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マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト

極悪ピエロの殺人ショー第2弾。
マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト [DVD]マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト [DVD]
(2009/10/07)
シド・ヘイグ、ビル・モーズリイ 他

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「マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト」(2005米)星3
ジャンルホラー・ジャンルアクション
(あらすじ)
 テキサス州を騒がせた連続殺人鬼一家ファイアフライの家に警官隊が突入する。家長である母親は逮捕されるが、オーティスとベイビー兄妹は逃げ延びた。一方で、一家の首領キャプテン・スポールディングは別の場所にいてこの難を逃れた。彼らはモーテルで落ちあい、宿泊客を殺害して逃走をはかる。それを保安官ジョンが追跡する。

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(レビュー)

 ヘビーロック界の重鎮ロブ・ゾンビが監督・脚本・音楽を兼ねて製作したホラー映画「マーダー・ライド・ショー」(2003米)の続編。
 ピエロのメイクで世のホラー・ファンを震撼させたキャプテン・スポールディングを筆頭に、サタニックな彼の子供たちや母親といった面々が、今回も殺戮の限りを尽くしている。尚、出来れば前作を見た上で今作を鑑賞した方がベターである。そうでないと話の経緯が分かりづらい面がある。

 さて、前作はロブの監督処女作で、いかにもハードコアな音楽をやっている彼らしいスプラッター感覚満載のホラー映画だった。ところが、今回はちょっと趣向が異なる。前作が「悪魔のいけにえ」(1974米)的な正統派ホラーだとしたら、今回はアメリカン・ニューシネマ的な哀愁漂うロード・ムービーとなっている。ロブの演出も前作のようなハイ・テンション一辺倒ではなく、今回のラストの幕引きに見られるような抒情性も漂わせ、抑揚を上手くつけていると思った。

 シリーズ物でありながらこうした路線変更は如何なものか‥という気もするが、この”意外性”は彼の一つの狙いであった可能性は高い。

 というのも、今でも記憶に残っているのだが、第1作中盤の救出劇のシーンは、それまでのトーンとは明らかに異なるスローモーションを駆使した抒情性極まるシーンになっていた。異常なまでの超ロングショットも事の終焉を抒情的に見せ、その余りの”長さ”に痺れたものである。

 こうした前例を考えると、本作におけるロブの演出の変化には一定の理解ができる。今回は彼のもう一つの持ち味である抒情性を極めんとした結果、こうした作りになったのではないだろうか。

 アメリカン・ニューシネマが一世を風靡した70年代的なテイストは映像面にも表れている。少しザラついた画面は、いかにもアメリカン・ニュー・シネマっぽい質感だ。延々と広がる荒野を物語の舞台に据えた所も、「イージーライダー」(1969米)に対する意識が感じられる。

 音楽は今回はカントリー・ミュージックがフィーチャーされている。これにもやはり過去の郷愁の匂いを感じてしまう。

 そんな中、個人的に印象に残ったシーンは、オーティスとベイビーがモーテルの客をまるで虫けらのように殺害するシーンだった。前作のような見世物としての残虐描写は抑えめであるが、殺される側の絶望感に迫る演出は中々の物があり、この粘着的な演出は真に迫っていた。
 また、クライマックスの保安官の逆襲シーンも印象に残った。報復の虚しさを、これまた執拗に描いている。‥と同時に、心のどこかで自分も保安官の心理に共鳴してしまった。

 笑えるシーンもそこそこある。スポールディング逮捕のために呼び出された映画評論家と保安官のやり取りは面白かった。かなりマニアックな映画ネタが登場してくるのでクスリとさせる。まさかマルクス兄弟が出てくるとは‥。しかもエルビスまで!

 キャストは前作と同じ布陣で固められている。今回もスポールディングを演じたシド・ヘイグの怪演が印象に残った。ただ、前作程のインパクトが無くなってしまったのは残念である。ピエロのメイクも途中から消えてしまうし(このあたりは監督の演出意図に沿った物だろうが)、何だかカリスマ性が減ってしまい物足りない。もっとも、そこがこの映画の哀愁に繋がっているとも言えるのだが‥。
 また、今回は復讐に執念を燃やす保安官も目を引いた。悪には悪を‥じゃないが、こちらも相当の極悪人である。俺が法律と言わんばかりに、スポールディング達を容赦なく追い詰めていく演技に鬼気迫るものを感じた。ある意味で、今回の真の主役は彼かもしれない。
[ 2015/02/09 20:36 ] ジャンルホラー | TB(0) | CM(0)

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