ハードでグロテスク!子供にとってはトラウマ級?
「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」(1966日)
ジャンル特撮・ジャンルアクション
(あらすじ) 嵐の夜、太平洋に出た漁船が大ダコの襲撃で沈没した。生存者の話によれば、大ダコはフランケンシュタインのような巨大な怪物に倒されたという。海上保安庁は早速、フランケンシュタインの研究で有名なスチュアート博士に相談する。博士はかつて子供のフランケンシュタインを育てていたのだ。その後、海岸沿いでは例の怪物が再び現れて町を襲撃した。自衛隊と交戦する中、もう1体の怪物が現れる。
楽天レンタルで「サンダ対ガイラ」を借りよう映画生活ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 「フランケンシュタイン対地底怪獣」(1965日)を受けて作られた円谷特撮作品。
尚、自分は前作は未見だが、独立した作品になっているのでこれ単品でも楽しめた。
ストーリーは少々乱暴な展開が目につきもう少し洗練さが欲しいと思った。時系列的な説得力が乏しい。
一方で、円谷英二の特撮シーンは中々の見応えがあった。特に、冒頭の漁船襲撃、ガイラの登場、船員たちの死に至るシークエスは緊張感を漂わせた中におぞましさが加わり実に恐ろしく感じられた。海底からこちらを覗くガイラはきっと子供が見たら泣き出したくなりそうなショッキングなシーンである。大人の自分が見てもちょっとゾッとした。
また、メーサー殺獣光線車が活躍するL作戦なども特撮ファンなら見応えあるだろう。今作での自衛隊の作戦はかなり理にかなったもので納得できる。
サンダとガイラの造形は二足歩行の巨人で、いわゆる“怪獣っぽさ”はない。ただ、これが変に人間臭くて、そこがまた彼らに負わされた悲劇を一層身近なものとして引き寄せて見ることがきでた。
デザインは「ウルトラマン」」などで知られる成田亨が担当している。個人的にはその「ウルトラマン」に登場したジャミラという怪獣を思い出した。サンダもガイラもどこか悲痛さを漂わせた怪獣たちで、そこを探っていくとこのドラマには重厚さも感じられる。
言わば、細胞分裂して誕生したガイラは、サンダの子供のようなものだったのかもしれない。人間に育てられた友好的なサンダ。野生の中で好戦的に成長したガイラ。そんな二体が争いを繰り広げるとは、これは実に親子の葛藤ドラマではないだろうか。
子供向け映画としては少々ハードルが高いかもしれないが、この重厚さが、かえって今作を大人の鑑賞にも耐えうる硬質な作品にしているように思う。
また、山のサンダ、海のガイラ。夫々のコンセプトカラーが明確に色分けされているのもデザイン的には大変良いと思った。ブラウンとグリーンは遠目に見ても一目で判別できる。
キャスト陣ではアケミを演じた水野久美の好演が目立った。彼女のようなしっかりしたキャストが中心にいると映画はそれだけで引き締まって見えるものである。
ただし、彼女のパートナーとなるスチュワート博士を演じたアメリカ人俳優は演技が軽すぎてどうにもシラけてしまう。終始シリアスさを滲ませる水野に対して、時折ニヤケ顔を見せるのはいかがなものか‥。本多猪四郎監督もそこについてはもう少し厳しく演出して欲しかった。
この作品、ファンには秀作として評価が高いですね。ゴジラやモスラ、キングギドラといった“スター怪獣”は出て来ませんが、それでもその緻密に造られたストーリー、映像等コアな特撮ファンには堪えられない出来です。
あの前半のガイラの恐怖、羽田空港の滑走路の遠望にいきなりヌッと現れるあの不気味さ… 本当に場面があったらと思うと… もう背筋が冷たいですね。
そして中盤の自衛隊のカッコ良さ、特にあの今作主役メカのメーサー殺獣光線車!! 子供の頃に少年図鑑で見た当時は、そのリアル・メカニカルかつ未来的なデザインが凄くカッコ良く思えました。
最近「進撃の巨人」なんて作品が話題になってますよね。この作品も人を捕らえて食う怪物のような巨人と、それに対抗する人々との戦いを描いた作品ですけど、一説にはこの作品のルーツになってるのが、このサンダ対ガイラだとも言われてますよね。
このサンダ対ガイラ、今再評価が望まれる作品です。
確かに今作は一部の特撮ファンからカルト的な支持を受けてますね。
トラウマ的な怖さを唱える人もます。
昔の特撮映画は、映像的には嘘と分かっていても、妙に生々しさ感じられました。
今の特撮はCG全盛ですが、今作のような生々しさが失われてしまったような気がします。
コメントの投稿