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独立愚連隊西へ

更に活劇度が増した第2作。
独立愚連隊西へ [DVD]独立愚連隊西へ [DVD]
(2006/01/27)
佐藤允、加山雄三 他

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「独立愚連隊西へ」(1960日)star4.gif
ジャンル戦争・ジャンルアクション
(あらすじ)
 太平洋戦争末期、北支戦線。独立左文字隊は最前線で敵と遭遇する。しかし、両軍とも撃ち合うことなく、左文字隊長は敵の隊長と、再び戦場で会った時には正々堂々と戦おう‥と約束して別れた。その後、左文字隊は戦場に残された日本軍旗を捜索する命令を受ける。彼らは再び最前線へと向かうのだが‥。
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(レビュー)
 岡本喜八が監督・脚本を務めた戦争映画「独立愚連隊」(1959日)シリーズの第2作。
 第2作とはいっても続編というわけではない。キャストが被っているが夫々に新しいキャラクターを演じているし、ストーリーも全く繋がっていない。なので、前作を見ていなくても十分楽しめる内容になっている。ただ、前作の敵役・中丸忠雄が今回は前回と打って変わって意外な役回りで登場してくるなど、連作ならではの楽しみ方が出来る。なるべくなら前作を見てから鑑賞した方がベターだろう。

 さて、第2作となる本作は、前作以上に活劇度を増した作りになっている。ただ、序盤は少々野暮ったい演出が続くため余り乗れなかった。例えば、冒頭の追いかけっこは少し悪ふざけが過ぎると感じた。また、前作で石井隊長を演じた中谷一郎がここでは中国人のスパイとして登場してくるのだが、これがストーリー上、余り上手く機能しているように見えなかった。中丸忠雄同様、意表を突いた役回りは良いとして、彼の行動が日和見で、本筋の左文字隊のストーリーの邪魔になってしまっている。

 正直な所、面白く見れるようになってくるのは中盤、左文字隊が敵に取り囲まれて以降である。ここから岡本喜八らしい活劇がグンと増し、中だるみすることなく一気に最後まで乗って行ける。

 加えて、中盤からドラマのキーパーソンが二人登場し、ドラマ的な魅力を上手く引き立てている。一人目は先述した中丸忠雄演じる金山中尉、もう一人は左文字隊の小峯衛生兵の元恋人・羽島である。前者はサスペンス的な面白さ、後者は恋愛ドラマ的な面白さを演出している。

 クライマックスの人を食った展開には、根っからの娯楽職人・喜八監督の洒落が感じられた。前作にも言えることだがこのシリーズは反戦がテーマになっている。それがこのクライマックスには強烈に掲示されている。しかも、決して鬱なテイストにならないところが岡本喜八らしく、戦争をコケ下ろしながら痛快に笑い飛ばしてしまうあたり、実に爽快であった。数多ある反戦映画の中でも珍しい結末と言えるだろう。

 他にも、軍服を無くした兵士たちがふんどし一丁姿で味方を急襲するとか、日本軍同士の醜い争いとか、前作以上に戦争の皮肉がタップリと込められている。早川の「勲章を欲しがるのは職業軍人か子供だけだ」というセリフも実に皮肉的に聞こえた。

 岡本喜八の演出はミステリー主体だった前作以上に歯切れが良くなっている。全体的にセリフ回しが軽快で心地よい。ユーモアを効かせた演出も健在で、銃撃戦の中を悠然と煙草をくゆらす‥なんて静と動のコントラストを効かせたアイディアは実に味があった。後半の出来だけを見れば正に快作と言えよう。
[ 2013/05/13 00:44 ] ジャンル戦争 | TB(0) | CM(0)

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