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地獄でなぜ悪い

クライマックスは最高だが‥。
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(2014/03/12)
國村隼、二階堂ふみ 他

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「地獄でなぜ悪い」(2013日)hoshi2.gif
ジャンルコメディ・ジャンルアクション・ジャンルロマンス
(あらすじ)
 自主映画集団“ファック・ボンバーズ”を率いる永遠の映画少年、平田は生涯で最高の1本を撮ろうと仲間たちと夢を追いかけていた。ある日、撮影中に血まみれで倒れる池上組の組長を見つける。武藤組との抗争で負傷したと言う彼にカメラを向けた平田は、これこそが自分が追求する映像だと確信した。それから10年後、武藤組組長の大三は10年前の抗争で逮捕された妻しずえの出所を目前に控え、ある事を準備していた。かつて子役として活躍していた長女ミツコを映画女優に仕立てて、しずえを喜ばせようというのだった。ところが、ミツコは男と駆け落ちして今やすっかり不良娘になってしまっていた。大三はミツコを探してぜがひでも嘘の撮影を敢行しようと画策する。そこで彼は、今でも夢を求めて自主映画を撮り続けている平田達に声をかける。

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(レビュー)
 映画青年がひょんなことから本物のヤクザの抗争に巻き込まれていくアクション映画。

 鬼才・園子温監督が15年以上前に書き上げたシナリオを元に、彼の映画に対する情熱をこめて作り上げた意欲作である。
 但し、その意欲は伝わってくるのだが、正直な所、演出、シナリオ共に感心できない出来だった。

 まず、全般的にストーリーが回りくどい上に乱暴である。序盤は10年前の平田達と、池上と武藤の抗争をカットバックしながら展開していくが、時間軸が余りにも飛びすぎるため、見てて不自然さを覚えた。
 例えば、しずえが取り調べを受けるまでの経緯、池上が愛人宅に転がり込むまでの経緯。そういったものが尽く省略されてしまっている。これではドラマに入り込むにも入り込めない。興味自体が削がれてしまう。もしかしたら、テンポを良くしようと敢えて狙った省略なのかもしれないが、だとしても中途半端である。どうせやるなら、見ているこちらを驚かせるくらいもっと大胆に、スピーディーに展開させてほしかった。

 その後、物語は10年後に飛び、現在の平田達と武藤組の長女ミツコのドラマが展開される。ここでミツコと公次の出会いが描かれるのだが、これも冗漫である。しかも、その一方で平田達、映画青年達のうだつの上がらない姿も併走される。どうにも的を得ないストーリー仕立てで退屈してしまった。

 加えて、コメディであることを差し引いても、大仰極まりない演出が”悪ふざけ”に写り余り乗れない。園監督であればもっとブラックな演出を期待したいところであるが、今回はさほど毒も効いてない。

 このように、ストーリーと演出共に自分的にはまったく肌に合わず、残念ながら少々持て余し気味に見るしかなかった。

 但し、そう思うのもクライマックスの手前までである。ここから平田達がヤクザの抗争現場にカメラを持ち込んで”本気”の撮影が始まるのだが、血しぶき、肉片が飛び散り、情熱的な愛が語られ、いかにも園監督らしい過激な演出が頭角を現し始める。確かに悪ふざけ感は残るが、ここまで極められるとかえって潔い。痛快だった。

 また、酒池肉林の現場で危険な撮影を敢行していく平田達の姿からは、園監督自身の映画愛が感じられた。かつて氏はインディペンデントで自作自演の映画を撮っていた。その過去を考えると、この平田というキャラは園監督自身の自己投影に思えてくる。

 更に、ここではミツコと公次の純愛も美しい形で昇天する。死に際する走馬灯のごときフラッシュバックが実に刺激的だった。

 ラストはやや幻想的に締めくくられているが、個人的にはこれも青春の青臭さが感じられて好きである。ある意味ではアメリカン・ニュー・シネマのような幕引きとも言えよう。
[ 2015/04/21 14:49 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

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