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吸血鬼

アバンギャルドな作風は好き嫌いが分かれるかも。
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(2011/07/30)
ジュリアン・ウェスト、モーリス・シュッツ 他

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「吸血鬼」(1931独仏)星3
ジャンルホラー・ジャンル古典
(あらすじ)
 青年アランは旅の途中である宿屋に宿泊する。部屋の階上には奇妙な老人が泊まっていた。その夜、アランが寝静まると、老人が部屋に入ってきて小さな包みを渡して去って行った。翌朝、アランは不気味な影を見る。その影を追いかけていくと一件の古い屋敷に辿りついた。そこはあの老人の家だった。やがて彼は老人が託した包みから恐るべき吸血鬼伝説を知る‥。
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(レビュー)
 吸血鬼映画の先駆けは1922年に製作されたF・W・ムルナウ監督のサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922独)である。今作はそれと同じドイツで製作された吸血鬼映画である。「吸血鬼ノスフェラトゥ」同様、ドイツ表現主義的な作りになっているところは興味深い。独特のモノクロ映像だが、ホラーらしさは存分に出ている。特に、影の演出は白眉で、影が一人でに動き回ったりダンスをしながら各所で不穏な空気をまき散らしている。この演出は秀逸だった。

 監督は名匠C・ドライヤー。彼の作品は、以前に「ガートルード」(1964デンマーク)「奇跡」(1955ベルギーデンマーク)を紹介した。作品の傾向としてはメロドラマからファンタジーまで様々なカラーを撮る作家である。神秘的で魔術的な映像、ロングテイクが彼の演出の大きな特徴で、その作家性は今回も十二分に発揮されている。特に、アランのシュールな幻視シーンは印象に残った。

 一方、物語はやや乱雑でキャラも今一つ整理しきれていないといった印象を持った。そもそも意味不明なシーンが多すぎる。例えば、冒頭の大鎌を担いだ男は誰だったのか?影達のダンスは何だったのか?アランの幻視は何を意味しているのか?こうした謎が謎を呼ぶ演出が各所に登場し、正直ドラマに集中するのは難しい。

 ちなみに、今作はトーキー初期時代の作品という事もあり、セリフはほとんどない。あるとしても必要最小限に抑えられている。中盤からは、老人が残した本がストーリーのほとんどを説明していくようになり、少し変わった構成になっている。

 また、一般的に吸血鬼と言うと、人間の血を吸って生きながらえるというイメージがあるが、ここに登場する吸血鬼はちょっと変わっている。こういう吸血鬼物はかなり斬新だと思う。大変古い映画であるが吸血鬼をこういった形で料理した所に今作のユニークさがあるように思う。
[ 2013/06/23 20:39 ] ジャンルホラー | TB(0) | CM(0)

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