ロマコメの古典。
「結婚哲学」(1924米)
ジャンルロマンス・ジャンルコメディ・ジャンル古典
(あらすじ) 青年医師フランツはシャーロットと幸せな結婚生活を送っていた。一方、彼の友人ストック教授は妻ミッツィと離婚寸前にあった。実は、ミッツィは以前からフランツに惚れていた。あるパーティーの夜、彼女はフランツに強引に迫った。その頃、シャーロットはフランツの親友グスタフから愛を告白されていた。彼女はグスタフの求愛を拒むのだが‥。
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(レビュー) 二組のカップルの恋愛模様を軽妙に綴ったロマチック・コメディ。
監督はエルンスト・ルビッチ。彼はサイレント映画時代に数多くのコメディ作品を残しており、軽妙洒脱な作風はルビッチ・タッチと称された。今で言えばハリウッド風のロマコメ作品と言えばいいだろうか。この「結婚哲学」はその走りとも言える作品である。
個人的にはB・ワイルダーの作品も連想させられた。例えば、小道具の巧みな使い方などは、明らかにワイルダーに影響を与えている。尚、彼はルビッチの弟子でもあった。
物語は序盤からテンポよく進行し、今見ても全然古臭さを感じない。ただ、各キャラクターの思惑が明確に提示されるまでに時間がかかるため、入り込むまでに少々時間がかかる。また、各人を均等に描いているせいで主役がすぐに絞り切れない。基本的にはフランツとシャーロットのカップルが主役なのだが、冒頭にストック教授とミッツィ夫妻のドラマが過分に入り込んでいる。逆に、今作のもう1人の主要人物であるフランツの親友グスタフの影が薄く、こちらはもっとフィーチャーしても良かったような気がした。
しかしながら、こうしたストーリー上の難はあるものの、映画のクライマックスから幕引きにかけての展開は見事である。
クライマックスは、ミッツィからフランツに宛てた1通の手紙から始まる。この手紙に対するフランツの返信。そして、その手紙を読んでしまったシャーロットの行動。更にはグスタフの気を利かせた心遣い。これら全てが絶妙のタイミングで組み合わさり、ラストは大団円へと結びついていく。これほど爽快な味わいを残してくれるロマコメ作品はそうそうないだろう。尚、その後に続くエピローグも中々コミカルで良かった。