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座頭市と用心棒

勝新太郎VS三船敏郎!夢の対決‥なのだが・・・
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(2013/11/08)
勝新太郎//////、三船敏郎 他

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「座頭市と用心棒」(1970日)星3
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 市が3年ぶりにある村にやってくる。しかし、平和だった村はヤクザの小仏一家のせいですっかり様変わりしていた。小仏一家の政五郎は市の存在を邪魔に思い、用心棒に始末させようとする。早速、市の元へ向かう用心棒。しかし、一太刀で相手が一筋縄ではいかないことを見切ると暗殺の機会を改めた。そして、2人はひとまず一緒に酒を飲み交わした。そこで市は飲み屋の女将・梅乃に再会する。梅乃はかつて自分の手を引いてくれた優しい女だった。しかし、今は用心棒と密かに付き合う仲だった。その後、市は烏帽子屋の主人・弥助に呼び出される。弥助は小仏一家の政五郎の実の父親だった。彼は息子と金塊を巡って対立しており、市に自分の身辺を守って欲しいと依頼する。
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(レビュー)

 三船敏郎をゲストに迎えて製作されたシリーズ20作目。

 「座頭市と用心棒」というタイトルでピンとくる人も多いだろう。そう、本作は黒澤明監督の傑作「用心棒」(1961日)にオマージュを捧げて作られた作品である。用心棒役はもちろん三船敏郎。彼と勝新太郎が対決するというのだから、これは期待せずにいられない。
 しかし、結論から言うと、作品の面白さという点では本家「用心棒」には流石に叶わなかった。

 そもそも「座頭市と用心棒」と銘打っているが、実際に勝新と三船がガチで戦うわけではない。確かに2人は敵の組同士の用心棒になるのだが、剣を交えるどころか一緒に酒を飲んだり、密談したり、憎み合うというよりも親しくなっていくのである。剣豪同士、相手の腕を認め合っているような所もある。したがって、あの座頭市と用心棒が世紀の対決をする!などと過剰に期待してしまうと肩透かしを食らってしまう。

 ただ、そうは言っても決してつまらない作品ではない。今作には今作なりの面白さがある。
 個人的には、後半に入って登場する岸田森演じた第三の剣客・九頭竜の立ち回りが面白く見れた。彼は烏帽子屋にわけあって出入りする謎の人物で、彼が絡んでくることでクライマックスは勝新、三船を交えた三つ巴の戦いになっていく。これが結構スリリングで面白かった。

 監督は岡本喜八。岸田森繋がりで言えば、同監督作の「斬る」(1968日)が思い出される。そこで岸田が演じたニヒルなヤクザは実に渋くて格好良かった。今回の九頭竜も同じようなキャラクターになっている。加えて、今回は腹に一物持ったミステリアスな雰囲気も漂わせている。彼が暗躍することによって、いささか単調に思えた烏帽子屋対小仏一家の戦い、ひいては勝新対三船の戦いにも複雑さが生じ、この九頭竜というキャラは本ドラマにおいてスパイスのように効いていると思った。

 勝新の演技については、良くも悪くもいつも通りといった感じである。すでに20作目となればキャラクターも完全に確立されている。そこを外すことなく堅実に演じていると思った。
 一方の三船敏郎は、今回はかなりコミカルさを前面に出した演技になっている。これは監督の岡本喜八のカラーを意識してのことなのかもしれない。黒澤明の「用心棒」とはまた一味違った用心棒になっていて楽しめた。彼は市のことを「バケモノ」と呼んでからかうが、市も三船のことを「ケダモノ」と呼んでそれに応える。この掛け合いはまるで漫才みたいで可笑しかった。
 他の出演陣では、梅乃を演じた若尾文子、墓石職人を演じた嵐寛寿郎、チンピラ余吾を演じた寺田農、夫々に敵役だと思った。

 ストーリーは最後にどんでん返しが用意されている。これは早々に予想できて物足りなかった。もう一捻り欲しい所である。
 一方、哀愁漂う幕引きは中々味わいがあって良かったと思う。岡本喜八らしい突き抜けた爽快感は無いが、金に目がくらんだ人間の醜い争いを滑稽に見せた所に氏のアイロニーが感じられる。
[ 2014/03/31 01:01 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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