fc2ブログ










チョコレートドーナツ

感動の実話。
pict222.jpg
「チョコレートドーナツ」(2012米)star4.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 1979年、ドラッグクィーンのルディは、ゲイであることを隠して生きる地方検事ポールと出会い恋に落ちる。その晩、ルデイがアパートに帰宅すると、隣室で一人孤独に震えるダウン症の少年マルコを見つける。薬物依存症の母親が男と共にどこかに消えて行ってしまったのだ。不憫に思ったルディは彼を一晩部屋に泊めてやる。その後、母親は麻薬所持の罪で逮捕されてしまった。ルディはポールの協力を得ながら、身寄りの無くなったマルコを引き取ろうと裁判を起こす。

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ


(レビュー)
 ゲイのカップルと親に捨てられたダウン症の少年の愛を感動的に綴った実話の映画化。

 正直、序盤の性急な展開がいただけなかった。第一、ルディがマルコにあそこまで親身になる動機付けが弱すぎる気がした。
 展開が早いというのは見てて確かに楽である。しかし、一方でどうしても引っ掛かりを覚えてしまい、ドラマに集中できなくなってしまう。
 自分は見ている最中、ルディがどうしてそういう行動心理に至ったのか色々と想像してみた。もしかしたら彼の幼少時代に何か関係しているのかもしれない‥。あるいは、女になれなかった彼の母性願望の表れなのかもしれない‥等々。しかし、ストーリーが進展しても、見ているこちら側が納得できるような説明は提示されなかった。したがって、映画前半部は決定的に説得力と深みに欠ける気がした。

 また、このドラマの最大の加害者はマルコの母親である。その彼女の問題を保留にしたまま閉幕してしまったのも大いに不満に残った。

 ただ、こうしたシナリオの弱さは目立つものの、ここで描かれているテーマ、差別と不寛容に対する痛烈な批判はいつの世にも通じる普遍性を持っていて、やはりそこには胸を熱くさせられた。

 何と言ってもラスト。ここに全てのメッセージが集約されている。実話ならではの重みが感じられた。

 また、マルコはいつも人形を片時も離さず持っているのだが、その意味する所を考えると、終盤からジワジワトこみ上げてくるの物がある。おそらくだが、この人形は彼の孤独の叫び。つまり、母親に対する愛の渇望の表れだったのではないだろうか。
 尚、この人形は様々な場面でドラマに色々な作用をもたらすキーアイテムとなっている。序盤ではルディと出会うきっかけとして重要な役回りを果たしていた。中盤ではマルコを巡る裁判でルディ側に不利に働いていた。こうした所のアイディアはよく考えられていると思った。

 共同製作・監督・共同脚本はこれが初メガホンとなるT・ファイン。これまでは俳優として活動してきた氏が初めて演出に徹したのが本作である。彼が出演している作品は1本も見たことが無いので演技に関しては評価のしようがないが、初監督作となる今作を見る限り演出家としての力量はまずまずといった印象である。これという目立った作家性は感じられないが、堅実な物を見せている。尚、途中に挟まる記録映像はノスタルジックな味わいをもたらし中々良かった。また、この映像は以後の展開の伏線としても上手く効いていた。

 キャストではマルコ役の少年の自然体な演技が良かったと思う。本物のダウン症の少年なのでリアリティも感じられた。
 また、ルディを演じたA・カミングも健闘している。人気のドラッグ・クィーンという役所で、実際に歌も披露している。彼の場合は時々、演技が大仰になってしまうので、どうしても作品の向き不向きが出てしまう。しかし、今回はそれがシリアスな場面に丁度いい塩梅のユーモアを加味し、それが作品の見やすさに繋がっていると思う。そういう意味では、本作における彼の功績は大きい。
[ 2014/07/09 00:36 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/1289-6f1d195e