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演劇Ⅱ

平田オリザに迫ったドキュメンタリー映画第2部。
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(2013/12/21)
平田オリザ

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「演劇Ⅱ」(2012日)星3
ジャンルドキュメンタリー
(あらすじ)
  劇作家で演出家の平田オリザを追ったドキュメンタリー映画。その第2部。

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(レビュー)
 この第2部では、第1部の劇団青年団の活動に加え、平田オリザが舞台以外にどういう活動をしているのかが紹介されている。

 映画はいきなり民主党議員との会食シーンから始まる。撮影当時は民主党政権の時代だった。
 第1部を見ていると分かるが、人気のある平田の劇団でも運営資金は相当厳しい。このままでは演劇界に未来はない。その実態を訴えるためにこの会食は開かれたということらしい。終始和やかな雰囲気で進む中、平田の切実な訴えは果たして議員の耳に届いているのか?何だか茶番に見えなくもないこのオープニングからして、本作のメインテーマは明確だ。
 劇団の事務所には「まずは食うこと それから道徳」という標語が掲げられている。実に正直な”吐露”である。

 そんなシーンで始まるこの第2部は、主に平田と行政の関わり合いをメインにしながら展開されていく。
 小学校への出張公演、市民センターでのワークショップ開催、地方の演劇祭への参加等、忙しい身でありながら平田の精力的な活動がフィーチャーされていく。

 映画は後半から、世界初のロボット演劇の稽古風景が紹介される。人間がロボットを相手に芝居をするという、いかにも平田オリザらしい挑戦志向の強い演劇であるが、ここでも彼はロボットのプログラマーに「0.5秒間隔をあけて」と細かな注文を付けている。たった0.5秒、されど0.5秒。平田のイメージの中で一番しっくりとくるタイミングがそれなのだろう。

 そして、ここで出演者たちから面白い言葉が聞けた。役者もロボットも同じ演技する者、平田オリザの中では二つは一緒なのだ‥という言葉である。ここで第1部のブレッソンにまつわるエピソードが想起される。要するに、平田にとっての俳優とは、彼が考えたイメージを具現化する”駒”であって、それはプログラミングされたロボットと何ら変わらないものである‥ということである。くしくもこのロボット演劇がそれを実証して見せているわけで、このあたりは皮肉的だ。

 終盤は、平田のフランス公演の様子が映し出されている。彼の名前はヨーロッパでも有名で、現地のフランス人俳優を使って年に数回の公演を行っているそうである。氏の今後の活躍への期待が感じられた。

 尚、ラストは中々意地悪な終わり方になっていてクスリさせられた。相田監督は観察映画を提唱する作家なので、全てをありのままに写すことを信条としている。だからアクシデント的な予期せぬものまで平然と画面に映してしまうのだが、それがこんな映像で締め括るとは‥。ある意味では、茶目っ気のあるエンディングでクスリとさせられた。映画の後味としてこれは中々良い。

 さて、今回鑑賞した「演劇Ⅰ」と「演劇Ⅱ」は、タイトルに「演劇」と付いているが、演劇総体のことを描いているわけではなく、平田オリザという演劇人の素顔を写した作品のように思った。決して演劇の本質とか、歴史的価値、芸術的観点から見た位置づけいった事を描いているわけではない。そういう意味では、このタイトルに釈然としない思いも残るが、現代演劇の第一人者である人物に迫ったという意味においては非常に面白く見れるドキュメンタリーだった。現に、この映画を見終わて劇団青年団に興味を持ったし、いつかチャンスがあれば見てみたいとも思った。

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