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人斬り

豪華キャストが見応えあり!
人斬り [VHS]人斬り [VHS]
(1985/12/28)
勝新太郎、石原裕次郎 他

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「人斬り」(1969日)星3
ジャンルアクション
(あらすじ)
 荒んだ人生を歩んでいた青年・岡田以蔵は、土佐勤王党首・武市半平太に呼ばれ、土佐藩主の執政・吉田東洋暗殺の視察を命じられた。以蔵はその現場を見て今までにない興奮を覚えた。こうして人斬りとして開眼した彼は、半平太の命令で次々と幕府の要人たちを暗殺していった。ある日、以蔵は酒屋で坂本龍馬に出会う。彼は半平太のかつての盟友だったが、今は袂を分かって独自の道を歩んでいる。龍馬は以蔵に、これ以上の殺生を止めるよう説得する。しかし、以蔵は半平太に生き場所を貰った恩は裏切れない‥と、それを突っぱねた。一方、半平太は以蔵の名前が有名になるに連れて危機感を覚え始める。以蔵に暫く大人しくするよう命じた。しかし、その命令を破って彼は渡辺金三郎暗殺に加わった。この一件で以蔵は勤王党から追い出されてしまい‥。

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(レビュー)
 "人斬り以蔵″として有名な土佐藩士・岡田以蔵の苦悩を描いたアクション時代劇。

 以蔵と言えば、最近の大河ドラマ「龍馬伝」で佐藤健が演じたニヒリズム溢れる以蔵が印象に残っている。あれはあれでかなり格好良く、いかにも女子ファンが飛びつきそうな以蔵だったが、今回の以蔵はそのイメージとは対照的に荒々しく、獰猛で、ちょっとユーモラスになっている。演じるのは勝新太郎。高い身体能力を活かした迫力のある殺陣はもちろんのこと、師と仰ぐ半平太に裏切られ苦悶する後半の鬼気迫る演技などを見ると、これは"勝新太郎ならでは”の以蔵になっている‥という感じがした。大いに見応えがあった。

 作品自体は、全体的に演出が大仰なためリアリズムを狙った作品とは言い難い。例えば、以蔵が半平太の命に背いて暗殺に駆け付けるシーン。以蔵が走った後には砂埃が巻き起こる。これなどは、かなりコミックタッチな演出である。また、斬られた際の血しぶきも過剰にマンガチックで、終盤に登場するコント55号もどうしてもコメディ色が出てしまう。

 監督は五社英雄。ダイナミックでケレンミ溢れる演出には惹き付けられるものがあったが、それがかえってドラマのシリアスさを邪魔しているような気がした。加えて、脚本・橋本忍との相性も余りよろしくない。橋本はどちらかと言うとシリアスなドラマを信条とする脚本家である。そこに五社監督の劇画タッチが乗っかると、どっち付かずな印象になってしまう。

 アクション的な見せ場としては、前半の狭い路地裏での暗殺シーンを筆頭に、各所に見応えが感じられた。このあたりは五社監督の手腕であり、勝新太郎の功績でもある。かなり窮屈な場所でも、勝新は器用に殺陣を演じていて感心させられた。

 ドラマ的な見所としては、以蔵と半平太の愛憎関係、それに坂本龍馬との交流も用意されている。龍馬は以蔵に言う。お前と半平太の関係は猟犬と猟師のそれと一緒だ‥と。これに対して以蔵は否定する。しかし、心中はそうではなかったと思う。その複雑な葛藤が、龍馬との交流の中に見えてきて面白かった。

 また、薩摩藩士・田中新兵衛とのライバル関係も興味深く見れた。新兵衛は以蔵に並ぶ刀の使い手で、言わばこの二人は猟師に飼われる猟犬同士という点で共通する者達である。それを考えると、敵対するこの両名の間にはどこかでシンパシーも芽生えていたのではないか‥と想像できる。以蔵もそうだが、新兵衛の末路も実に浮かばれぬ形で終幕し、何とも不憫に思えた。

 遊女"おみの"と、小路家の姫を交えた三角関係も出てくるが、こちらそれほど突っ込んで描かれていない。基本的には半平太たちのドラマの袖で描かれるサブエピソード的な扱いに収まっている。しかしながら、以蔵は高嶺の花である姫に恋焦がれる一方で、結局は昔からよく知っているおみのの元に戻ってくるあたりは、中々哀切極まる悲恋になっている。こちらも面白く見れた。

 音楽に関しては違和感を覚えた。朗らかなBGMが多く全体のシリアスなトーンにマッチしていない。もう少し硬質なトーンの方が作品には合っているような気がした。

 キャストは中々豪華である。半平太役に仲代達也、龍馬役に石原裕次郎、新兵衛役に三島由紀夫が扮している。石原&三島のツーショットは中々貴重なシーンではないだろうか。
 また、三島の切腹シーンは彼の監督・主演作「憂国」(1966日)に通じる興奮が感じられた。鍛え抜かれた肉体を延々と捉えた1カット演出が、表現者"三島由紀夫”の姿を克明に記している。
[ 2013/10/17 15:35 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(2)

二重作巡査です。

二重作巡査です。
更新お疲れ様です。
ブログを拝見いたしました。
また、拝見させていただきます。
[ 2013/10/17 17:04 ] [ 編集 ]

柳沼善衛です。

柳沼善衛です。
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柳沼善衛
[ 2013/10/18 19:31 ] [ 編集 ]

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