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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

M・ストリープの成りきり演技が見所。
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(2012/09/04)
メリル・ストリープ、ジム・ブロードベント 他

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「マーガレット・サッチャー 鉄の涙の女」(2011英)星3
ジャンル人間ドラマ・ジャンル社会派
(あらすじ)
 政界を引退して数年後、イギリスの元首相マーガレット・サッチャーは認知症に悩まされながら孤独な暮らしを送っていた。最近、彼女は時々亡き夫の幻覚を見る。政界進出を後押ししてくれた夫との思い出は、彼女にとってはかけがえの無いものだった。しかし、それは決して楽しい日々ばかりではなかった。女性初の首相として様々な障害が彼女前に立ちはだかった。その時の苦難の道のりが回想されていく‥。

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(レビュー)
 イギリス初の女性首相マーガレット・サッチャーの伝記映画。

 かつて「鉄の女」の異名を取り一時代を築いたサッチャーであるが、昨年4月に多くの人々に惜しまれながら他界した。個人的には彼女の政治手腕には疑問を覚える部分もあるのだが、しかしあの当時は世界中が新自由主義へ傾倒していった頃である。彼女の政策も右に倣えで、これも一つの時代の流れだったのだろう。尚、本作の中でも、サッチャリズムに対する国民の不満は大々的に描かれている。

 何と言っても今作の見所はサッチャーを演じたM・ストリープの演技だろう。特殊メイクをして本人になりきった演技は必見である。若い頃から晩年までを一人で熱演し、彼女は本作で見事に3度目のオスカーを受賞した。尚、同時に本作はメイクアップ賞も受賞している。

 ただ、正直な所、映画の出来自体には余り感心を持てなかった。このブログでは、伝記映画を作るのは大変難しいと再三言っているが、この作品もその点では失敗していると言わざるを得ない。若年から晩年にいたる大河ドラマを描こうとした結果、作りが散漫になってしまっている。

 更に、この映画は現在と過去が頻繁に交錯しながら展開する。しかも、時間軸が飛び飛びで、ここまでフラッシュバックが横行すると中々物語に集中することはできない。加えて、現在パートには認知症のサッチャーが見る幻視、亡き夫との幻想的なやり取りまでもが入ってきて、正直ここまで時制と虚実が入り乱れてしまうとストーリー自体の求心力は失われてしまう。
 サッチャーの出自、夫との愛、フォークランド紛争など、出てくる一つ一つのエピソードは、それなりに魅力的な素材だっただけに、もっと素直な構成で作っていれば普通に感動できる映画になったように思う。

 そんな中、唯一時制の往来で成功しているシーンがある。それは終盤、いよいよ首相の座から退陣を要求されるという場面。彼女は少女時代の悔しい思い出を想起する。
 それは、食料品店の娘として生まれた彼女が店の前で働いていると、通りかかった同じ年頃の少女たちに笑われる‥という回想である。恋もせずひたすら家の手伝いと勉学に打ち込んできたサッチャーは、他の少女たちのように自由な時間は無かったのである。その悔しさ、惨めさは計り知れない。
 その回想がこの退陣シーンにフラッシュバックされることで、何とも言えぬ虚しさが沸き立った。現在と過去が重なりドラマチックである。
[ 2014/06/28 00:48 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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