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ナイン・ソウルズ

9人の脱獄囚の群像劇。ウルッとさせたり、クスッとさせたり、中々エモーショナルな作品。
ナイン・ソウルズ [DVD]ナイン・ソウルズ [DVD]
(2004/01/21)
原田芳雄、松田龍平 他

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「ナイン・ソウルズ」(2003日)star4.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 青年・金子は父親殺しで刑務所に服役する。相部屋には様々なワケあり囚人達がいた。息子を殺した長谷川、脱獄のプロ、暴走族、ヤクの売人、AVの帝王、爆弾魔等。ある日、部屋にネズミが入ってくる。その経路をたどって彼らは脱獄に成功する。一行は途中でバンを奪い、相部屋だった偽札作りのプロの情報を元に、隠し金を求めて旅を始める。
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(レビュー)
 9人の脱獄囚の友情を様々な回顧を交えて描いたロードムービー。

 いわゆる脱獄物として捉えた場合、リアリティに欠ける作品である。9人は簡単に脱獄できてしまうし、警察やマスコミの動向も希薄である。全体的に作りが劇画タッチになっているので、どうしても楽観的に見えてしまう。

 ただ、そもそもこの映画は別に本格的な脱獄物を狙って作られているわけではない。社会のはみ出し者たちが抱える葛藤を描いた人間ドラマ的な側面が強い。ある種、寓話のようにも捉えられる。
 また、彼らの珍道中には学園物や軍隊物ではよく目にするホモソーシャルな関係性が嗅ぎ取れ、そこにしみじみとした味わいも感じられる。泥臭い世界の中で育まれる友情。それもこのドラマの見所だろう。

 9人の脱獄囚たちは夫々に個性的に造形されている。
 主人公は父親殺しの引き籠り青年・金子である。何故彼が凶行に走ったのかは後半で明らかにされるが、それまでは終始寡黙で何を考えているのかよく分からない、一見してミステリアスな存在として描かれている。松田龍平が異様なオーラを放ちながら好演している。  
 息子を殺した中年男・長谷川は、何でも仕切りたがる頑固おやじタイプで、こちらは原田芳雄が絶妙な味わいで演じている。
 その他に、長谷川の舎弟を千原浩史、お調子者のAVの帝王を板尾創路、人生訓を軽妙に話す脱獄のプロをマメ山田が演じている。実に多彩な顔ぶれが揃っていてこのロードムービーは賑々しく展開されている。

 物語は、個々の過去にスポットライトを当てながら、やり残したこと、叶わなかった夢を掴みとっていく群像劇になっている。彼らは夫々に罪の意識に苛まれ苦闘していく。そのアウトロー然とした姿には、ある種アメリカン・ニューシネマの主人公たちのような魅力が感じられた。男の哀愁とでも言おうか‥。その生き方に痺れてしまった。

 中でも、AVの帝王、同級生殺し、爆弾魔、この3人のエピソードは印象に残った。ベタな浪花節と言えば確かにそうだが、夫々に過酷な結末で締めくくられている。安易なハッピーエンドに堕することなく、犯罪者にとってのケジメをきちんと提示して見せた所に好感が持てた。ただし、同級生殺し・牛山に関してはかなり情感に訴えた演出になっており、ここはもう少し考えて欲しかった。

 監督・脚本は豊田利晃。本来、彼はドライなタッチを信条とする作家である。今作は夫々のエピソードが人情話の筋立てになっているが、最後は必ず各キャラクターを突き放して描いている。これは彼の作家としての資質だろう。甘ったるくしようとすればいくらでも出来るが、リアリズムに拠った回答を出している。犯罪者の罪滅ぼしのドラマとしては、これは正解だと思った。歯ごたえが感じられて良い。

 脚本も上手くまとまっていると思った。個々のエピソードを無難に消化しつつ、尚且つ散漫さも余り感じさせない。作品のテーマがしっかりしているからであろう。全てのエピソードが同じテーマ、つまり過去との対峙、自由の獲得という所に向かっているからだと思う。全体にまとまり感がある。

 そして、このドラマの肝を成す金子と長谷川の関係。これも映画全体を貫くエピソードとして上手く転がされていると思った。
 父親殺し、息子殺しの罪を背負う者同士に芽生える疑似親子関係‥。やりようによっては大変臭くなる設定だが、二人のやり取りは終始クールに留められており、お涙頂戴的なあざとさは感じられない。

 尚、脱獄した9人が走るタイトル・シーンが高揚感に溢れていて格好良かった。まるでR・アルドリッチ監督の「飛べ!フェニックス」(1965米)のタイトル・シーンを彷彿とさせる。こういうアッパーでスタイリッシュな映像はいかにも豊田監督ならではのセンスと言える。コイツらこれから何をしでかす‥?という期待と興奮に溢れた良いタイトル・シーンである。
[ 2013/03/16 02:00 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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