ベラ・ルゴシが醸し出すの魔力!これに尽きる作品。
「魔人ドラキュラ」(1931米)
ジャンルホラー・ジャンル古典
(あらすじ) 若き弁護士レンフィールドは、トランシルヴァニアの貴族ドラキュラ伯爵に招かれてロンドンの土地を譲渡する契約書を持参した。実はドラキュラには忌まわしき噂があった。その噂通り、レンフィールドは彼の呪いで下僕にされてしまう。その後、ドラキュラはロンドンへ渡り、富豪の娘ミナに出会い彼女を虜にしようとする。
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(レビュー) 19世紀末に発表された有名なブラム・ストーカーの恐怖小説「ドラキュラ」を映画化した作品。
元々は舞台で上映されていたものをユニバーサルが目を付けて映像化した作品である。今作のヒットを受けてユニバーサルは次々と恐怖映画を連発していくが、そのきっかけとなったのが本作である。ある意味では、ホラー映画ブームの火付け役となった作品と言っていいだろう。
ただ、正直、ストーリーは不親切な作りでお世辞にも上手く出来ているとは言い難い。途中に色々と描くべき事件があるのだが、それらが尽く切り詰められてしまっているので、かなり不自然な作りに思えた。
第一オチが余りにも呆気なくて肩透かしを食らった。同じ素材を元にした作品なら、無声時代に作られた「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922独)の方が面白い。もっとも「ノスフェラトゥ」は、ブラム・ストーカーから映像化権を得られず、設定を一部拝借して作り上げたドラキュラ物だったが‥。
今作の見所はキャストである。ドラキュラ役を演じたベラ・ルゴシの圧倒的な存在感。これが印象に残る。その鋭い眼光といったら一度見たら忘れられないほどのインパクトを見る者に植え付ける。カメラもその目にズームするものだから余計に恐ろしい‥。
彼は今作のヒットで一躍スター俳優となった。その後、数々の恐怖映画に出演することになる。ただし、晩年は決して恵まれた人生を送れたわけではなく、そのあたりはT・バートンが監督した「エド・ウッド」(1994米)を見るとよく分かる。この映画は映画監督エド・ウッドの半生を描いた伝記映画だが、その中に彼が監督した史上最低の映画と言われている「プラン9・フロム・アウター・スペース」(1959米)が出てくる。ベラ・ルゴシの最後の映画出演は、実はこの「プラン~」の端役だった。しかも、彼は映画が製作された3年前に他界していたので、この時の出演は生前のフッテージが使われたそうである。かつてのスター怪優もこれでは浮かばれない‥。