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地球最後の男

何度も映画化されているSFの古典。様々な作品に影響を与えた。
地球最後の男/人類SOS!(2in1) [DVD]地球最後の男/人類SOS!(2in1) [DVD]
(2005/02/25)
ヴィンセント・プライス、ニコール・モーレイ 他

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「地球最後の男」(1964伊米)star4.gif
ジャンルSF・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 近未来、人類の大半は謎のウィルスによって吸血鬼と化してしまった。その中で、ただ一人吸血鬼と戦い続ける男がいた。彼の名はロバート。科学者である彼は、吸血鬼の弱点を研究して今まで生き延びて来れた。吸血鬼は暗闇でしか活動できない。そして、鏡とニンニクに弱かったのである。ある日、ロバートはいつものように吸血鬼退治に出かけた。するとまだ感染していない少女を発見する。ロバートは彼女を保護して自宅へ戻るのだが‥。

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(レビュー)
 R・マシスンのSF小説を映像化した作品。
 この原作は何度も映画化されているが、今回が一番古い作品になる。この他には、C・ヘストン主演で製作された「地球最後の男 オメガマン」(1971米)、W・スミス主演で製作された「アイ・アム・レジェンド」(2007米)がある。他の2作品は未見であるが、どうやら原作に最も近い形で作られているのが今作ということだ。

 余談だが、かの藤子不二雄もこの原作を翻案した短編マンガを描いている。その名もずばり「流血鬼」という作品である。
 更に、今作はジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ三部作の第1作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968米)にも影響を与えたと言われている。吸血鬼がロバート邸を取り囲むシーンが、「ナイト・オブ~」における主人公たちの屋敷にゾンビが群がるシーンとよく似ている。「ナイト・オブ~」はその後のゾンビ映画の原点と言われる記念碑的作品だが、実はその出発点はここにあったのだ。

 ストーリーはややシンプル過ぎるきらいがあるが、それを補って余りある設定の妙、そして衝撃の結末が素晴らしい。

 構成も実に巧みである。まず映画は、世界が吸血鬼に支配された現在から始まる。その後にロバートの回想で過去が振り返られ、なぜ吸血鬼が増殖したのか、彼の家族はどこへ行ってしまったのかといった謎が徐々に解明されていく。
 また小道具の使い方も巧みで、子供が好きだった人形、家族で撮った8ミリフィルムといった物を使いながら、丁寧にロバートのバックストーリーが説明されている。観客の興味を惹きつけながら展開されるシナリオはよく出来ていると思った。

 そして、ロバートの絶望と孤独、吸血鬼に対する憎しみといった感情もよく伝わってきた。彼が何故そこまでして吸血鬼狩りをするのか、その意味もとくと理解できてた。特に、吸血鬼の死体を谷底に投げ捨てるシーンは、その意味を象徴的に表したシーンだと思う、映像的にもかなりインパクトがあり、忘れられないシーンとなった。

 映像と言えば、各所に登場するロケーションも見事である。閑散とした都市の様子が、いかにもディストピア的雰囲気に満ちていて素晴らしい。

 キャストの好演も見逃せない。ロバートを演じたV・プライスは影を忍ばせた演技で、孤独な男を渋く演じている。悲哀を滲ませた所に、この男の苦悩が刻み込まれ、自然とその胸中に迫ることが出来た。しかも、映画の前半は、ほとんど彼の一人芝居が続く。プライスはB級映画専門の俳優で、はっきり言って、メジャーな大作や賞レースとは無縁な俳優だった。しかし、この渋味を利かせた演技などを見ると、改めて再評価してあげてもいいのではないか。そんな風に思う。
[ 2014/09/29 00:27 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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