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十誡

セシル・B・デミルの大作「十戒」のオリジナル版。
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(2011/12/16)
セオドア・ロバーツ、チャールズ・ド・ロッシュ 他

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「十誡」(1923米)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンル古典
(あらすじ)
 エジプトに、神の遣いモーゼ現れる。彼はファラオ王にイスラエルの民の解放を求めたが、王はそれを拒んだ。その結果、エジプト中の長子は一夜にして全員死んでしまった。モーゼはイスラエルの民を率いてエジプトを後にする。
 現代のアメリカ。ジョンとダンの兄弟は、信心深い母親から幼い頃より十戒を教え込まれていた。ジョンは真面目な大工職人になったが、ダンは自堕落な青年に成長した。ある夜、ダンは家の前でメリィという貧しい少女と出会う。2人は惹かれあって結婚する。しかし、実はジョンも彼女のことが好きだった。数年後、兄弟の運命は大きく変わる。

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(レビュー)
 巨匠セシル・B・デミル監督が撮ったサイレント時代の歴史大作。
 古代と現代の二つの時代をまたにかけて、人間の罪と罰を皮肉的に描いて見せている。
 尚、彼は1956年に今作をリメイクしている。

 自分はリメイク版「十戒」(1956米)を小さい頃にTVで見て、そのスケール感に圧倒された覚えがある。特に、海が割れるシーンは映画史に残る名シーンで、あの迫力は今でも強烈に記憶に残っている。実にダイナミックな映像だった。
 今作にもそれは登場してくる。ただ、さすがに特撮の技術がおぼつかないこともあり、リメイク版に比べるとやや迫力は落ちてしまう。これでも当時は相当凄い映像だったのだろうが、やはり今見ると少々厳しいものがある。

 その代わりと言ってはなんだが、今作では巨大なオープンセットを目にすることが出来る。序盤の豪華絢爛なエジプト宮殿は、いかにも豪華主義なデミルらしい。一体いくらの資産と労力が投入されたのか‥。かつてのハリウッドの底力を見る思いであった。
 また、モブシーンのスケール感も相当なもので、これも絵面的には大変豪華だった。砂漠を旅するイスラエルの民の群衆にはCGでは出せない”生”の迫力が感じられた。

 一方、ストーリーの方だが、こちらはリメイク版とかなり違っていて驚いた。リメイク版は純粋な古代史劇だったが、このオリジナル版は古代編と現代編、二部構成になっている。
 おそらくデミルは、十戒をモチーフにして、人類の永遠の”業”を表現したかったのだろう。いずれのドラマもラストに冷徹な断罪が下る。やや俯瞰的な視点ではあるが、実に普遍的な物語が創出されていると思った。

 ただ、シナリオ的に見ると少々駆け足気味で、登場人物のの心情が上滑りするきらいがある。特に現代編でそれが顕著だった。
 
 現代編は信心深い兄と俗物な弟の愛憎が、ヒロイン・メリィを巡って熱っぽく展開されるのだが、ダンとメリィの結婚までの展開が表層的である。その結果、ジョンの嫉妬が今一つ弱い。また、完成間近の教会に母親が突然訪れるというのも必然性に欠くが展開だ。色々と隙があり結末が締まらない。
 
 これを見ると、リメイク版を古代編に絞ったのは正解だったように思う。二つのドラマが上手く絡み合えば感動も2倍になるが、よほど緊密に作らなければかえって散漫になってしまう。今作が正にそうだろう。

 教示的メッセージは十分に伝わってくる作品であるが、純粋に1本のドラマとして見た場合、どうしても前半と後半で二分されてしまうため、入り込むほどの感動は得られなかった。
[ 2014/04/23 00:51 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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