最後のどんでん返しは見事。
「やさしい嘘と贈り物」(2008米)
ジャンルロマンス
(あらすじ) 孤独な老人ロバートは、ある日近所に住むメアリーという女性とひょんなことで知り合い、一緒に食事をすることになった。とは言っても、彼は女性との交際に不慣れだった。そこで勤めているスーパーの上司にアドバイスを受ける。そのおかげもあってメアリーとの食事はとても楽しいものとなった。こうして二人はデートを重ねていくのだが‥。
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(レビュー) 孤独な老人と老婦人の恋をハートフルに描いた作品。
ただし、ラストで意外などんでん返しが用意されている。それを見ると少し怖い映画にも思えた。
物語は実にシンプルである。今まで友人も恋人も作ってこなかった孤独な老人ロバートが、向かいに住む老婦人メアリーと親しくなることで愛を知っていく‥というドラマである。
自分の人生を振り返って何も無かったことを後悔するロバート。そんな彼に優しく「今を楽しむのよ‥」と語り掛けるメアリー。その関係に温かみが感じられた。
しかし、ドラマ的には少々弱いという感じも持った。そもそも、この手のドラマ自体それほど珍しくはないし、第一善人しか出てこない所にどうしてもご都合主義が感じられる。過去数十年に及ぶロバートの孤独を癒すメアリーの愛に説得力が余り感じられなかった。
ただ、この映画は終盤から大胆な方向転換を見せる。そこだけは面白く見れた。というか、映画のオープニングからこの方向転換は匂わせていたのである。不穏なBGM、不気味で謎めいた映像。これらは映画の途中で何回か登場してくるが、それは全てこのどんでん返しの伏線だったわけである。
そんなわけで、見ている最中は今一つ乗り切れなかったのだが、終盤の方向転換で一気に自分は映画の中に引き込まれてしまった。
キャストでは、ロバートを演じたM・ランドー、メアリーを演じたE・バースティン、共に味わい深い演技を披露している。特に、バースティンの朗らかさを前面に出した演技は、一部で嫌らしさは感じられたものの、概ねその慈しみ深い愛には心が洗われた。