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映画ありのまま

こんにちはorはじめまして、ありのと申します。 ここは見た映画について気ままにレビューを垂れ流すブログです。

ニンフォマニアックvol.1

2014.11.08(00:36)
女性の”性”の軌跡を赤裸々に描いた問題作。
pict234.jpg
「ニンフォマニアックvol.1」(2013デンマーク独仏ベルギー英)star4.gif
ジャンル人間ドラマ・ジャンルエロティック
(あらすじ)
 ある雪の降る夜、孤独な中年男セリグマンは、傷つき倒れる女性ジョーを介抱する。彼女は自分を罪深き人間だと言う。セリグマンは彼女が辿ってきたこれまでの半生を聞く---幼少時代のジョーは人一倍、性に対して好奇心が旺盛だった。幼馴染のBと共に自慰行為に目覚め、思春期を迎える頃には近隣の青年ジェロームと初体験を済ませる。そして、Bと共に欲望の赴くままに次々と男たちを漁っていった。こうしてジョーは次第に色情狂になっていく。

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(レビュー)
 鬼才ラース・V・トリアー監督が、過激な性描写を交えて描く女性の半生ドラマ。計4時間強、2部作という大作である。本作は「アンチクライスト」(2009デンマーク独仏スウェーデン伊ポーランド)「メランコリア」(2011デンマークスウェーデン仏独)に続く、トリアーの”鬱三部作”の最終章となる。

 尚、あからさまな性描写が出てくるのでご注意を‥と言っても、日本ではボカシが入っている上に、ベルリン映画祭で公開された5時間を超える尺よりも1時間ほどカットされているので、完全版の体を成していない。おそらくだが、カットされた中にも過激なセックスシーンはあるのだろう。今回はそのあたりは確認できず残念。

 物語は、色情狂(ニンフォマニアック)を自認するジョーの半生をセリグマンが聞くという形で進行する。このvol.1では全8章の内の第1章から第5章までが描かれる。その内容は、ジョーの性の目覚め、屈辱的な初体験、奔放に男たちを渡り歩いた思春期時代、父の死、初体験の相手との再会‥といった所までが描かれる。夫々にサブタイトルが付いているのでテーマは明快で理解しやすい。

 自分はジョーのような色情狂という人間を現実に知らなかったので、今回の映画は新鮮に見れた。トリアーの映画はほとんどが寓話なので、過度な演出は当然あるが、それにしてもジョーの数奇な人生には見入ってしまう。

 また、トリアー自身が鬱病に苛まれ続けたことによって創作された”鬱三部作”とはいえ、過去の2作品に比べると所々にコメディタッチが入っていて、今までにない新鮮さが感じられた。それによって、本来シリアスな物語もどこか屈託なく見れてしまう。

 例えば、ジョーとセリグマンの会話は一々愉快である。
 ジョーの絶望的な告白は、劇中劇という構成のバイアスがかかっているため、客観的に見れば現実かどうか分からない。ひょっとすると、全て彼女の作り話かもしれない。当然、セリグマンは半信半疑で彼女の話に様々な疑問と驚きを呈していくのだが、これがまるでコントにおけるボケと突っ込みのようで面白かった。

 また、第3章「ミセスH」の艶笑風なタッチには思わず笑いがこぼれてしまった。この章は、複数の男と付き合っていたジョーが痛いしっぺ返しを食らう‥という訓話になっている。まず、付き合っていた不倫相手の男が妻を捨ててジョーの部屋に転がり込んでくる。その後に捨てられた妻ミセスHと子供たちが乗り込んでくる。更に、別の彼氏がそこにやって来て、その場で修羅場が展開される。まるでどこかで見たことがあるようなベタな昼メロであるが、ミセスHの掻き回しっぷりが最高に可笑しく、このエピソードには笑わされた。

 その一方で、当然シリアスなエピソードもある。第4章「せん妄」ではジョーと父の関係が描かれる。
 この映画の中には、幼少のジョーが父と一緒に森の中を散歩するシーンが何度か登場してくる。おそらく彼女にとってこれが今までの人生の中で最も大切にしたい思い出なのだろう。雪積もる森の風景が清らかで、淫欲に溺れてしまった現在のジョーとの対比から強く印象に残った。
 しかし、そんな愛する父が病に倒れてしまう。病床の父をジョーが看護する時、彼女は知らず知らずのうちに濡れてしまうのだ。死はエロティックな物である。身体の中に根付く性衝動をどうすることも出来ない彼女の心中を察すると、切なくさせられた。孤独な彼女が唯一心を開ける存在。それは父だけなのに、その死に際に彼女の性衝動は抑えられないのである。実に悲しいことである。

 そして、迎えるvol.1のクライマックス、第5章「リトル・オルガン・スクール」では、ジョーの身に劇的な変化が訪れる。彼女自信、予想だにしてなかったような展開に突入し、果たしてジョーはどうなってしまうのか?次を期待させるような”引き”を提示しながらvol.1は終了する。これも悪くない。

 本作は、女性の”性”を正面から描いたセンセーショナルな意欲作である。トリアーらしい堂々としたポルノ描写の数々も見応えがあり、それによってドラマに説得力をもたらした点を大いに評価したい。その辺のヤワな監督ではここまでは出来ないだろう。創作は常に挑戦である。それを実践し続ける彼だからこそ、ここまでの作品を作り上げることが出来たのだと思う。

 無論、彼の演出意図に応えた演者達の熱演も素晴らしい。
 何と言っても、若きジョーを演じたステイシー・マーティンの身体を張った熱演が素晴らしく、これには頭が垂れてしまう。しかも、彼女は本作が映画初出演というから驚きである。ロリータ風な外見で男たちを手玉に取っていく様は正に圧巻で、トリアーが見出した新たなミューズという感じがした。今後の活躍にも期待したい。
 ジョーの父を演じたC・スレーターの渋い演技も中々に良かった。かつてはアイドル若手俳優として華々しい活躍を見せていたが、ここ最近は御無沙汰で何をしていたのかさっぱり分からなかった。それがすっかり父親役が似合う俳優になっていて懐かしく見れた。特に、病床での熱演が素晴らしかった。

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