派手な銃撃戦が楽しめる実録ギャング物。
「聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ」(1967米)
ジャンルアクション
(あらすじ) 1920年代のシカゴ。各ギャングは酒の密売に明け暮れていた。シカゴ一帯を牛耳るのはアル・カポネ率いる組織だったが、最近モラン一家が勢力を伸ばしてきた。二つの組織は抗争を激化させ、この9年間で600名もの犠牲者を出した。そして、ついにカポネの命が狙われる。カポネは報復とばかりに、組織でナンバーワンの殺し屋ジャックにモランの暗殺を命令する。ジャックはニックという密売酒業者を使って計画を立てていった。一方のモランもカポネの協力者ロロルドの暗殺を企てていく。
ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 実話を元にしたドキュメンタリー・タッチのギャング映画。
軽快に進行するストーリーは決して悪くはないが、誰がどう対立していくのか?というあらすじの説明だけに終わってしまっている。史実を知る分には面白く見れるかもしれないが、それならドキュメンタリーを見ればいいわけで、結局ドラマとしての面白味はほとんど見い出すことが出来なかった。人物の葛藤がほとんどないため退屈である。
そもそも、いくらなんでもこの内容でこの登場人物は多すぎるだろう。中には物語に余り絡んでこない人物もいるし、いくら実録物でも1本の映画としてはもっと整理を要したい。これだけとっ散らかってしまうと見ている方としても集中できない。
製作・監督はB級映画の帝王、R・コーマン。今回も短期間、低予算での製作だと思うが、そつなくこなしている所は流石だと思った。銃撃戦も派手な演出で楽しめる。特に、クライマックス直前、夫々の人物の"最後の朝″に描くドキュメンタルな演出は、M・スコセッシ監督の「グッドフェローズ」(1990米)の一場面、ヘンリー逮捕のシークエンスを連想させる。畳み掛けるような緊張感の連続に、ある種の終末観が感じられゾクゾクさせられた。もしかしたら、この場面はスコッセシにいくらか影響を与えたのではないだろうか?コーマン門下だったスコセッシである。そんなことも想像できる。