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闇を裂く一発

バディ刑事物として面白く出来ている。
「闇を裂く一発」(1968日)星3
ジャンルサスペンス・ジャンルアクション
(あらすじ)
 メキシコオリンピックを目指して日夜射撃の練習に明け暮れる警察官・本多は、他の2名の選手候補生と一緒に警視庁に呼び出される。ヤクザの組長を銃殺して児童を誘拐した犯人逮捕のために、捜査への協力を要請される。本多は江森というベテラン刑事とコンビを組み、早速犯人の母親の生家を張り込んだ。他の2名の候補生も夫々に刑事とコンビを組んで、愛人宅や彼が経営する会社での張り込みを開始した。しかし、犯人は中々姿を見せず時間だけが無情に過ぎていく。

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(レビュー)
 オリンピックを目指す射撃手と現場の刑事がコンビを組んで凶悪犯人を追いつめていくポリス・アクション作品。

 3組の個性的なチームが夫々に捜査を開始していくのだが、これが多種多様で見ていて実に面白い。中でも、主役となる本多と捜査一課のベテラン刑事・江森のコンビはキャリアも気性も異なるので、様々な場面で対立を繰り返していく。彼らのやり取りには、ある種バディ物としての面白さが感じられ、今作の大きな見所となっている。

 そして、オリンピックに選出されるかどうかという瀬戸際に立たされている本多等、候補生たちと、現場の刑事たちとの間には、今回の捜査に対する意気込みや思い入れに大きな隔たりがある。正直な所、本多たちにとっては、今回の仕事は厄介なだけである。もし犯人を見つけた場合、狙撃命令を出されることもある。相手は競技用の的ではない。いくら凶悪犯だと言っても生身の人間である。仮に撃ったとなればその精神的トラウマは計り知れないものとなるだろう。したがって、彼らは出来ることなら銃を使わず今回の事件が穏便に解決してくれることを願っている。

 一方、彼らとコンビを組む江森たちベテラン刑事は、現場の叩き上げばかりである。特に、本多と組むことになる江森は銃を持たないことでも有名な刑事で、過去に銃を持った犯人を素手で逮捕したことがある昔気質のデカである。彼は本多等を人を撃ったことが無いド素人とバカにする。本多達も当然それに反発する。こうしてコンビの間にはギクシャクした空気が流れ、捜査は思うようにいかなくなっていく。

 後半から、いよいよ追い詰められた犯人との対決になるのだが、こちらは野球場を舞台にした大掛かりな仕掛けでサスペンスフルに盛り上げられている。この時の試合は阪急ブレーブス対東京オリオンズ(東京スタジアム)である。貴重な古い映像が見れるという意味では、野球ファンなら一層楽しめるかもしれない。
 但し、上映時間が90分に満たないプログラム・ピクチャーゆえ、どうしても重厚さには欠けてしまう。このクライマックスは、もっと時間をタップリかければ緊迫したシーンに出来たように思うが、残念ながら少しアッサリとした感じで物足りなかった。

 脚本は黒澤組の菊島隆三。さすがに人間関係を紡ぐドラマはよく描けている。本多と江森の対立→融和の変遷が手際よく処理されていて感心させられた。また、物語の季節は日差しが照りつける真夏である。皆が汗まみれで事件を追いかけるのだが、これは彼が脚本を担当した黒澤明監督の「野良犬」(1949日)を連想させる。あの作品に登場する三船敏郎、志村喬の刑事たちも見ていて実に暑そうだった。おそらく今回のシナリオはそのあたりの所は相当意識して書かれているように思う。
 反面、幾つか展開が都合よく進む箇所があり、そこは時間的な制約で上手く処理しれきなかったかな‥という印象を持った。例えば、本多達が犯人を追い詰めるきっかけとなる競輪オヤジの突然の登場などは、リアリティに欠ける内容だった。

 キャストでは、主演コンビ、本多を演じた峰岸隆之介(後の峰岸徹)、江森を演じた露口茂の掛け合いに面白味を感じた。峰岸徹は後年こそ悪役のイメージが強いが、この頃はまだ若手スターとして熱血漢やニヒルな2枚目を演じることが多かった。中々シャープな佇まいで格好良い。一方の露口茂もダンディズム溢れる佇まいを見せ、後の「太陽にほえろ!」の山さんが連想された。彼らの対照的な個性を見比べてみるのも一興である。
[ 2014/01/14 19:22 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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