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ダラスの熱い日

ケネディ暗殺をドキュメンタリータッチで描いたサスペンス作品。
ダラスの熱い日 【DVD】ダラスの熱い日 【DVD】
(2013/06/14)
出演: バート・ランカスター/ロバート・ライアン/ウィル・ギア/ギルバート・グリーン

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「ダラスの熱い日」(1973米)星3
ジャンル社会派・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 1963年夏、ケネディ大統領はベトナムからの米軍の撤退、ソ連との核実験禁止条約の締結、人種差別の撤廃などを掲げ、国民から圧倒的な指示を得ていた。元CIA高官のジェームズ、元軍人のフォスターをはじめとするタカ派の連中はこれを危険視し、ケネディ暗殺計画を密談する。すでにジェームズは、元部下達に狙撃訓練をさせており、あとは犯人を仕立て上げるだけだった。その生贄として浮上してきたのがオズワルドという左翼主義の青年である。彼は米ソを行き来するスパイ歴がもあり、今回の犯人にはうってつけだった。その後、ジェームズたちは大統領の遊説先のスケジュールから暗殺の日時と場所を決定する。綿密に練り上げられた計画が着々と実行される中、ついに運命の日がやって来る。

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(レビュー)
 ケネディ大統領暗殺事件をドキュメタリータッチで描いたサスペンス映画。

 誰もが知っている有名な事件だけに、描く方としても色々と気を使っただろうが、本作は大胆な仮説に基づいて事件の犯人に繋がる一つの回答を示している。公式ではオズワルドが暗殺したことになっているが、未だに陰謀論も後を絶たない謎に包まれた事件である。これはこれで中々面白い仮説だと思った。
 しかも、今作が製作されたのは事件が起こってから10年後である。当時、この映画がどういう風に受け止められたのか?興味深い。

 尚、ケネディ暗殺を題材にした映画は幾つか製作されている。今作の後にはTV映画として「ダラスの長い日」(1978米)という作品が製作された。また、社会派O・ストーンが監督した「JFK」(1991米)という大作もある。ドキュメンタリー映画も何本か作られているが、その多くは2000年代に入ってからである。そう考えると、今作がいかに先鋭的な作品であったかがよく分かる。

 映画はドキュメンタリー映像を交えながら淡々と展開されていく。主観や余分な感情が入らない分、緊張感が持続し、改めてこの事件の衝撃性が直に感じ取れた。

 その中で興味深いと思った事は2点ある。
 一つはジェームズがスライドを使って過去の暗殺事件を説明するシーンである。そこで紹介されているのはリンカーン大統領を初めとした、幾多の英雄や公人たちの暗殺事件である。連綿と続く歴史に唖然とさせられた。

 もう一つは、オズワルドを犯人にしていくやり方である。ジェームズたちは、オズワルドに似た男まで用意して事件に繋がる証拠を周到に仕立てていく。その計画は静かに目立たず粛々と進められていく。そこに怖さを覚えた。

 尚、前述の 「JFK」(1991米)も今作同様、陰謀論の上に成り立った映画である。今作との共通点が幾つか発見できるので見比べてみると面白い。
 もっとも、両作品はテイストが若干異なり、「JFK」はどちらかというとヒロイックな娯楽性を追求した作りになっている。それに対して、こちらはどこまでいってもドキュメンタリータッチを崩さない硬派な作りになっている。どちらが良い悪いという問題ではないのだが、淡々としている分、今作は漫然と見れてしまうという弱点があるかもしれない。

 実際、演出の工夫不足も見られ、完成度がずば抜けて高い作品とは言い難い。ドキュメタリータッチに固執し過ぎたせいであろう。個人的には暗殺の瞬間を描くクライマックスくらいは、もう少し場面転換にメリハリを付けても良かったような気がした。また、これは技術的なミスになるのだが、列車での密談シーンのあちこちにマイクが写っているのも気になった。

 尚、脚本は名ライター、D・トランボが担当している。その巧みな脚色術は序盤のシークエンスで確認できる。ジェームズたちの密談と狙撃訓練を交互に映しながら、見る者をグイグイと引き込んでいく力強いシークエンスは見事だった。
[ 2014/05/11 00:49 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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