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裁かるゝジャンヌ

異常なほどアップの連続が続き、これには圧倒されてしまう。
裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション [DVD]裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション [DVD]
(2005/08/27)
ルイーズ・ルネ・ファルコネッティ、ウジェーヌ・シルバン 他

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「裁かるゝジャンヌ」(1928仏)星5
ジャンル人間ドラマ・ジャンル古典
(あらすじ)
 ジャンヌは悪魔の子として異端審問裁判にかけられた。審問官は彼女に自供させようと様々な質問を浴びせてくる。徐々に疲労困ぱいしていくジャンヌ。拷問室に連れて行かれた彼女はついに意識を失ってしまった。そして、目の前に出された異端放棄の宣誓書にサインしてしまう。
映画生活

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(レビュー)
 ジャンヌダルクの受難をクローズ・アップの連続で捉えた無声映画時代の代表作。

 もはや神話的と称するほかないジャンヌの殉教姿をひたすらフェイスアングルで紡いだ演出は、映画に異様な興奮と緊迫感をもたらしている。80分間という短い作品だが一時も目が離せなかった。監督、共同脚本はC・ドライヤー。このような特異なスタイルを貫いた所を含め、彼の実験精神がとことん突き詰められた実に画期的な作品である。

 ただ、正直ストーリーは大して動きはない。ジャンヌが死刑台に上るまでの光景を淡々と述べるだけで、何か大きな事件があるわけではない。

 逆に言うと、この動きの少ないストーリーで全然退屈しないのが凄いところ、ドライヤーの演出が全てを凌駕してしまっている証だろう。追い詰められていくジャンヌの表情を追ったシーンの一つ一つに、息詰まるようなサスペンスが封入され、シンプルなドラマを面白く見せている。ドライヤーの巧みな心理演出が冴えわたっている。

 また、クライマックスの暴動シーンンでは一転してアップテンポなロング・ショットに切り替わり、このあたりのメリハリを効かせた演出も素晴らしい。処刑場周辺のカオス感を活劇度タップリに切り取り、それまでのストイックな緊張感との対比で見事にカタルシスを生み出している。

 ちなみに、同監督作「吸血鬼」(1931独仏)でも書いたように、今回も撮影監督ルドルフ・マテのシャープなモノクロ映像は素晴らしかった。影を使った演出も冴えていて、太陽の光に照らされた鉄柵の影が十字架の形になっていく所などは流石と言うしかない。神への不信の触れ衣を着せられたジャンヌに、その影はどう映ったのだろうか?心中察するに余りある。

 また、個人的には火刑台に集まった観覧者たちの風景も印象に残った。まるでサーカスか、お祭りかと言わんばかりの賑やかさで、これまたジャンヌの死との対比で残酷に写った。例えば、ジャンヌの表情に乳飲み子のアップを重ねる所などには、死と生が印象的に対比されている。かなり残酷である。

 ジャンヌを演じたルイーズ・ルネ・ファルコネッティの熱演も素晴らしかった。基本的には悲壮感を漂わせた演技を貫いているが、よくよく見るとバラエティに富んだ表情を見せている。中盤では、祭壇を目にして少しだけ安堵の微笑みを浮かばせる。その後の顛末を知っていると、このシーンは泣けてしまう。
[ 2013/06/25 01:08 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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