この映像世界は今見ても新鮮!
「ダーククリスタル」(1982米)
ジャンルファンタジー・ジャンルアクション
(あらすじ) 惑星トラは凶暴な種族、スケクナシ族によって支配されていた。彼らの城には、不思議なパワーを持った伝説のダーククリスタルがあった。一方、絶滅の危機に瀕していたゲルフリン族の少年ジェンは、穏やかな種族、ミスティック族の長老に拾われ育てられていた。彼は死の床にあった長老から、ダーククリスタルにまつわる伝説を聞かされる。そして世界を暗闇から救うためにクリスタルを求めて旅立った。その後、ジェンは旅先で同じゲルフリン族の少女キーラと出会う。そこにスケクナシ族の攻撃が始まり‥。
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(レビュー) 全編マペットで作られたファンタジー映画。
伝説のクリスタルの謎を解き明かす冒険が、壮大な世界観の中で繰り広げられている。
ストーリーは大仰で物足りないが、今作の見所は何と言っても緻密に作られた映像にあろう。
監督は「セサミストリート」のマペット操演で有名なジム・ヘンソンとフランク・オズ。また、製作には「スター・ウォーズ」(1977米)の製作者ゲイリー・カーツが参加している。ヘンソンは「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」(1980米)にスタッフとして関わったことがあり、、その流れからカーツが本作の製作に参加したものと思われる。尚、「帝国の逆襲」から登場したシリーズの顔、ヨーダの声とマペット操演は、今作の共同監督であるフランク・オズが担当している。
このように今作と「スター・ウォーズ」の間には密接な関係がある。その背景を知ると、ダーククリスタルを求める今作のジェンの冒険は、「スター・ウォーズ」のルーク・スカイウォーカーの冒険と何となく似ているような気がする。
さて、なんと言ってもこの映画は独特の世界観が素晴らしい。美術背景、クリーチャー、全てにおいて隙のない作りで完成度が高い。無論、マペット操演を知り尽くしたヘンソンだけに、各クリーチャーの動きも絶品である。一部で人間が入った着ぐるみ演技もあるが、基本的にはアニマトロニクスによる操演である。撮影にはかなりの手間暇がかかったのではないだろうか。
個人的には、スケクナシ族が作った機械兵士ガーシムと、ジェンとキーラの旅を助けるランドストライダーが好きである。ガーシムはヤドカリとカニを足して二で割った感じのビジュアルで、一体どうやって操演していたのだろうか?複数本の足が自然に動いていて驚かされた。ランドストライダーは長い4つ足で歩く顔がアザラシみたいなクリーチャーである。これもデザインが奇抜で面白かった。
また、森の中の映像も見応えがあった。まるで生きているかのように画面の端々の植物たちが静かに息づいている。こうした微細に渡るこだわりが、本来ありえないファンタジー世界にリアリティをもたらしている。