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悦楽共犯者

変態的な性癖を持つ者たちの哀歌。
ヤン・シュヴァンクマイエル 悦楽共犯者 [DVD]ヤン・シュヴァンクマイエル 悦楽共犯者 [DVD]
(2005/02/23)
不明

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「悦楽共犯者」(1996チェコ英スイス)hoshi2.gif
ジャンルアニメ・ジャンルコメディ・ジャンルファンタジー
(あらすじ)
 とある下町。孤独な中年男はポルノ雑誌でストレスを解消していたが、ある日料理で使うニワトリの首から滴る血を見て得も言われぬ興奮を覚えた。以来、彼は粘土でニワトリの頭を作ってそれを被って悦ぶようになる。彼が住むアパートの向かいには太った中年女が住んでいた。彼女は女王様になって人形を縛って悦ぶ趣味があった。一方、そのアパートに出入りする郵便配達員の女性がいた。彼女はパンくずを丸めるのが趣味だった。そして、夜になるとそれを使ってある行為をしていた。また、近所の本屋の主人はテレビに写る女性キャスターで毎晩オナニーをしていた。それがエスカレートし、ついに彼は珍妙な発明品を作ってしまう。女性キャスターの近所に住む男は指サックやバケツ等のコレクションマニアだった。彼はそれを使って奇妙なマッサージの機械を作る。
映画生活

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(レビュー)
 6人の男女の珍妙な性癖を綴ったシュールな作品。

 製作・監督・脚本はチェコのアニメーション作家J・シュヴァンクマイエル。いかにも鬼才らしい偏執的な内容で、彼の作家性がダイレクトに反映された怪作となっている。
 ただし、氏の本領でもあるアニメーションが登場するのは中盤からで、それまでは6人の男女の奇怪な日常風景を淡々と記すのみである。前半は少々退屈した。

 さて、登場する人間は全員、特殊な性癖を持つ者ばかりである。こちらの想像のはるか斜め上を行く連中で翻弄される。ある者は粘土で作ったニワトリの頭を被って少女の人形を襲って喜ぶ。ある者はSMの女王様に扮して人形に鞭を打ってエクスタシーを感じる。ある者は自作の人工マッサージ器で身体中を擦って悦に入る。他に、テレビのニュースキャスターと疑似セックスに興じる男、丸めたパンくずを鼻や耳に詰めて就寝する女、たくさんの魚に足を吸わせて喜ぶ女等々。

 ここまでくると一体何が快感なのかさっぱり分からなくなってくる。ただ、元来性癖などというものは人それぞれである。そこにシンパシーを求めてもしょうがない。
 むしろ、自分が面白いと思ったのは、彼らが皆、性癖を隠したがっているということである。彼らには、いけないことをしているという背徳感、羞恥心がはっきりとある。これは興味深い。つまり、他人に隠れて自分だけの密かな愉しみに酔いしれるという心理、それ自体が快感に繋がっているのではないか‥という感じもしてしまう。案外この背徳に酔いしれるという感情は万人に共通する物ではないかと思う。なんだかんだ言って、自分は彼らに奇妙な親近感をおぼえてしまったのだが、それはこうした背徳感、羞恥心に少なからず感情移入してしまったからなのかもしれない。

 物語は、ただひたすら彼らの性癖を綴るだけで、何か大きな事件が起こるわけでもないし、夫々が劇的な関係性を持つわけでもない。物語はあってないようなものである。ただし、ラストに意外などんでん返しが用意されている。しかし、自分はこのラストを余り評価できない。主人公を妄想と現実の境界がつかなくなった狂人のようにしてしまった所に不満を持った。これではただの狂人で余りにも安易である。後味が良くなかったのも残念である。
[ 2013/06/03 20:16 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

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