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人生はビギナーズ

ゲイの父親とユダヤ人の母親に縛られて生きてきた青年の恋の物語。
人生はビギナーズ [DVD]人生はビギナーズ [DVD]
(2012/08/03)
ユアン・マクレガー、クリストファー・プラマー 他

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「人生はビギナーズ」(2010米)星3
ジャンルロマンス
(あらすじ)
 アートディレクターのオリヴァーは愛に臆病な38歳の独身男。母の死後、父から突然ゲイであることをカミングアウトされ戸惑う。その後、父は癌を宣告され、残りの人生を恋人や仲間たちと過ごした。そして現在。その父も他界しオリヴァーは孤独に苛まれていた。そこにアナという女優志望の女性が現れる。2人は親密になっていくのだが‥。

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(レビュー)
 孤独な独身男性が同じように孤独を抱えながら生きる奔放な女性と出会うことで、自分の半生を見つめ直していくロマンス作品。

 本作は少し一筋縄ではいかない作りになっている。基本的にはロマンス映画なのだが、そこに主人公が辿ってきた孤独な人生が振り返られることで、ある種人間ドラマ的な見方も出来るのだ。それを散漫と思う人もいれば、逆に深みのあるドラマと捉える人もいるだろう。決してストレートに感動できる映画ではない。むしろ、噛めば噛みしめるほど味わいが出てくる。そういったタイプの作品である。

 この映画で面白いと思ったのはアナのキャラクターである。物語の視点がオリヴァーに立っているため、彼女の本当の姿は中々掴みきれない。一体何を考えているのか?本当に僕のことを愛してくれているのか?そうしたオリヴァーの不安を媒介にしながら見ていくと、この映画は中々面白く追いかけていくことが出来る。

 オリヴァーは友人に連れて行かれた仮装パーティーで彼女と知り合う。この時のシチュエーションが中々洒落ていて面白い。オリヴァーは心理学者フロイトの恰好をして孤独に沈んでいる。そこに男装の恰好をしたアナが現れる‥という歪な”見かけ”はユーモアが効いている。カウンセリングをする側と受ける側が、この”見かけ”とまったく逆転しておりクスリとさせられた。

 そして、その後の二人を見ていると、この出会いのシチュエーションは、そのまま以降のドラマにも引き継がれているような気がした。つまり、両親の愛を受けられなかった孤独なオリヴァー。同じように両親から突き放されて生きてきたであろうアナ。アナがオリヴァーを慈しみの愛で包み込んでいく‥という構図でこのロマンスは進んでいくのだが、その関係は、まるで序盤の出会いそのままである。つまり、アナはオリヴァーにとってのセラピストとなっていくのだ。最近見た映画で「世界に一つのプレイブック」(2012米)という作品があったが、あそこに登場したカップルと似たような関係だと思った。

 こうして暫くは順調に交際が続いていくのだが、世の中そうそう上手くはいかないものである。物語が進むにつれて二人の関係は次第に躓きを見せ始める。オリヴァーの孤独は想像以上に深く、それはアナでさえ癒すことができなくなっていくのだ。

 そして、先述したように、この映画にはオリヴァーとアナのロマンス以外に、人間ドラマ的なテーマも隠されている。オリヴァーの孤独の原因がどこにあるのか?それを探る回想ドラマがこれにあたる。
 この過去編は、オリヴァーの幼少時代、癌におかされた父を見守る時代、主に二つの時代で構成されている。時間軸が整理されてない所に作りの不親切さを感じたが、彼が辿ってきた半生と孤独感はよく理解できた。
 つまり、オリヴァーの孤独には、両親の生い立ち、母がユダヤ人だったこと、父がゲイだったこと、両親の不仲、そうした諸々の幼児期の事情が関係していたわけである。愛に裏切られ、愛に突き放されてしまったことで、彼は愛を獲得するための努力をしない人間になってしまったのである。
 このようにオリヴァーの過去を紐解いていくと、本作は中々歯ごたえのあるドラマに思えてくる。

 キャストでは、アナを演じたメラニー・ロランの美しさが印象に残った。彼女は「イングロリアス・バスターズ」(2009米)で一躍脚光を浴びたが、それ以降活躍の場をどんどん広げている。序盤の男装の出で立ちや、真っ赤なシャツをさりげなく着こなすあたり、ビジュアル面での見所は尽きない。オリヴァーにとっての癒しの女神として十分の輝きを放っている。

 演出は繊細さと大胆さを織り交ぜながら硬軟自在に上手くまとめられていると思った。オリヴァーには唯一の友であるアーサーという飼い犬がいる。そのセリフを字幕で表現する演出などは非常にユーモラスだった。また、オリヴァーとアナがローラスケートのシューズを履いたままホテルに帰ってくるシーンもキャッチーな演出で面白い。
 全体的シリアスなドラマではあるが、所々にこうしたユーモアが登場してくるので嫌味のない作品になっている。
[ 2014/05/22 00:37 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(2)

奥野卓志と申します。

奥野卓志と申します。教師をやっております。
素晴らしい記事なので生徒にも見せたいと思います。
授業で活用させていただきます。
[ 2014/05/23 11:02 ] [ 編集 ]

ありがとうございます。
見る人によって色々な感想が出てくる映画だと思いますよ。
[ 2014/05/30 00:18 ] [ 編集 ]

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