アメコミ原作の映画化第2弾。今回も独特の映像世界を堪能。
「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」(2008米)
ジャンルアクション・ジャンルファンタジー
(あらすじ) 超常現象捜査防衛局の捜査官ヘルボーイは、恋人リズと同棲生活を始めていた。しかし、最近二人の関係は余り上手くいっていない。些細なことで喧嘩をしていると、そこにオークション会場から太古の王冠が強奪されたという知らせが入ってくる。ヘルボーイはリズと相棒のエイブを引き連れて現場に急行した。そこには大量の歯の妖精が待ち構えていたが、何とかこれを退治する。しかし、これによって3人の正体は一般市民に知れ渡ることになった。一方、太古の王冠を手に入れたエルフ族の王子ヌアダは、最強の鋼鉄兵団ゴールデン・アーミーを復活させるべく着々と準備に取り掛かっていた。しかし、そのためには残り二つの王冠を手に入れなければならなかった。ヌアダは父を殺してそのうちに一つを手に入れた。残るもう一つは妹のヌアラ王女が持っていた。人類との無益な戦争を嫌った彼女は王冠を持って姿を晦ます。
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(レビュー) アメコミ原作のファンタジー・アクション
「ヘルボーイ」(2008米)の続編。お馴染みの面々が、今度は人類征服を目論むエルフ族の王子ヌアダと激しい戦いを繰り広げていく。
監督・脚本は前作に続きG・デル・トロ、キャストも同じ顔触れが揃っている。但し、前作でヘルボーイの相棒だった人間の捜査官マイヤーズは登場してこない。どうしていないのかは一応セリフで少しだけ説明されているが、存在自体が蔑にされてしまっているのがちょっと釈然としなかった。キャスティングの段階での問題だろうか?あるいはこれが原作通りなのだろうか?
前作は勧善懲悪で単純に楽しめる娯楽作品になっていた。今回も作りは一緒である。安心して見ることが出来た。
そして、今回はヘルボーイが人類と魔族の間で自己葛藤するドラマが組みこまれている。S・ライミ版「スパイダーマン」然り、C・ノーラン版「バットマン」然り。いわゆる昨今のアメコミヒーロー物ではよく目にするドラマである。確かにやりたいことは分かるのだが、これが入ることによって若干展開が鈍るのが気になった。前作の能天気さが後退し、ややシリアス色が強められている。
尚、今回はエイブのロマンス、リズの妊娠といったドラマも登場してくる。前作ではただ単にヘルボーイの仲間という扱いだった二人が、今回はかなりフィーチャーされていて、そこは今回の新たな魅力となっている。
ただ、リズの妊娠についてはもっと積極的に本編に絡めても良かったかもしれない。ヘルボーイの葛藤と成長を促すエピソードとして、これは中々美味しい素材のように思う。ここを掘り下げていければドラマは更に厚みが増しただろう。このままでは何だか最後のオチのためだけに用意されたような設定に終わってしまっている。このあたりは少し勿体なく感じた。
また、今回はチームに新たな仲間が加わる。これも今作の大きな目玉だろう。その新キャラとは潜水服のような恰好をしたガス人間・クラウス博士である。論理的で冷静沈着な堅物で、言わばスタートレックで言う所のスポック的キャラだが、これがヘルボーイと対立していく所に何とも言えぬユーモアが感じられた。彼の存在が今作に良い意味でアクセントをつけている。
映像に関しては今回も素晴らしい出来栄えとなっている。美術、クリーチャーのデザイン、アクションシーンのケレンミ、全てにおいて満足できた。特に、トロールの市場のシーンは様々なクリーチャーが登場してくるので大変ゴージャスである。デル・トロ監督らしいダーク・ホラーなセンスが存分に感じられた。
ところで、今回のラストだが、いかにも続きを期待させるような終わり方になっている。果たして続編は製作されるのかどうか?監督と主演のR・パールマンは続編に前向きで、一応企画自体はあるらしい。しかし、デル・トロ監督は他にも色々と企画が盛りだくさんなようで、実際に製作にGOサインが出るのはまだまだ当分先のようである。