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あなたへ

これぞ正統派なアイドル映画。
あなたへ Blu-ray(2枚組)あなたへ Blu-ray(2枚組)
(2013/03/22)
高倉健、田中裕子 他

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「あなたへ」(2012日)星3
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 富山県の刑務所で刑務官をしている倉島は長年連れ添った妻・洋子を亡くし悲しみに暮れていた。そこに1通の封書が届く。そこには生前、洋子が彼宛てに書いたハガキが入っていた。ハガキには故郷の海に散骨して欲しいと書かれていた。倉島は自前のバンで妻の故郷・佐賀へ向かって車を走らせる。その途中で元教師の中年男と出会う。彼も自分と同じ境遇の持ち主だった。
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(レビュー)
 妻を亡くした孤独な男の旅を静かに描いたロードムービー。

 この作品は、中年夫婦の絆を描いた感動作という売りになっているが、ドラマ自体はある種ミステリー仕立ての作りになっている。一体どうして洋子が散骨にこだわったのか?倉島はその理由が分からないまま、彼女の遺骨を持って故郷の旅へと出る。そして、旅の終着点で彼はその理由を知ることになる。しかも、それは言葉ではない。彼女から届くもう一通のハガキという形で分かるのだ。今作は全編に渡って、倉島が亡き妻の意志を探る旅になっていて、その謎解きが全体を貫く大きなシノプスとなっている。

 ただ、観る人によってはこの謎解き自体、よく分からなかったという人がいるかもしれない。セリフではっきりと説明してくれるわけではなく、洋子のハガキという、見る側の想像に託するアイテムによって表現されているからだ。他にも、今作にはセリフで安易に情報を提示してくれないような所がある。そこが見ようによっては分かりづらいという感想に繋がるかもしれない。

 例えば、倉島が旅の途中で出会う元教師がなぜ親切にしてくれたのか?その理由も彼の口からは直接語られるのではなく、1冊の本を使って表現されている。また、後半に登場する食堂の女将の亡き夫に対する愛も、セリフではなく1枚の写真によって表現されている。
 尚、個人的にはここが最も感動した箇所だった。今作は全編通して、誰かが大切な人を失う‥という喪失のドラマとなっているが、このエピソードにだけは少しの希望が感じられてしみじみとさせられた。

 このように本作はセリフで悲しい、嬉しいという感情をベタに吐露すのではなく、こうしたアイテムを使いながら人物の心情を豊かに表現しており、そこに日本人独特の"奥ゆかしさ”とでも言おうか、心に染みるような味わいが感じられる。

 今作は実に地味な映画である。しかし、古き良き日本映画にはこういう作品がたくさんあった。現代ではかろうじて山田洋次監督がそうしたDNAを受け継いで映画を撮っているが、今作も紛れもなくその系譜に入る作品だろう。確かに古臭いと一蹴してしまうのは簡単である。しかし、この現代にこうした古き良き日本映画の再現が1本や2本はあってもいいのではないか‥。改めてそんな風に思った。

 そして、この日本人らしい”奥ゆかしさ”を体現しているのが、今作で主演を張った高倉健である。彼は、おそらく今の日本映画界で最も日本人らしい日本人を演じることが出来る俳優の一人と言っていいだろう。彼が画面の中で放つオーラは作品全体に安堵と厳粛さをもたらし、正にこの映画を"俳優・高倉健を見るための映画”にしている。誤解を恐れずに言うなら、正統派なアイドル映画として実に全うに作られている。

 脇役陣も中々バラエティに富んでいて魅力的だった。倉島は旅の途中で様々なワケあり人間たちに出会う。その中の一人、元教師役を演じたビートたけしは印象に残った。登場シーンこそ、それほどは多くはないが、これは中々良い役所である。彼も妻に先立たれた孤独な中年男で、倉島と似た境遇にいる。しかし、その本当の正体は中盤に入って明らかにされる。その時の彼の心中を察すると切なくさせられた。彼は劇中で、旅と放浪は違う物であると言っている。その観点から言うと、倉島は「旅」をする者で、ビートたけし扮する中年男は「放浪」する者だったのだろう。
 他に、名バイプレイヤー・大滝秀治が後半から登場してくる。今作が彼の遺作となる。

 監督は降旗康男。高倉健とのコンビは多く、これまでにも数本の映画を撮っている、もはやこの二人は、スコセッシとデ・ニーロのように、互いの長所も欠点も知り尽くした盟友関係と言っていいだろう。本作からもその相性の良さは伺えた。
 ちなみに、個人的に、二人のコンビ作では「駅 STATION」(1981日)が最も好きな作品である。これは倉本聰の脚本も良かった。

 降旗監督の演出はベテランらしく実に堅実で、安心して見ることが出来る。但し、今作には所々にVFXが登場してくる。これも時代の流れなので仕方がないが、古き日本映画を再現してくれた今作において、そこだけは不似合に感じ興醒めしてしまった。しかも、ブルーバックの合成に違和感があるし、終盤のハガキが宙を飛んでいくカットも明らかにCGで萎えてしまう。ここは重要なシーンだけに、カットを割ってでも生の映像にこだわって欲しかった。 
[ 2013/11/24 01:10 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(2)

今晩は、ありのさんへお久しぶりです。たった今テレビ朝日で放送していた、日曜洋画劇場でこの作品を見ていました。僕が、高倉健さんが亡くなられたのを知ったのは先週の水曜日にある民放テレビ局の11時30分から放送されたニュース番組でした。ブラック・レインでは、松田優作とマイケル・ダグラスと共演し、ミスターベースボールという作品では、トム・セレックさんと共演し高倉さんは、星野仙一さんをモデルにした中日ドラゴンズの監督を演じていました。ご冥福をお祈りします。
[ 2014/11/23 23:26 ] [ 編集 ]

こんばんは、にょろ~ん。さん。
今回の訃報は大変ショックでした。いかに彼が大きな存在だったか‥それが改めて分かりました。
彼は数多くの映画を残しています。彼の死を偲みつつ自分も見返してみたいです。
[ 2014/11/30 01:06 ] [ 編集 ]

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