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ザ・ヤクザ

高倉健、R・ミッチャム共演のヤクザ映画。
ヤクザ [VHS]ヤクザ [VHS]
(1990/05/10)
高倉健

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「ザ・ヤクザ」(1974米)星3
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 元刑事ハリーは旧友から誘拐された娘の救出を頼まれる。彼女は武器密売のトラブルに巻き込まれて日本の東野組というヤクザに誘拐されたらしい。早速、ハリーは日本へ飛び、そこでかつての恋人・映子に再会する。ハリーは進駐軍兵士として日本にいた頃、彼女と愛し合ったのだ。そして、彼女の兄・健が元ヤクザの幹部をしていたことを知り、ハリーは彼に協力を仰ぐ。こうして二人は東野組から誘拐された少女を取り戻そうとするのだが‥。

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(レビュー)
 熱い友情で結ばれた日本人とアメリカ人がヤクザに戦いを挑んでいくクライム・アクション作品。

 製作はアメリカになっているが、物語の舞台はほとんどが日本で、主だったキャストもアメリカ側と日本側、ほぼ半々である。メイン・スタッフこそアメリカサイドで固められているが、日本人が製作総指揮を執っており、実質的には日米合作のような作りになっている。

 尚、R・スコット監督が日本を舞台に撮った「ブラック・レイン」(1989米)は、今作が製作されてから約15年後のことである。そこでも日本のヤクザがフィーチャーされ、故・松田優作が鬼気迫る演技で殺し屋役を演じてハリウッドに大いに注目された。それよりもずっと以前に製作された本作は向こうで一体どういうふうに受け止められたのだろうか?当時を知りたい気分である。

 何と言っても、今作は健を演じた高倉健の魅力に尽きる作品である。元ヤクザの幹部という設定で、かつての親友のために義理人情を尽くしていく姿は実に勇ましい。主演はハリーを演じたR・ミッチャムの方だが、クライマクスの殴り込みのシーンなどは完全に健さんが主役級の活躍を見せている。そこでのミッチャムは健さんの迫力に押されっぱなしで、これが妙に可笑しかった。
 また、今作はアメリカ映画でよく目にするような日本のトンデモ描写がない。そこも好感が持てた。

 製作・監督はS・ポラック。脚本にP・シュレイダーが参加している。S・ポラックと言えば「追憶」(1973米)や「愛と哀しみの果て」(1985米)といったロマンス作品から、「トッツィー」(1982米)といった軽妙な作品まで様々なジャンルを撮る名匠である。そんな彼が日本を舞台にヤクザ映画を撮っていたとは意外だった。本作は今の所、ビデオでしかリリースされていないため、知っている人は少ないだろう。

 ただ、ヤクザという素材に着目したのは、おそらくポラックではなくて脚本のP・シュレイダーの方ではないかと想像する。というのも、彼は日本の武士道や神風の精神に強い関心を持ち、三島由紀夫を描いた「MISHIMA」(1985米日)を撮っている。おそらく、日本の義理人情の世界に惹きつけられる物があったのだろう。尚、原作は彼の兄レナード・シュレイダーが書いている。

 映画の出来としては、作りに若干穴があるが、物語自体は上手く展開されていると思った。友情で結ばれるハリーと健の思いが漏れなくキャッチされており、映子と健の隠された秘密もクライマックスを盛り上げる伏線として上手く機能している。ラストの幕引きもしみじみとさせる。アメリカ人スタッフがここまで義理人情の世界を濃密に描いたたことには素直に拍手を送りたい。

 一方、誘拐事件のからくりは予想通りでもう一捻り欲しかった。余りにもシンプルで食い足りない。また、シナリオの穴ということで言えば、日本の警察の動向が全くドラマに反映されていないのも不自然に感じた。撮影の難しさがあったのかもしれないが、ここはリアリティを追求する上でも、ぜひ外さないでほしかった。

 キャストでは、健さんの他に岸恵子、日系人俳優ジェームズ繁田等が出演している。今作はアメリカ映画なので当然彼らも英語を話すのだが、夫々に流暢に喋っていて感心させられた。また、岡田英次もクレジットされていたが、どこに出ていたのか分からなかった。

 尚、アメリカ人にも「サヨナラ」「オヤブン」は普通に通じるらしい。ただ、流石に「ギリ(義理)」、「ミチ(道)」は説明しないと分からないらしく、劇中で健がハリーたちに説明していた。ハリーの相棒が健に「義理とは借りのことか?」と尋ねるが、健は「重荷だ」と答えている。確かにアメリカ人には理解しがたい観念だろう。
[ 2013/11/28 00:35 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(1)

ブログを始めました。
リサイクルショップ(有)小柳商事を運営している桜田です。
いつも楽しませていただいているのですが、私もこのような面白い記事を書けるように参考にさせていただきます。
[ 2013/11/29 00:17 ] [ 編集 ]

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