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アンラッキー・モンキー

堤真一のハイテンションな演技が笑いを誘う。
アンラッキー・モンキー [DVD]アンラッキー・モンキー [DVD]
(1999/02/20)
堤真一、清水宏 他

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「アンラッキー・モンキー」(1997日)star4.gif
ジャンルサスペンス・ジャンルコメディ
(あらすじ)
 詐欺師の山崎は悪友と銀行を襲撃する。ところが、入ろうとした銀行から偶然、別の強盗犯が大金を持って出てきた。直後、その強盗犯は車に惹かれて即死、相棒も車に惹かれて死んでしまう。ただ一人生き残った山崎は大金を持って逃走する。そして、逃走中に誤って女性を刺殺してしまう。山崎はどうにか逃げ伸びて大金が入った鞄を埋立地に隠した。一方その頃、暴力団・村田組の組長は、上部組織の若頭・立花から新しい仕事を持ちかけられていた。しかし、彼は誤って立花を殺してしまう。村田はその死体を埋立地に隠した。そこは山崎が大金を埋めたすぐ近くだった。その後、逃走する山崎は警察から逃れるようにして町の環境汚染反対運動の一団に身を隠すことになる。彼はそこでリーダーのように祭り上げられてしまい‥。

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(レビュー)
 アンラッキーな男達が巻き起こすドタバタ騒動をブラックな笑いで描いたサスペンス・コメディ。

 冒頭から銀行強盗犯のニアミスに始まり、出会いがしらの傷害事件、不可抗力による死亡事件。様々なアクシデントが次々と起こる。そして、事件の当事者たち、山崎と村田組の連中はラーメン屋のカウンターで奇跡的に遭遇する。ここまで映画はスピーディーな展開で一気に描いており、作品の世界観に自然と引き込まれた。

 その後、物語は山崎と村田組、夫々の視点でじっくりと描かれていく。山崎の方は町の環境汚染反対運動に紛れ込んであれよあれよと言う間にヒーローに祭り上げられていく。一方の村田たちは、自分たちが殺した立花が所属する上部組織から命を狙われ逃走を始めていく。
 そして、映画の終盤、クライマックスでこの二つが急転直下な展開を見せ、見事な大団円へと収束されていく。

 一つの事件がもう一つの事件を起こし、更にそれによってもう一つの事件が引き起こされていく‥というように、今作は中々目の離せないストーリーになっている。所々に漂うペーソスも味わいがあり、全体的には面白く見ることが出来た。

 監督・脚本はSABU。この監督は最近でこそメジャー系の作品を手掛けるようになったが、当時は若さと勢いに任せた作風を売りにするインディペンデント系の作家だった。処女作の「弾丸ランナー」(1996日)はまさにタイトルが示す通り、主人公たちがひたすら激走する映画だったし、2作目「POSTMAN BLUES ポストマン・ブルース」(1997日)もクライマックスはやはり主人公が自転車に乗って激走していた。そして、その2本の後に作られたのが本作である。
 これまでの勢いに任せた作りから一転、プロットで見せる映画に変化している所に注目したい。序盤のトリッキーな時制の交錯、様々な人物が様々な場面で繋がる複雑な人物模様等、よく考えられていると思った。明らかにこれまでの勢いに任せた作風とは違う方向性を打ち出しており、そこに彼の作家としての成長が感じられた。

 但し、シナリオ上、一か所だけどうしても不自然に感じてしまった部分がある。それは山崎が自分が殺した女性の遺骨に遭遇するシーンである。夜中にあんな所を遺骨を抱いた母親を乗せた車が走っているとは、いくらなんでもシチュエーションとタイミングが不自然である。確かに、本作は偶然に次ぐ偶然のスラップスティック・コメディであるが、ここまで行ってしまうとややご都合主義に思えてしまった。

 また、所々のギャグに関しても気になる部分があった。劇中に登場する小ネタや事件の中に、これまでの作品の焼き直しのようなものが幾つか見られた。例えば、殺し屋が転んだ拍子で自分を撃ってしまうネタがあるが、これは「弾丸ランナー」にも登場してきたネタだった。どうしてもオチが予想できてしまうので、面白さが半減してしまう。クライマックスの鞄と死体を繋げるギャグも、序盤から分かり切っていることなのでやはり物足りなく感じた。こうしたベタなギャグをやってしまうあたりにSABU監督の若さを見てしまう。良くも悪くも彼はベタな作家なのだと思うが、やはりそこは意外性を狙うなどの工夫が欲しい。

 キャスティングでは、山崎を演じた堤真一の熱演を推したい。彼はSABU作品のデビュー作からの付き合いだが、今回は不運と強運に右往左往する男を強烈な個性で演じている。見ようによっては吉本喜劇的なベタさはあるが、SABU監督の演出との相性で言えば上手く噛み合っている。何より自由奔放に演じている所が良い。
 尚、個人的には同じ監督・主演コンビで作られた次作「MONDAY マンデイ」(1999日)の怪演も忘れがたい。この時の血管がブチ切ればかりのハイテンションな演技と言ったら、それこそ他の追随を許さぬほどだったが、それに幾分引けは取るものの今回もかなりのテンションを見せている。特に、商店街での一人芝居は絶妙だった。山崎の小心さ、正直さがよく出ている。

 他にも、濃いキャストが揃っている。中でも、殺し屋を演じた田口トモロヲのラリッた怪演が印象に残った。彼は登場シーンからしてアブない匂いをプンプンさせ、本当にこんなオッサンに夜中の公園で出くわしたら逃げ出したくなるレベルである。
[ 2014/01/11 01:38 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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