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待ち伏せ

豪華スターが集う時代劇。
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(2013/11/08)
三船敏郎、石原裕次郎 他

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「待ち伏せ」(1970日)星3
ジャンルサスペンス・ジャンルアクション
(あらすじ)
 浪人・三郎は、”からす”と呼ばれる武士から用心棒として雇われる。早速、彼は三州峠へ行くよう頼まれる。しかし、そこで何が起こるのかは分からなかった。密命はあとから追って連絡が来ることになっている。三郎はその道中、夫から虐待を受ける”おくに”という女を助ける。2人は峠の茶屋に一時身を隠した。そこには医者崩れの玄哲という男が居候していた。暫くして渡世人の弥太郎、盗人を捕まえた役人・伊吹が転がり込んでくる。伊吹は怪我をしていたので、その場にいた皆で介抱した。ところが、元医者の玄哲はそっぽを向いて自分の部屋に入っていってしまった。三郎は彼の素性を怪しむ。

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(レビュー)
 峠の茶屋を舞台にした群像時代劇。

 派手なアクションシーンはクライマックスにあるくらいで、ほとんどが茶屋という限定された空間で行われる室内劇になってる。確かに地味ではあるが、中々スリリングな心理劇で最後まで息の抜けないサスペンスが堪能できる。

 様々な訳あり人間が登場してくるが、茶屋に居候する医者崩れの玄哲という男は最も面白く見れた。外見からして只者ではないと言った風貌で、最初から胡散臭い匂いをプンプンさせている。その正体は後半に入ってようやく判明するが、そこからこの映画は怒涛の展開に入っていく。玄哲がドラマの鍵を握るキーマンとして、良い働きぶりを見せている。

 また、この映画には、玄哲の正体の他にもう一つのミステリーが仕込まれている。それは主人公・三郎が受ける密命だ。彼は”からす”という男に用心棒として雇われて、この峠に来る。しかし、その密命が何なのかは知らされていない。後から連絡される手はずになっている。この密命の内容もクライマックスに入るまでは明かされない。三郎はそれに翻弄されていく。

 今作は、他にも様々な個性的な人物たちが登場してくる。夫の暴力から逃げたおくに。フラリとやってきた渡世人・弥太郎。罪人と激しい格闘を演じて負傷した役人・伊吹。そして、茶屋の主人と孫娘である。映画は彼らのやり取りをユーモラスに描きながら、クライマックスの戦いへ至るテンションを徐々に高めている。緊迫したサスペンスの合間に、こうした人情ドラマ的な風情を織り交ぜた所に、作り手側の”したたかさ”が伺える。これによって作品にかすかな抒情性が付帯する。

 脚本は小国英雄の他に3名のシナリオライターが共同で務めている。監督は稲垣浩。彼も別のペンネームで脚本に参加している。人物の出し入れ、心理の機微を絶妙に捉えた演出は流石に上手く、ベテランならではの手練が感じられた。ちょっとした隙に見せる微妙な表情の変化も見事に掬い上げている。

 ただし、ラストのあっけない幕切れは少々物足りなかった。また、おくにが三郎に連れて逃げてと言うクダリの整合性のなさ、茶屋の娘の説明台詞は気になる部分であった。クライマックスの爆弾も、その使い方がご都合主義に思えてしまう。
 しかし、こうした不満点以外はキッチリと作られていて、ほとんど破綻が見られない作品である。

 今作はキャストも見逃せない。三郎役の三船敏郎はひたすら豪快であるし、玄哲役の勝新太郎は怪しい雰囲気を滲ませながら独特の怪演を披露している。弥太郎役の石原裕次郎は生来の男前ぶりを発揮しながら飄々とした味わいで自分のカラーを出している。伊吹役の中村錦之助は多少、小役人の些末さを強調しすぎた感はあるが印象的な演技だった。これだけのスターが一堂に会するというのはそうそうないことである。それだけでも今作を見た甲斐があった。
[ 2014/10/19 00:25 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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