ガス人間の特撮シーンが素晴らしい。八千草薫の美しさも必見。
「ガス人間第1号」(1960日)
ジャンル特撮・ジャンルサスペンス・ジャンルSF
(あらすじ) 都内の銀行がで白昼堂々、強盗犯に襲われた。早速、現場に警視庁の岡本警部補が急行するが、すでに犯人は姿を晦ましていた。岡本は追跡の道すがら、日本舞踊の家元・藤千代の屋敷を見つける。その後、再び銀行が襲われ今度は犠牲者も出てしまう。岡本は藤千代が事件と関係しているのではないかと睨む。
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(レビュー) 東宝の”変身人間”シリーズの1本。尚、このシリーズは今作の他に「美女と液体人間」(1958日)、「電送人間」(1960日)といった作品がある。
人体実験によってガス人間になった男の数奇な運命をサスペンスとメロドラマ、両面から描いたシナリオはまずまずの出来である。「電送人間」もそうであったが、この”変身人間”シリーズは子供よりも大人向けに作られているような所があり、特撮を見せるというよりも、どちらかというとドラマを見せることに重点が置かれている。そのためドラマは結構しっかり作られている。
ただ、惜しいかな、終盤に行くにつれてグダグダになっていくのは残念だった。前半はしっかりと作られているのだが、クライマックスの舞踊発表会に至る展開が性急且つ粗っぽい作りで興が削がれる。
そもそもガス人間の目的がちぐはぐな感じがした。愛する藤千代の踊りを世間に認めさせようとしたかったのか?それとも自分だけの物にしたかったのか?よく分からなかった。
また、警察がチケットを買い占めたというのも、何ともご都合主義に思えてしまう。
女性記者・京子が途中からシリアスなキャラに変わったのにも違和感を覚えた。バイタリティ溢れる快活な女性として登場して来たはずなのに、終盤からガス人間と藤千代の恋慕にひきずられて急にキャラクターが変わってしまう。彼女が藤千代たちに同情する心理過程。そこに丁寧な説明が欲しかった。
このように今作は終盤にかけて作りが雑になり、個人的にはどうにも入り込めなくなってしまった。
キャストでは藤千代を演じた八千草薫の美しさが印象に残った。見せ所となるクライマックスの舞踊シーンは若干ぎこちなかったが、その美しさは一見の価値がある。
円谷英二の特撮は今見ても中々良く出来てる。特にガス人間の描写は、これまで見てきた「電送人間」や「透明人間」よりもクオリティが格段に上がっている。終盤のスケール感のある特撮シーンも良く出来ていた。