彼の刑期は無限に伸びていた。それから12年後、金村は再び獄中で鈴木と再会する。
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(レビュー) お笑い芸人・板尾創路が主演・初監督を務めた作品。脱走を繰り返す男の数奇な運命を独特のタッチで描いている。
物語自体はいたってシンプルだが、それを飽きなく見せた板尾の演出は、これが初監督であることを差し引いても中々手練れている。カメラの切り替えやスローモーション、ライティング等を駆使しながら、映画としての見栄えを良くしようとしているのがよく分かる。少なくとも同じお笑い芸人である松本人志の作品に比べれば、断然こちらの方が見やすい。
ただ、スタッフ・クレジットを見ると山口雄大の名前がやたらと目立つのが気にかかった。彼は共同脚本から編集、クリエイティブディレクターと八面六臂の尽力を見せている。だとすると、あるいは本作のほとんどは彼の力量によって支えられた作品なのではないか‥そんな風にも思えてくる。実際の所は分からないが、少なくとも彼のセンスが多分に反映されているような気がした。
ちなみに、山口雄大と言えば「地獄甲子園」(2002日)、「魁!!クロマティ高校 THE★MOVIE」(2004日)といったバカ映画を数多くとっている監督である。マンガ的で破天荒な作品が多いのでかなり取っつきにくいが、それを想起させるようなバカギャグが終盤に登場してくる。正直、これには唖然とさせられた。この究極の"ハズし″に山口イズムとの共通性が感じられた。
笑いは少し捻ったタイプの物が多い。大笑いするような明快なギャグは少なく、くすくすと笑えるようなギャグが大半を占めている。中にはかなりブラックなシーンや暴力シーンも出てくるので、見る人によっては好き嫌いがはっきりと分かれるだろう。ただ、板尾と言えばちょっとクセのある芸人である。その資質が出た‥と考えれば、一定の評価は出来る。
尚、劇中歌が変テコ極まりない。なぜこんな歌にしたのだろうか?これにも唖然とさせられた。