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十三人の刺客

約30分にも及ぶクライマックスは必見。
十三人の刺客 [DVD]十三人の刺客 [DVD]
(2002/07/21)
片岡千恵蔵、里見浩太朗 他

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「十三人の刺客」(1963日)星3
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 江戸時代末期。江戸家老・間宮が老中・土井邸の門前で割腹自殺をした。彼は徳川家慶の弟・松平斉韶(なりつぐ)の暴君振りを訴えて死んだのである。その意志を汲んだ土井は、御目付・島田新左衛門に斉韶暗殺の命令を下す。新左衛門は早速、11人の凄腕の武士を集めて暗殺計画を企てる。一方、斉韶の側近で新左衛門のかつての同門・鬼頭半兵衛がこの企てを嗅ぎつけた。彼は新左衛門の元を訪ね探りを入れようとしたが、それは失敗に終わる。やがて、斉韶が参勤交代の途に就くことになった。新左衛門たちはその道中を急襲しようとするのだが‥。

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(レビュー)
 13人の男たちが極悪非道の暴君の暗殺に命を賭けて挑んでいくアクション時代劇。

 三池崇史監督がリメイクしたことでも知られる作品であるが、自分はリメイク版の方を先に見ていてこちらは未見だった。今回、遅ればせながら観てみた。

 三池版はアクションに割り切った作りでそれはそれでいいのだが、どうにも情緒が不足気味でそこが自分的には食い足りない部分だった。今回見たオリジナル版はそこが少しだけピックアップされている。

 具体的に言うと、ラストの新左衛門の顛末である。ここは宿敵・半兵衛との対決になるのだが、彼の胸中にはどんな思いがあったのか?色々と想像してみたくなる。全てを成し遂げて果てるも本望‥ということだったのか?あるいは、武士の時代の終焉と共に己の人生にもケジメをつけよう‥ということだったのか?言葉にして出さない分、ここは味わい深く感じられた。

 ただ、ストーリーの流れは三池版とほぼ同じで、改めて見てみると新味は薄い。逆にこちらを先に見ていれば面白く見れたのかもしれないが、こればかりは仕方がない。

 そんな中、唯一リメイク版と異なる点もあって、そこは今回の新たな発見だった。それは13人目の刺客のキャラクターである。三池版では山奥に生息する奇妙な青年だったが、このオリジナル版では決戦の場となる宿場に住む青年になっている。山の民はひときわ異彩を放つキャラクターだったが、やはりあれは三池流の遊び心から生まれた”異物”だったことが改めて分かる。話の筋から言えばこちらの青年の方が自然に見れるだろう。ただ、山の民に比べると余り面白味はないが‥。

 また、三池版でも思ったことだが、このオリジナル版でも13人全員のキャラクターは完全に消化しきれていない。今回はクライマックスの決戦シーンは約30分間に及ぶ長丁場である。三池版の約50分に比べれば大分短いが、それでも残りの90分で個々のドラマを引き立たせるのは難しい。個性的な武士たちの集団抗争時代劇として黒澤明の「七人の侍」(1954日)と比較される本作であるが、濃密なキャラクター・ドラマとしてに成立している「七人の侍」と比べるとやはり今作は物足りない。あちらは7人でこちらは13人。上映時間もこちらは短い。物理的な限界もあろうが、そこは残念だった。

 13人の中では、片岡千恵蔵扮する主人公の新左衛門、西村晃が演じる剣技の達人・平山、里見浩太朗が演じる落ちぶれた浪人・新六郎のドラマはそれなりに充実している。
 尚、平山の死に様は壮絶で印象に残った。あそこで剣を捨ててしまったことに演出上の甘さを感じてしまうが、ともかくもトラウマ級の最期である。

 アクション的な見せ場は当然、クライマックスのチャンバラとなる。三池版でも大きな売りとなっていたが、スケールの差はあれど今回もかなりテンションが高くて見応えがあった。剣技で魅せる戦いではなく、敢えて不格好な斬り合いにしたのは演出上の狙いであろう。本当の殺し合いはそんなに格好良い物ではない‥というリアリズム。それを出したかったのだと思う。と同時に、この不格好さが武士の時代の衰退を表しているようにも思えた。

 尚、音楽は伊福部昭が担当している。東宝特撮チックな過剰なBGMに違和感を覚えた。余り時代劇っぽくない所が伊福部らしいといえば確かにそうだが、しかし彼は「座頭市」シリーズでも時代劇の音楽を務めている。そちらとの比較から言っても、今回の音楽は余り雰囲気に合っているとは言い難い。
[ 2014/04/11 14:08 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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