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新座頭市物語 折れた杖

勝新太郎の才気がほとばしるシリーズ24作目。
新座頭市物語 折れた杖 [DVD]新座頭市物語 折れた杖 [DVD]
(2010/05/28)
勝新太郎、太地喜和子 他

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「新座頭市物語 折れた杖」(1972日)星3
ジャンルアクション
(あらすじ)
 市は旅の途中で三味線を持った老婆と出会う。老婆は市の前で橋から落ちて死んでしまった。市は残された三味線を持って女郎屋にいる娘・綿木を訪ねてそれを渡した。そして、助けられなかったことを悔いて彼女を身請けすることにした。早速、その資金稼ぎに市は賭博場に入った。そこで彼は元締めの鍵屋万五郎に目をつけられる。一方、綿木には心に決めていた丑松というヤクザがいた。市に身請けされる話を聞いた丑松は、密かに綿木と逢瀬を重ねるのだが‥。

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(レビュー)
 勝新太郎が強烈な個性で盲目のアウトローを演じた座頭市シリーズの第24弾。今回は勝新太郎自らが監督した意欲作である。

 監督としてはすでに「顔役」(1971日)で独特の演出手腕を発揮しているが、今回も要所要所でその才気が感じられる。これまでのシリーズを見てきたファンには少々戸惑うような所があるかもしれないが、個人的には勝新の意欲が伝わってくるという意味で興味深く見ることが出来た。

 例えば、極端なクローズアップで捉えた賭博場のシーンなどは、息詰まるような圧迫感、緊張感が感じられる。見ているこちらも、このプレッシャーには押しつぶされそうになった。

 また、今作の舞台は寂れた漁村である。雄大な海をバックにしたショットが度々登場してくるのだが、そのいずれもが望遠レンズで捉えられている。これはスケール感があって見応えがあった。青い海、白い砂浜、人物の影が織りなす強烈なコントラストもどこかアート的で美しい。

 他に、露光を極限まで開放することで、真夏の焼け付くような暑さを表現した映像も印象に残る。画面が真っ白になって何も見えなくなってしまうので普通なら許されない演出だが、勝新太郎は敢えてそうした掟破りな演出を大胆にやってのけている。

 こうした荒々しくも、どこかアーティスティックな作風は、明らかに今作を特異な作品にしていることは確かだ。シリーズを見てきたファンには余り受けが良くないらしいが、逆に言うと通俗的な作りとは一線を画した奇妙な魅力を持った作品と評することも可能である。正直、勝新太郎の刺激的で大胆な演出の数々には感心させられるものがあった。

 一方でストーリーには問題があるように思った。
 今回は市と綿木と丑松の関係を軸にした人情ドラマになっている。そこに市を狙う万五郎一家が絡んでくることでスリリングに展開されている。確かにここまでは中々良く出来ている。しかし、問題は幼い姉弟のドラマの方にある。これがほとんどメインのドラマに絡んでこない。そのため全体的に散漫なストーリーになってしまっている。姉弟ドラマはむしろ外した方がスッキリしたのではないだろうか?

 加えて、今回は市と対決する剣豪として鍵屋の用心棒が登場してくるのだが、これが今一つ魅力に欠ける。いつもならここにゲスト俳優を迎えてクライマックスの戦いを大いに盛り上げるのだが、残念ながら今回はそこまでのカリスマ性が感じられなかった。したがって、エンタテインメントしても突き抜けるような痛快さはない。

 キャストでは、綿木を演じた大地喜和子の妖艶な演技が印象に残った。身請けしてくれた市を誘惑するシーンの艶っぽさと言ったらない。
 また、万五郎を演じた小池朝雄も頑張っている。先述の通り今回は市と肩を並べるほどのライバル剣士が登場しないため、クライマックスは彼が代わって盛り上げている。相変わらずの憎々しい演技が今回も冴えわたっていた。
[ 2014/04/06 01:23 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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