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東京日和

中山美穂の美しさとロケーションが光る作品。
東京日和 [DVD]東京日和 [DVD]
(2000/04/19)
竹中直人、中山美穂 他

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「東京日和」(1997日)star4.gif
ジャンルロマンス
(あらすじ)
 写真家・島津巳喜男は妻ヨーコと仲睦まじく暮らしていた。しかし、巳喜男の稼ぎだけでは食って行けず、実際にはヨーコが家計を支えていた。ある日、編集者を集めて自宅でパーティーが開かれる。巳喜男とヨーコは些細なことで口論となり、それから3日間ヨーコは家を出て行ったきり帰ってこなくなった。その後、ようやく戻ってくると、彼女は次第に情緒不安定になっていく。巳喜男は何もすることができず、ただ優しく見守ることしかできなかった。

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(レビュー)
 アラーキーこと写真家の荒木経惟と妻・陽子の共著「東京日和」をモチーフに、竹中直人が監督兼主演で映画化した作品。長年連れ添った夫婦の愛を静かに描いた感動ドラマである。

 映画はいかにもセットであることが丸分かりなベランダのシーンから幕開けする。そのチープさに多少不安を覚えたのだが、ドラマが進むにつれて次第に素晴らしいロケーションが登場してくる。
 主人公・巳喜男は様々な場所へ出掛けて写真を撮るのだが、その景色が一々凝っている。東京の下町、東京駅、銀座、九州の厳木(きゅうらぎ)駅、そして大林宣彦監督の「廃市」(1984日)でも印象的だった福岡県柳川市の緑豊かな町並み。いずれも、どこかレトロチックな景色で、時代が微妙にずれている所に面白さを感じた。

 中でも、二人が空き缶を蹴りながら延々と歩くシーンは白眉である。それまで2人の関係はギクシャクしていたのだが、その”わだかまり”が一掃される心温まるシーンとなっている。ここに登場する東京の片隅に存在するであろう、どこかの裏道は、実際には何の変哲もない風景なのに不思議と風情が感じられた。撮り方の上手さとロケハンのおかげだろう。

 尚、この空き缶のシーンを筆頭に、本作は小物の使い方が抜群に上手い。国木田独歩の小説、猫、花といったアイテムがドラマを上手く盛り上げている。特に、ラストの”アレ”には参ってしまった。日常の隅に隠された小さな文字にまで目くばせした脚本の巧みさである。冒頭の伏線が見事に回収され感動させられた。

 本作の脚本は岩松了。彼の印象と言うと、三木聡監督のコメディ映画などで独特の芸風を見せる”面白いおじさん”である。その彼がこうしたセンチメンタルなストーリーも書けるとは驚きだった。夫婦の確かな絆がゆったりと筆致されていて感心させられる。

 その一方で、同じ団地に住む少年とヨーコの交流には、少しホラー的な要素が見られた。ヨーコが情緒不安定になっていく原因は、どうもここに関係があるんじゃないか‥ということが、このエピソードによって少しずつ判明してくる。つまり、ヨーコは母親になれない女性であり、少年への特別な愛情は彼女の疑似母性愛の表れであると想像できるのだ。このねじ曲がった愛は、悲しくもあるが怖くもある。母性の狂気がかすかに透けて見える所に、面白味を感じた。

 ただ、これは個人的な好みの問題もあろう。前半はストーリーを進展させるよりも設定の説明に注力されるので、観ていて少々退屈してしまった。出来れば映画の取っ掛かりとして、何か一つドラマの方向性をはっきりと示すような事件があった方が良いと思った。どうしてもダラダラとした感じになってしまう。

 竹中直人の演出はこれといって斬新ではないが手練れたものを見せている。彼の初監督作品「無能の人」(1991日)から一貫するオフビートな笑いを忍ばせながら、しみじみとした味わいで夫婦愛を紡いでいる。
 特に、後半の”見せない”キスシーンは、今の時代には不似合いなほどの奥ゆかしさで、こう言っては何だが、このシーンを描くためにこのドラマは存在するのではないか‥と思えるほど素敵なシーンになっている。全編レトロフィーチャーなテイストにも、このキスは上手くハマっていた。

 キャストでは、竹中直人本人の演技については、良くも悪くもいつもの竹中直人である。多少大仰になってしまうのは如何ともしがたい。それが彼のカラーである。これを見ると、やはり彼はシリアスよりもコメディの方が映えると思った。

 一方、ヨーコを演じた中山美穂は、そのビジュアルだけで最後まで持って行ったという感じである。演技云々を言ってしまうと少々厳しいものがあるが、ビジュアル的な魅力は存分に感じられた。特に、ファインダー越しの彼女の表情には惚れ惚れするほどだった。女優を美しく撮れる監督は名監督というが、まさに本作の中山美穂の美しさはそれを証明して見せている。

 その他に、今作には様々な映画監督や有名俳優がチョイ役で登場してくる。おそらく竹中監督の繋がりなのだろう。意外な所では、映画監督の森田芳光と歌手の中島みゆきの掛け合いなんていうのも見られる。これは大変珍しいと思う。
 尚、原作者であるアラーキー本人も特別出演している。しかし、さりげなく登場するならまだしも、結構重要な場面で、しかも堂々と登場してくるので面喰ってしまった。あの通り強烈な個性を持った人なので、彼が出てくると途端に映画の世界から現実の世界に引き戻されてしまう。これこそ、もっとさりげない形でのカメオ出演に留めて欲しかった。
[ 2014/06/11 01:32 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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