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ゲゲゲの女房

漫画家・水木しげるを影で支えた妻の奮闘記。
ゲゲゲの女房 [DVD]ゲゲゲの女房 [DVD]
(2011/04/27)
吹石一恵/宮藤官九郎

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「ゲゲゲの女房」(2010日)星3
ジャンルロマンス
(あらすじ)
 昭和36年、島根県から東京に出来ていた布枝は、漫画家の水木しげると見合い結婚をした。暮らしは困窮を極めたが、しげるの漫画に対する情熱に胸打たれた彼女は内助の功に徹した。しかし、しげるが描く貸本業界が衰退の一途を辿り、原稿料すらまともに入ってこなくなってしまう。布枝の質屋通いは増えるばかりだった。そんなある日、しげるに大手出版社から声がかかる。
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(レビュー)
 漫画家・水木しげるの妻、武良布枝の自伝エッセイを元にして作られた作品。

 同年にテレビドラマも製作され人気を博したことは記憶に新しい。自分もそれを見て、水木しげると布枝の愛に感動させられた口である。それを見た上での今作の鑑賞である。しかし、結論から言うと、今回の映画版には若干物足りなさを覚えた。
 というのも、映画版のストーリーは二人の極貧生活を淡々と綴るだけで、さしてドラマチックということもなく、TV版で描かれた物語の途中で終わってしまっている。後半のクライマックスとなる、しげるの成功まで辿りつかないためカタルシスが生まれてこないのだ。同じ原作を元にしているのに、どうしてこういう作りにしてしまったのか‥。中途半端な感じがした。

 おそらくは、製作サイドはTV版と同じものを作っても仕方がない、どうせ作るなら映画ならではのテーマ性を出したい‥そう思ったのだろう。確かに全く同じものを作っても仕方がないことは確かである。ましてや、TV版は相当視聴率も高かった。日本中でしげると布枝のドラマを知っている人は多い。それとの差別化を図るという狙いからこういう作りにしたのかもしれない。

 そこで今作のテーマということになるのだが、俺自身は「貧困」、「忍耐」と捉えた。
 現に、しげると布枝が逆境に耐え忍ぶ姿には、貧しさに負けない‥という戦後日本の美徳が感じ取れる。今の暮らしから這い出してみせる!という強い思いが二人の姿からひしひしと伝わってきた。

 例えば、二人がコツコツとマンガを描くシーンが何度か登場してくる。その中で、布枝は「今にきっと認められる日が来るわ」としげるに言う、これに対してしげるは「当たり前だ」と言い放つ。声のトーンは静かであるが、ここには正しくしげるの「貧困に負けない」という強い信念が感じられた。
 極めつけは、漫画家志望の青年が餓死したという話を聞いた時のしげるのリアクションである。彼は青年の死を嘆くどころか笑って自らを鼓舞するのだ。
 このように、今作のしげると布枝は常に「貧困」に晒されながら、「忍耐」強く夢を追い求めている。その姿は実にアッパレと言うほかない。

 果たして、これが今の時代にどう受け止められるかは分からない。一般的には郷愁という名のファンタジーに写ってしまうのかもしれない。ただ、貧しさに負けない夫婦の気概には、尊い夫婦愛をロマンチックに謳い上げたTV版にはない今作独自のテーマが読み取れる。作り手側の主眼はここにあると感じた。

 演出は基本的にオフビートなタッチが貫通されている。朴訥とした味わいにコミカルさが加わり中々面白いと思った。ただ、1か所だけ不自然に思ったシーンがあった。しげるの母と布枝のやり取りのシーンである。短いカット割りで構成されているのだが、ここは全体のトーンから少し浮いてる印象を持った。何か意図してやっているのだろうか?自分には理解できなかった。

 それと、劇中には度々アニメーションが登場してくる。水木しげるの、あのおどろどろしい原作タッチがアニメで再現されている。原作リスペクトが感じられ中々魅力的だった。ちなみに、TV版にもアニメーションが登場してくるが、そちらはアニメ版「ゲゲゲの鬼太郎」のような割とコミカルなタッチになっている。TV版の違いがこんな所にも見つかる。

 プロダクション・デザインについては、低予算という事もあり若干無理が見て取れる。基本的に屋内シーンが大半を占める映画であるが、所々のロケーションに違和感を持ってしまった。田舎の風景はまだ良いのだが、東京駅のシーンや高層ビルが立ち並ぶ街中のシーンは明らかに昭和36年には見えない。このあたりはCGを使えば立派なものが作れるだろうが、今作はインディペンデント映画である。そこまでの予算がなかったのだろう。

 キャストは布枝を演じた吹石一恵、しげるを演じた宮藤官九郎、共に好演していると思った。褒め言葉で言うが、どちらも幸薄そうな所が上手くマッチしていた。キャスティングの勝利だろう。また、しげるの家の二階には売れない絵描きが下宿している。本筋に余り関わって来ないのだが、これを村上淳が演じている。中々の存在感を見せつけていて印象に残った。

 尚、自分も漫画家の端くれだから言うが、売れずとも腐らず自分の個性を追求していく水木しげるの姿勢には敬服してしまう。大手出版社から時流に乗った作品を描かないかと打診されるが、彼はそれを頑なに拒否した。普通に考えたら何て勿体ない‥と思ってしまうが、彼は妖怪漫画で勝負する姿勢を貫いたのである。妖怪と心中するんだ‥という彼の姿が実に眩しく映った。
[ 2013/08/23 01:49 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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