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洲崎パラダイス 赤信号

男女の彩を描いた市井のドラマ。
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(2011/11/02)
新珠三千代、三橋達也 他

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「洲崎パラダイス 赤信号」(1956日)star4.gif
ジャンルロマンス
(あらすじ)
 親に結婚を反対されて駆け落ちした蔦枝と義治は、金が底をつき路頭に迷っていた。二人は蔦枝がかつて働いてい洲崎の遊郭にやって来る。蔦枝は小料理屋で住み込みの仕事を見つけ、義治も小料理屋の女将の口利きで近くの蕎麦屋で働くことになった。二人は暫く離れて暮らすことになるのだが‥。
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(レビュー)
 夫婦の腐れ縁を周囲の人間模様を交えて描いた市井ドラマ。

 蔦枝は明るくユーモアにあふれた女性である。と同時に、世渡り上手と言えばいいだろうか、かなり狡猾な一面も持っている。言い寄ってくる男に愛想を振りまき、すんでの所で袖に振る。実にしたたかな女性と言えよう。

 一方の義治は典型的な甲斐性なしである。蔦枝と離れて暮らすことで後半から徐々に更生していくが、彼女に振り回されていることに変わりはない。結局、彼は蔦枝に甘えているだけで、自分の力では何も出来ない男である。

 蔦枝はさっさと見切りをつけて別れたらいいのに‥。映画を観た人は誰もがそう思うだろう。しかし、彼女は何故か義治から離れられない。というより、これはダメ男に惹かれてしまう母性なのだろう。実に損な生き方をしていると思った。

 見てて何とも煮え切らなかったが、離れられない二人の心理はリアルに描けていると思った。それに男と女の関係などは案外こういう理不尽な所がある。片方が出来た人間であれば、もう片方はそれにおんぶに抱っこで全然努力しようとしない。それで何となく続いてしまうものだったりする。

 監督は名匠・川島雄三。脚本は名ライター・井出俊郎。成瀬巳喜男を想起させる“ヤルセナキオ”的男女関係は、普通なら見てて居たたまれなくなってくるものだが、そこをこのベテランコンビは周囲の様々な人間模様を絡めながら味わい深くまとめあげている。

 たとえば、蔦枝たちが厄介になるキーパーソン、小料理屋の女将の失意と希望、転落のドラマには深い感銘を受けた。実は彼女自身、義治を支える蔦枝と同じように、疾走した夫に泣かされてきた女である。「男なんてみんなそんなもんよ‥」と蔦枝に言い放つが、これは我が身を振り返っての言葉であろう。実に説得力が感じられた。

 また、蕎麦屋の店員・玉子の優しさも味わいがあって良かった。義治は蔦枝のために急に金を工面せねばならず思い余ってレジの売り上げを持ち出してしまう。玉子はそれを店主に言わず黙っていてあげる。あるいは、彼女は義治のことを好いてたのかもしれない。彼を見る目がそう思わせる。そんな心情を投影しながら見ると、このキャラクターが俄然愛おしく見えてくる。

 他にも、遊郭に売られた若い女と学生のエピソードも良かった。皮肉的な顛末を迎えるが、男女の彩を残酷にしたためた所に見応えを感じる。いわゆる、“若さゆえの過ち”を見事に捉えていると思った。

 ところで、蔦枝と義治を初め、ここに登場する男女は先述の「みんなそんなもんよ‥」という言葉に集約されるような気がする。昔から夫婦喧嘩は犬も食わぬ‥と言うがまさにその通りで、好いた者同士がくっついた、離れた‥を延々と繰り返すのが男と女である。「みんなそんなもんよ‥」というセリフは、それだけで聞くと何の変哲もない普通の言葉に聞こえるが、このドラマの中では案外重い意味を持っているように思った。

 しかし、だからと言って、川島&井出は決してキャラクターを突き放して描いていると言うつもりはない。個々の感情の深淵を突き詰め、キャラクターのリアル化が正面から図られていると思った。彼らの一挙手一投足に川島&井出の愛情が注ぎ込まれていることは映画を見て強く感じるところだ。だから、自分は活き活きとした市井のドラマとして強く惹きつけられてしまう。

 尚、助監督に今村昌平の名前がクレジットされている。彼は川島に師事し、後の名作「幕末太陽傳」(1957日)で脚本と助監督を務めている。それをきっかけにして今村は独立した。翌年に彼は「盗まれた欲情」(1958日)で監督デビューを果たしている。
[ 2013/03/23 01:50 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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