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21ジャンプストリート

劇場未公開作ながら全米では大ヒットを飛ばしたポリス・アクション・コメディ。続編も製作された。
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(2013/09/11)
チャニング・テイタム、ジョナ・ヒル 他

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「21ジャンプストリート」(2012米)star4.gif
ジャンルアクション・ジャンルコメディ
(あらすじ)
 頭はいいが運動がからっきしダメなシュミット。運動神経は良いが頭が空っぽのジェンゴ。同級生である二人は高校ではまったく接点のない学園生活を送っていた。それが同じ警察学校に入って意気投合する。互いの弱点を補いながら何とか無事に卒業。そして21ジャンプストリートの少年犯罪課に配属された。2人はそこで高校生に成りすまして、違法ドラッグが横行する学校での潜入捜査を命じられる。

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(レビュー)
 凸凹コンビの捜査官が麻薬が横行する高校に潜入して大活躍を繰り広げていくアクション・コメディ。

 自分は未見であるが、この映画は1987年にテレビシリーズがあったそうである。昨今は「チャーリーズ・エンジェル」や「白バイ野郎ジョン&パンチ」、「特攻野郎Aチーム」等、古いテレビシリーズが映画化されている。懐かしい反面、この潮流はハリウッド映画のネタ切れを証明しているとも言える。かつての独創性は失われ、過去の遺産を食いつぶす。そんな感じがここ最近のハリウッドである。
 そして、今作は正にそんな中で作られた1本だろうと思う。テレビ放映時から随分と間が空いてしまったが、こうして映画化されたことを考えると、このシリーズは今でもそれなりに根強い人気があるのだろう。また、オリジナル版には、あのJ・デップも出演していたそうである。彼の現在の人気が映画化に箔を付けたことは間違いないだろう。その証拠に彼は本作にカメオ出演している。

 物語の方は、いわゆる「ポリス・アカデミー」シリーズよろしく、落ちこぼれ警官の活躍を描いたコメディとなっている。ただし、単なるバカ映画だと思って見ていたら、最後には良い意味で足元を掬われてしまう。何だかんだと言って、きちんと泣かせる映画になっているのだ。実によく出来たシナリオだと思った。

 まず何と言っても、シュミットとジェンコ。二人の対照的なキャラクターが良い。演じたJ・ヒルとC・テイタムが正に敵役で、チビとノッポ、デブとマッチョ、見るからにギャップの激しい造形となっている。ここまでキャラが立っていれば、あとはストーリーも自然と転がっていく。

 そして、肝心のドラマもよく出来ていて感心させられた。シュミットとジェンコは高校生に扮してドラッグの元締めを突き止めるために学園生活を始めるのだが、二人の立場はかつての高校生活とはまったく逆転してしまう。いわゆる非モテなオタクだったシュミットが人気者になり、イケメンだったジェンコがオタクのグループに入ってしまうのだ。この捻じれた関係が様々な局面で笑いとサスペンスを生んでいる。
 やがて、ジェンコはシュミットに嫉妬し、2人は仲違いを始めていく。相棒として協力し合わなければならないのに、過去の栄光、苦い思い出に引きづられて喧嘩をしてしまうのだ。当然捜査も行き詰まりを見せ始め、彼らは窮地に立たされていく。
 そして訪れるクライマックス。ここでの大逆転劇には熱くさせられた。これは正に”落ちこぼれ達”が”成功”を成し遂げていく友情ドラマである。

 正直、潜入捜査のサスペンス自体は、決して本格的と言うわけではない。学校が事件の舞台となるので、どうしても話に無理が出てしまう。例えば、麻薬の元締めがプロムという目立つ場所を取引の場所に選んだのは、どう考えてもおかしな話である。ドラマの大団円としては相応しい場所かもしれないが、それにしたっていくらなんでも迂闊だろう。

 ただ、そうしたサスペンスのヌルさを補って余りある笑い。そしてラストの熱い展開。これらによって本作は十分に満足のいく映画となっている。

 加えて、シュミットとジェンコの友情には、ある種ブロマンス的な匂いも感じられ、これも昨今のハリウッド映画の潮流と言えば潮流だろう。そこも見事に笑いとペーソスに転嫁されていて感心させられた。
 例えば、トイレのシーンは傑作である。脅迫されてドラッグを飲まされた二人が、互いの口に指を突っ込んで一生懸命吐こうとするのだが、この時のセリフが狙っているとしか言いようがない。セリフの中味だけを聞いてると完全に「掘った」「掘られた」のゲイカップルの会話である。これには笑わされた。そして、この会話を聞いた清掃のおじさんの呆れ顔も最高に可笑しかった。
 中盤に登場するシュミットの叔母さんの言動にも笑わされた。こういう風に空気を読まずに大声で喋りまくる叔母さんは本当にいそうである。この妙なリアリティにクスクス笑えてしまう。
 クライマックスのカーチェイスにおける爆発ネタもナンセンスで笑わされた。ここは伏線も上手く効いていた。
 この他に、業界人の実名を使ったメタ的なネタ、下ネタ、ブラックなネタ等、少しハードルが高い笑いも用意されている。好き嫌いがはっきり分かれる所であるが、個人的にはそこも楽しめた。

 尚、共同原案にシュミット役のJ・ヒルが名前を連ねている。彼は今作では製作総指揮も務め、正に八面六臂の大活躍を見せている。J・ヒルはここでも紹介した「40歳の童貞男」(2005米)「寝取られ男のラブバカンス」(2008米)といったコメディ作品に出演する一方で、「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012米)等のシリアスな路線もいける俳優である。今回のように製作サイドに積極的に関わることもあるし、そういう意味では中々の才人だと思う。今後も注目していきたい俳優だ。
[ 2014/12/07 23:04 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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