fc2ブログ










ダーティー・メリー/クレイジー・ラリー

アッと言わせるラストに痺れるしかない。
ダーティー・メリー、クレイジー・ラリー コレクターズ・エディション(〇〇までにこれは観ろ! ) [DVD]ダーティー・メリー、クレイジー・ラリー コレクターズ・エディション(〇〇までにこれは観ろ! ) [DVD]
(2014/08/06)
ピーター・フォンダ、スーザン・ジョージ 他

商品詳細を見る

「ダーティー・メリー/クレイジー・ラリー」(1974米)star4.gif
ジャンルアクション
(あらすじ)
 元レーサーのラリーは相棒のディークと共に、スーパーの支配人宅に忍び込んで家族を人質に取り身代金を要求した。そして、まんまと15万ドルをせしめて二人は車で逃走する。ところが、車中には昨晩ラリーと一夜を共にしたメリーが乗っていた。3人は警察の追跡を交わしながら車を走らせていく。

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ


(レビュー)
 「バニシング・ポイント」(1971米)というアメリカン・ニュー・シネマの傑作がある。本作にはそれとの共通点が幾つか見られる。
 例えばラスト。いかにもアメリカン・ニュー・シネマらしい締め括り方になっているが、これは明らかに「バニシング・ポイント」を意識したものだろう。他にも、主人公が元レーサーという点も共通しているし、オープニングがエンディングに直結するという構成も一緒だ(きちんと伏線が張られている)。
 このように「バニシング・ポイント」という傑作を見た後に本作を見てしまうと、どうしても二番煎じという感じになってしまうのが苦しい所である。
 ただ、そういった共通点はある物の、カーアクションの迫力、アウトロー然としたキャラクター造形等、中々の見応えが感じられる作品である。それに、今作は男女3人の逃避行を描いたドラマである。この設定は「バニシング・ポイント」には無い面白さで、そこにこの作品ならでのチャームポイントがあるように思った。

 ストーリーはいたってシンプルに作られている。誘拐の身代金を奪った逃走犯が警察の追跡をかわしながら逃走する‥という話を延々と綴るだけである。確かにシンプルし過ぎるきらいはあるが、活劇に徹した所は潔い。
 また、警察側には、ラリーたちの逮捕に執念を燃やす捜査官がいて、これをヴィク・モローが強烈な個性を発揮しながら快演している。こちらも主要3人のキャラクターに負けず劣らず尖ったキャラで中々の存在感を発揮している。彼の存在も物語に良いアクセントを付けていると思った。

 そして、映画はカーアクションの合間に、ラリー、ディーク、メリー、3人の関係をスリリングに描いている。スピード狂の元レーサー、ラリー。冷静なメカニック担当のディーク。狡猾な紅一点メリーと言った具合に、3人は夫々に個性的に造形されている。この関係はスピード感あふれるアクションシーンの傍らで、様々に形を変えながら男女の愛憎を吐き出していく。これが本作のもう一つの見所である。

 特に、座席の座り方が彼らの関係変化を如実に表していて秀逸だった。
 初めは3人並んで前の座席に座っている。しかし、途中からラリーとメリーの関係が近づくと、ディークは身を引くように後部座席へ移る。その後ラリー達は些細なことで喧嘩をして険悪な関係になってしまう。すると、今度はメリーもディークと一緒に後部座席に座ってしまうのだ。そして、ラストで二人は寄りを戻し、メリーは再び前の座席に移る。このように、3人の座る位置に注意して見ていくと、3人の関係がよく分かる仕組みになっている。これはよく考えられていると思った。

 今作にはもう1つ卓越した演出が発見できる。それは中盤、喧嘩をしたラリーとメリーが仲直りするシーンである。ここでラリーはかけていたサングラスを外してメリーに謝罪する。そのつぶらな瞳(笑)がメリーの心を動かし彼女はラリーを許す気になる。サングラスという小道具の使い方。ずっとかけていたサングラスを初めてここで外すという小粋に演出。それによって二人の心理的な駆け引きを演出した所には、思わず「技あり!」と言いたくなってしまった。

 ラリー役はP・フォンダ、メリー役はS・ジョージ。夫々に敵役だと思った。しかし、個人的にはディークを演じたA・ロアークの演技が一番気に入った。三人の中では一番地味な存在であるが、幾ばくかの哀愁を漂わせた所が好印象である。

 アクション・シーンの見所はやはりクライマックスのヘリとのカーチェイスシーンとなろう。かなり危険な撮影をしている。実は、車ばかりがフィーチャーされる本作であるが、このヘリがかなり凄い飛行をしていて、今見てもこれには驚かされた。
 特に、中盤に保安官がヘリを呼び出して乗り込むシーンがある。場所の設定としては別に広大な草原でもいいのだが、この映画では敢えて電柱に囲まれた道路にヘリは降り立つ。よくよく見るとヘリは電線の下をくぐって着陸している。これは凄い芸当である。
 他にも、クライマックスの地面すれすれの飛行も神がかっていた。車とヘリの追跡というプレミアム感も相まって、数多あるカー・チェイス・シーンの中でもトップクラスの出来栄えとなっている。

 尚、この映画は「バニシング・ポイント」の影響下にあるのではないかと先述したが、逆に今作を元にして作られた作品も発見される。それはM・ギブソンの出世作「マッドマックス」(1979豪)である。あそこに登場するインターセプターは、まさに今作に登場した若い警官が乗る改造車からアイディアを拝借したものだろう。また、ラリーとメリーが警察の無線を通して挑発するシーンが出てくるが、これも「マッドマックス」の冒頭に登場したカップル”ナイトライダー”の原型のように思う。
[ 2014/12/17 01:23 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/1351-7bac88fd