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ああ爆弾

ラジカルな喜八演出に呆気にとられる!
ああ爆弾 [DVD]ああ爆弾 [DVD]
(2006/02/24)
伊藤雄之助、砂塚秀夫 他

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「ああ爆弾」(1964日)星3
ジャンルコメディ・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 大名組の組長・大作は3年の刑期を終えて、子分の太郎を引き連れて出所した。ところが、出迎えたのは息子の健作だけだった。聞けば、妻は宗教にのめり込み、組員たちは選挙活動で忙しいと言う。大作は早速その足で組を訪ねると、以前とはまったく様変わりしていて驚く。事務所には組の社長・矢東弥三郎の選挙ポスターが張られていたのだ。大作と太郎は、弥三郎から組を取り戻そうとするのだが‥。
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(レビュー)
 ヤクザが自分の組を乗っ取った男に復讐していくスラップスティック・コメディ。

 監督・脚本を務めた岡本喜八のやや暴走気味な演出、それと大作を演じた伊藤雄之助の怪演。この2点が本作の見所である。

 岡本喜八の演出は終始コミックタッチで、オープニングからして度肝を抜かされる。牢屋の中で大作と太郎が歌舞伎の浄瑠璃に合わせて延々と踊るのだ。見る者を否応なく引き込む奇怪な演出は、これから一体どんな映画が始まるのか‥と興味を持たせる。その後、出所した大作は太郎と協力して爆弾を作って弥三郎に復讐を果たそうとするのだが、なるほど‥。この展開からオープニングの意味はこれか‥と想起される。要するに、彼らは"傾き(かぶき)″者なのだ。

 今回の喜八演出の大きな要素として「音」の使い方が挙げられる。様々な「音」を駆使しながらセリフのやり取りや場面転換をリズミカルに見せている。
 例えば、大作の妻が唱える南無妙法蓮華経の太鼓の音、汽車の走る音。こうした音を映像に賑やかに被せる演出は、まるでミュージカル映画さながらの躍動感である。後半にはミュージカルその物とも呼べるような群舞まで登場してくる。何度も登場する浄瑠璃も然り。和製ミュージカルのようなものである。この映画では「音」や「音楽」は大変重要な役割を果たしている。

 そしてもう一つ、今回の演出の大きな特徴に場面転換のスピーディーさがある。余韻や「間」といったものを尽く切り詰めながら、登場人物たちはまるで瞬間移動でもしたかのように、まったく離れた場所のまったく異なるシーンに突如として表れるのだ。その間の移動シーンもなければ説明セリフもない。
 その最たるは大作が2号の家を訪ねるシーンだろう。大作が襖を開けるとそこは真っ暗な空間。長い廊下を渡っていくと目の前に突如として"過去の幻影″が現れる‥。この廊下は歌舞伎で言えば、さしずめ「花道」か‥。それを渡って何と大作は時空をトリップしてしまうのだ(多分‥)!
 乱暴と言えば実に乱暴なシーン接合だが、この極端な省略演出は今作の大きな魅力の一つである。

 このように今回はラジカルな演出が至る所に頻出する。一連の破天荒な岡本喜八作品を知る人でも、ここまで極められると少し困惑するかもしれない。逆を言えば、氏の意気込みと情熱には首を垂れるしかない。実に実験的で野心的な一品である。

 一方、シナリオはかなり破綻しているという印象を持った。後半から大作がストーリーのメインから降り、代わりに子分の太郎が活躍していくようになる。主役が入れ替わる格好になってしまい感情移入が削がれてしまう。シナリオはかなりチグハグな印象を受けた。

 ちなみに、ギャグとして最も笑えたのは、バキュームカーが散髪屋に乗り込んでいくシーン、爆弾ペンシルのシーンだった。特に、後者はいつそれが爆発するか‥というスリリングさで目が離せなかった。爆弾ペンシルは人から人へと渡り皮肉的な結末を迎える。この人を食った顛末は見ようによっては人間の愚かさを風刺しているとも言える。ピリッとした辛めなところも岡本喜八ならではのテイストだろう。
[ 2013/05/19 13:37 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

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