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レイチェルの結婚

姉妹の確執をミニマムに綴った佳作。
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(2010/05/26)
デプラ・ウインガー、ローズマリー・デウィット 他

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「レイチェルの結婚」(2008米)星3
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 薬物依存症で施設に入っていたキムが実家に戻ってくる。家族は姉レイチェルの結婚式の準備で慌ただしくしており、キムは自分の居場所を見つけられないでいた。その夜、親戚や友人が集まって祝賀パーティーが開かれる。皆が結婚の祝辞を述べる中、キムは自分の過去を暴露して祝いのムードに水を差してしまう。

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(レビュー)
 姉妹の対立と葛藤をハードな会話劇で描いたヒューマンドラマ。

 実の姉妹でありながらここまで互いを憎み合うとは、一体この二人にどんな過去があったのか?本作はそこを追求していくドラマとなっている。

 最初は人間関係が不透明なままストーリーが進行していくが、キムが麻薬常習者だったこと、姉レイチェルと過去に因縁があったこと、別離した母との確執、そういったものが徐々に露わになってくるに連れてキムの立ち位置が判明してくるようになる。そして、レイチェルとの関係性も徐々に明るみになっていく。安易に回想で説明するのではなく、現在のやり取りから巧みに紐解かれていく所に見応えを感じた。脚本がよく出来ている。
 本作の脚本を担当したのは、名匠S・ルメットの実娘ジェニー・ルメットである。彼女は今回が初めての映画脚本らしい。ここまで緻密に描けるとは誠に恐れ入った。父親譲りの才能かもしれない。

 監督はJ・デミ。「羊たちの沈黙」(1990米)でブレイクして以降、今一つ目立った活躍がない監督だが、今回はこれまでのサスペンスとは異なるジャンルに挑戦している。いわゆる人間ドラマだ。ただ、演出自体はドキュメンタリー・タッチを推したサスペンス風味で、やはり今回も作り自体は一貫している。人間ドラマというよりもサスペンス・ドラマといった感じで見れる。そして、このタッチは姉妹のギスギスした関係描写に見事にハマっており、最後まで息の抜けない緊迫したドラマを作り上げている。

 例えば、祝賀パーティーでのキムのスピーチ。姉のレイチェルに対する嫉妬と敵対心から、自分が辿ってきた人生を卑屈にひけらかし、その場を凍り付かせる場面。ここなどは、見ているこちらまでその場にいるかのような臨場感が味わえた。
 そもそも、この場面におけるキムが座る席の位置がよく計算されている。彼女だけが家族と離れているのである。キムの孤立感、がよく分かる演出で、こうした細かな所への目くばせには感心させられる。

 また、レイチェルが妊娠していることを告白するシーン。このタイミングでそれを切り出すか?‥というような絶妙のタイミングで飛び出す。これには唖然とさせられた。ほとんどシニカル・コメディのような毒気が入り混じった可笑しさがあった。

 このように、和やかな雰囲気だったのが突然気まずい雰囲気になったり、喧々諤々とした騒動が、ある一言によって笑いに転嫁したり、終始飽きない作りが徹底されている。限定された室内劇という小さな芝居を、ここまで引き立たせたデミ監督の手腕は見事である。

 また、小物の使い方も中々上手いと思った。過去の悲劇を表わす食器、美容室の鏡といったアイテムがキャラクターの心理、バックストーリーを饒舌に語っている。これもシナリオと演出の上手さだろう。

 キャストではキムを演じたA・ハサウェイの熱演が光っていた。どちらかと言うとアイドル的な出発をしたこともありラブコメ専門の女優というイメージがあったが、今作で演技派として一皮むけたという感じがした。近年の「レ・ミゼラブル」(2012米)で見せた熱演も忘れがたい。

 全体的に完成度が高く中々の佳作となっている。デミ監督の久々の快作といっていいだろう。
 ただ、結末については少しアッサリしすぎた感じを持った。小さな枠組みのドラマなのでカタルシスを求めても仕方がないのだが、姉妹の”戦い”は結局の所、夫々の人生に何の影響も与えないまま終幕してしまっている。この結婚式がキムに何をもたらしたのか。あるいは彼女の中で何が変わったのか。そのあたりをもっと明確に発して欲しかった。このままではどうしてもインパクトに欠けてしまう。
[ 2014/11/16 13:43 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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